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「前代未聞」とは
ニュースや報道などで見聞きする「前代未聞」という言葉。なんとなくわかるけれど、意味を説明するのは難しいという人もいるでしょう。「前代未聞」は、日常やビジネスシーンで使える言葉ですので、正しい意味や適切な使い方を把握しておきたいですね。
この記事では、「前代未聞」について意味や使い方などを紹介します。後半では「前代未聞」と似ている言葉にも触れますので、チェックしてください。まずは意味と読み方を一緒に見ていきましょう。
意味と読み方
「前代未聞」を辞書で調べてみました。
ぜんだい‐みもん【前代未聞】
読み方:ぜんだいみもん
今までに一度も聞いたことがないこと。非常に珍しいこと、程度のはなはだしいことにいう。「—の大事件」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「前代」は、今よりも前の時代を表します。「未聞」は文字通り、まだ聞いたことがないことを意味します。これまでに聞いたことがないほど珍しいことや、過去にないほど非常に大変な出来事を表す四字熟語です。
「前代未聞」は、どう使う?
「前代未聞」を実生活で使う場合、どのような使い方をするのか見ていきましょう。まずは特徴を紹介します。
使い方の特徴
「前代未聞」を使うのは、それまでに経験のないことが生じたときや、聞いたことがない大変なことが起こったときでしょう。深刻な事態が生じた際に用いることもあれば、今まで聞いたことがないような物事の成り行き、挑戦などに使うこともあります。
「前代未聞」を使う際は、「前代未聞だ」「前代未聞の〜」という言い方をすることが多いでしょう。「前代未聞の〜」のあとには、事件や出来事、失敗、珍事、事態、挑戦などの言葉が続きます。
例文
「前代未聞」の具体的な使い方を見ていきましょう。例文を挙げますので参考にしてみてください。
《例文》
・あの事故は、前代未聞のことだったと今でも思っています
・お客様を1時間待たせた上にダブルブッキングで対応できないなんて、前代未聞の失敗だ
・彼らはこれから前代未聞の挑戦をしますが、不思議とリラックスしている
・前代未聞の偉業を成し遂げた彼女に対して、業界から称賛の声が相次いでいる
・あの選手が叩き出した前代未聞の記録に、人々の拍手は鳴り止まなかった
上記からわかるように、「前代未聞」は出来事に対して使われる言葉です。ネガティブなことだけでなく、偉業を成し遂げた人を称賛するといったポジティブな事柄にも用いられています。
「前代未聞」を会話で使う場合は?
「前代未聞」を会話で使う場合を見ていきましょう。オフィスで、先輩と後輩が話しているとイメージしてください。
後輩「先輩、今朝発表になった人事異動通知、見ましたか?」
先輩「もちろん見たよ。Aさんがマネージャーに就任するとは思わなかった!」
後輩「一般社員がいきなりマネージャーになるって、あんまりないことですよね」
先輩「課長曰く、前代未聞の大抜擢らしい。でも、Aさんならみんな異論はないんじゃない?」
後輩「そう思います。私もAさんは適任だと感じました」
人事異動で異例の抜擢があり、驚く先輩と後輩の様子を表す会話例です。若い世代の管理職就任はまだまだ珍しいことなので、社内外で大きなニュースになることも。大きな責任を担うことになりますが、それを背負うに相応しい人材なのでしょう。
「前代未聞」を使う際の注意点
「前代未聞」を使う際に注意したいのが、読み間違いです。「ぜんだいみぶん」と読むのは誤りですので、注意したいですね。
また、「前代未門」「前代見聞」とするのも誤り。漢字の書き間違いや変換ミスのないようにしてください。
「前代未聞」と似ている言葉は?
ここからは「前代未聞」と似ている言葉を紹介します。「前代未聞」を言い換えたい場合に使えるかもしれませんので、ぜひチェックしてください。
「画期的」
「画期的」とは、これまでとは時代を区切るほど、目覚ましいさまを表す言葉。新しい時代を開くという意味も持ちます。読み方は「かっきてき」。アイデアや技術、発想などを指す場合に用いられています。内容によっては、「前代未聞」の言い換えとして使うことができるでしょう。
《例文》新しい分野で事業を立ち上げるのは、この会社にとって画期的な出来事だ
「未曾有」
今までに一度もなかったことや、非常に珍しいことを意味する「未曾有」。災害や危機などに対して用いられることが多い言葉です。読み方は「みぞう」。「前代未聞」と似た意味を持ちますので、言い換えに使えそうですね。
意識しておくといいのが、「未曾有」はポジティブな出来事に対してはあまり使わないということ。悪い出来事を表す際に使うのが一般的です。
《例文》未曾有のパンデミックを経験して感じたのは、危機管理についての考え方を改めなければならないということだ
「空前」
「空前」とは、今までに例を見ないことを指します。読み方は「くうぜん」。「空前絶後」「空前の〜」といった使い方をします。この言葉も「前代未聞」の言い換え表現として把握しておきたいですね。
《例文》空前の大ヒット作といわれている映画を見たが、私はあまり理解できなかった
「エポックメーキング」
英語の「epoch-making」が由来の「エポックメーキング」も、「前代未聞」と似た意味を持ちます。ある事柄がその分野に新時代を開くほど、意義を持つさまを表し、「エポックメーキングな発明」のように使われる言葉です。
《例文》10年前にエポックメーキングな発明だと話題になった商品ですが、今も一定数売れています
「前代未聞」と反対の意味を持つ言葉は?
「前代未聞」と反対の意味を持つ言葉についても見ていきましょう。「日常茶飯」を紹介します。
「日常茶飯」
「日常茶飯」とは、毎日のありふれた事柄を意味します。「にちじょうさはん」と読み、毎日の食事の意味が転じた言葉です。「前代未聞」とは真反対の意味を表すといえるでしょう。この言葉は「日常茶飯事(にちじょうさはんじ)」という形でもよく使われています。
《例文》子供の頃は日常茶飯だった姉妹の喧嘩も、今はいい思い出になっている
最後に
「前代未聞」について、意味や使い方などをまとめました。想像もつかないような出来事は、ある日突然起こるもの。そのようなときに用いる言葉といえるでしょう。言い間違いや書き間違い、変換ミスなどに注意して、この言葉を使ってくださいね。
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