「片言隻語」、読めますか? あまりなじみのない言葉ですよね。ひとつひとつの漢字は簡単ですが、漢字自体の意味を知っていても四字熟語の意味を推測しづらいかもしれません。まずは、言葉の意味や成り立ちをじっくりチェックしていきましょう!
「片言隻語」の意味や成り立ちは?
「片言隻語」という四字熟語を見て、まず戸惑うのが読み方ではないでしょうか? 「かたこと… ?」「隻はなんと読むんだっけ… 」など、さまざまな方がいるはず。まずは読み方から確認です。
読み方
「へんげんせきご」と読みます。「かたこと」と読んだり、「隻」をよく似た「雙」と間違えないように注意したいですね。
意味
「ほんのちょっとした、わずかな短い言葉」という意味。意味がわかっても、どんな時によく使う言葉なのか若干イメージしづらいですね。のちの「使い方を例文でチェック!」の項目で詳しく解説します。
成り立ちは?
「片言隻語」は「片言」と「隻語」ふたつの言葉から成っています。それぞれの言葉について、より詳しく見ていきましょう。
まずは「片言」について。意味は大きく3つあります。一つ目は「言葉の一部分」、二つ目は「子供や外国人などが話す、不完全でたどたどしい言葉」、三つ目は「訛りや方言など、標準ではない言葉」です。
「片言」を「へんげん」と読む場合は、一つ目の意味になるようで、他は、「かたこと」と読む場合の意味となります。「かたこと」という読み方の方が、なじみがありますね。「片言」の言葉は古く、古代中国の書物『論語』でも登場しているそうです。
次は「隻語」について。「隻語」だけで「ちょっとした短い言葉」という意味があります。「片言」が「言葉の一部分」、隻語が「ちょっとした短い言葉」という意味で、どちらも同じような意味の言葉を二つ重ねた四字熟語であることが分かりますね。
ちなみに「隻(せき)」には「ひとつ」、よく似た「雙(そう)」は「双」の旧字体で、「ふたつ」という意味を持ちます。「隻字」「隻句」などという言葉も古くからあり、古代中国六朝時代の文章にも登場しているそうです。
使い方を例文でチェック!
さて、「片言隻語」という四字熟語の意味や、構成されている言葉の意味や語源もわかったところで、どのように使うのかチェックしていきましょう。例文を用いて解説します。
1:貴重な機会なので、片言隻語も聞き漏らさず書き留めたい
「片言隻語」は、「聞き漏らさない」「漏らさず書き留める」などという表現と組み合わせて使われることが多いです。「ちょっとした言葉も聞き漏らさない、書き留める」という意味ですね。
2:師匠の言葉は片言隻語さえも忘れがたい
「片言隻語さえ… 」という使い方もできます。「わずかな言葉さえも忘れられない」という意味ですね。尊敬している人や、大好きな人の大切な言葉を忘れられない、忘れたくない時に、ぴったりな使い方。
3:片言隻語を捉える
「片言隻語」は、ネガディブな印象を与えることもあるため、使う時には注意が必要です。「片言隻語を捉える」という表現は、「ちょっとした言葉の間違いを指摘して揚げ足をとる」といった意味に。相手に意図せずして誤解や不快感を与えないよう、慎重に使いたいですね。
類語や言い換え表現は?
使い方を確認したところで、「片言隻語」の類語や言い換え表現も確認しておきましょう。初めて出会った言葉を調べた時は、ついでに類語や反対の意味を持つ言葉を確認しておくのがおすすめです。ボキャブラリーが増えるだけでなく、その言葉自体の理解も深まりますよ!
1:片言隻句
「片言隻語」と一文字違いの「片言隻句」。「へんげんせっく」と読みます。「片言隻語」と全く同じ意味を持ち、同じように使うことが可能。紹介した例文も、全て片言隻句に置き換えて使っても問題ありませんよ。
2:一言半句
読み方は「いちごんはんく」。「ほんのすこしの言葉」という意味で、片言隻語と同じ意味で使われます。「あの新人は一言半句も不満や言い訳を言わない」などという言い方もできますよ。
3:一字一句
一番聞き馴染みのある言葉ではないでしょうか? 「いちじいっく」と読み、漢字の通り「ひとつの文字と、ひとつの語句、わずかな字句」という意味です。「一字一句違わない文」などとよく使いますね。
英語表現は?
最後に、英語表現もチェックしておきましょう! 「片言隻語」と全く同じ意味を持つイディオムはありませんが、「片言隻語」の意味である「わずかな」「ちょっとした言葉」、類語である「一字一句」などに注目して、同じような意味を持つ英語を紹介します。
1:small
「small」は、「小さい」という意味の印象が強いですが、大きさの大小だけでなく「わずかな」というニュアンスでも使います。
(例文)
・When she try to speak English, we shouldn’t point out her small mistakes.(彼女が英語を話そうと頑張っている時に、わずかな言い間違いを指摘するべきではない。)
2:not to miss a single word
「not to miss a single word」で、「一言も聞き漏らさない」という意味になります。「a word」に「single」をつけることで、「たったの一言も」と強調する効果が。
(例文)
・He is a very famous professor, I try not to miss a single word in his class.(彼はとても有名な教授だから、授業中に一言も聞き漏らさないようにするよ。)
3:word for word
「word for word」は「一字一句」という意味。日本語と英語も似ていますね。
(例文)
・It’s better to check the address word for word to make sure it is correct.(宛先が間違っていないか一字一句確認したほうがいい。)
最後に
「片言隻語」という四字熟語について、言葉の意味や成り立ち、使い方や言い換え、英語表現まで解説しました。今回紹介した四字熟語、初めて知ったという方も多かったのではないでしょうか。毎日、何十年と日本語を使っていても、まだまだ知らない言葉がたくさん存在することに驚きますね。
TOP画像/(c)Adobe Stock