「天下無双」とは
「天下無双」は、偉人に対してよく用いられる言葉ですが、言葉の意味を知る人はあまりいないかもしれません。本記事では「天下無双」について、意味や使い方、似た言葉を紹介します。
映画やドラマ、書籍などにも登場することがあるので、正しい意味を把握しておくと、より楽しめるかもしれません。まずは、辞書に掲載されている意味と読み方を見ていきましょう。
辞書で調べた意味と読み方
【天下無双】
読み方:てんかむそう
《古くは「てんかぶそう」とも》天下に並ぶものがないこと。「—の剣士」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「天下無双」の読み方は、「てんかむそう」が一般的。以前は「てんかぶそう」と読むことがあったようですね。天下に並ぶものがないことを意味する四字熟語です。
「天下」の意味をチェック
「天下無双」の「天下」について、もう少し掘り下げて見てみましょう。「天下」は、天が覆っている全世界を表す言葉。この意味が転じて、国全体や世の中、世間を表すと考えてください。
「天下を治める」「天下に名を知られる」のように使われています。
「無双」の意味をチェック
「無双」についても見ていきましょう。「無双」が意味するのは、二つとないこと。並ぶものがないほどにすぐれていることです。「双」には二つという意味がありますが、前に「無」がついて、二つとないことを意味します。
「天下無双」が意味するのは
「天下無双」が意味するのは、「横に並ぶものがないほどすぐれている」「比べるものがないほどすぐれている」。「天下無双」は人に対して使われることがほとんどです。秀でた才能や能力、実力などを持つ人を表す際に用いられています。
「天下無双」に似た言葉
ここからは「天下無双」と似た言葉を紹介します。次の言葉の意味を把握すると、「天下無双」がより理解できるかもしれません。「無敵」「最強」「向かう所敵なし」「一人勝ち」を順に見ていきましょう。
「無敵」
「無敵」とは、非常に強くて敵対するものがないことの意。対抗できるものがないことや、そのさまを表す言葉です。読み方は「むてき」。「天下無敵の〜」「無敵な〜」のように使う言葉です。
「最強」
もっとも強いことや、もっとも強いものを表すのが「最強」です。読み方は「さいきょう」。「最強の〜」のように使われています。
「向かう所敵なし」
「向かう所敵なし」とは、非常に強くて、どんな相手にも負けないことを表します。「むかうところてきなし」と読み、「向かう所敵なしだ」「向かう所敵なしの状態」のように用いられています。
「一人勝ち」
数人の中で一人だけが勝ちを得ることを「一人勝ち」といいます。読み方は「ひとりがち」。「独り勝ち」と表記することもあります。「一人勝ちをする」「一人勝ち状態」のように使うことが多いでしょう。
「天下無双」の使い方
ここからは「天下無双」の使い方を見ていきましょう。例文を紹介しますので、参考にしてください。
【例文1】彼女のすぐれた才能とセンスはずば抜けている。天下無双という言葉がふさわしい人だ
「天下無双」は、すぐれた才能や能力、センスなどを持つ人を表す際に用いられることがあります。例文は、まさにそのような人を指す一文。横に並ぶ人がいないほどすぐれていることを表しています。
【例文2】彼の実力は、まさに天下無双。才能と能力がすぐれている上に、誰よりも練習を重ねている
この例文も、才能や能力がすぐれていて、他に並ぶ人がいないことを表しています。本当にずば抜けている人は、努力の仕方も秀でるものがありそうですね。
会話で使う
「天下無双」を会話で使う例を見ていきましょう。オフィスで先輩と後輩が上司について話しています。
先輩「今度新しく来る課長、剣道を教えているんだって」
後輩「そうなんですか」
先輩「大学卒業まで剣道をしていて、周りから天下無双の剣士だって言われていたそうよ。大きな大会で何度も優勝しているらしい。今は、ボランティアで子供たちに指導をされているそうだよ」
後輩「すごいですね。剣道って精神が鍛えられるイメージがあるから、メンタルが強そう」
先輩「実際のところはよく知らないけれど、そうだといいよね」
スポーツに限らず「天下無双」と周りにいわれるようになるには、相応の鍛錬が必要になるでしょう。会話例は、新しく来る上司が「天下無双の剣士」といわれていたことを表しています。
「天下無双」の対義語は
「天下無双」の対義語を見ていきましょう。「平々凡々」
「平平凡凡」
きわめて平凡なさまを表す「平平凡凡」は「へいへいぼんぼん」と読みます。これといったすぐれた特色がなく、ごく当たり前なことを表す「平凡」を重ねて使い、意味を強調している四字熟語です。「平平凡凡な〜」「平平凡凡たる〜」のように使われています。
《例文》彼はかつて平平凡凡たる一市民だったが、今や誰もが注目するオピニオンリーダーだ
「尋常一様」
「尋常一様」とは、普通と異なるところのないことや、そのさまを表す言葉。「じんじょういちよう」と読みます。「尋常」とは、特別ではなく普通であることの意。「一様」は世間によくあることや、ありふれていることを表します。「尋常一様な行動」のように使う四字熟語です。
《例文》彼女のように活躍したいなら、尋常一様な努力をしているだけでは無理だよ
「世間並み」
世間一般と程度が同じであることや、普通であること、そのさまを表す「世間並み」。「せけんなみ」と読みます。会話などでよく登場しますので、なじみがあると感じる人もいるでしょう。「世間並みの〜」「世間並みな生活」のように使います。
《例文》私は世間並みの生活ができればいいと思っていたので、今の状態に満足している
「十人並」
顔立ちや能力などが人よりすぐれてもいないが、劣ってもいないことを表すのが「十人並」です。「十人並み」と表記してもOK。「じゅうにんなみ」と読みます。
《例文》彼女は自分のことを十人並だというが、抜きん出たデザインセンスを持っている
最後に
「天下無双」について紹介しました。天下に並ぶものがないことを意味する言葉は、すぐれた人や偉人などに対して用いられています。また、物語に登場することもありますので、意味を把握しておくと、より楽しめるかもしれません。
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