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訃報を聞いたときのマナー
訃報(ふほう)を受けたら、どのように対応すれば良いのでしょうか。従来からのマナーを確認しておきましょう。
まず、訃報を受ける方法には電話や電報、対面があります。また会社に勤めている方は、訃報用紙として訃報のお知らせの文書が回ってくるのが一般的でしょう。
訃報の連絡を受けたときの対応
どのような方法でも、訃報を受けたら次の流れで対応するのがマナー。まずは「心よりお悔やみを申し上げます」とお悔やみの気持ちを伝えます。そして、訃報では多くの場合に葬儀を行う日時と場所が書かれていますので、当日は香典を持って参列します。
ただし、喪主の意向で親族以外の参列や香典を断ることもあります。その場合は訃報に「ご会葬やご香典は、故人の意思により謹んでご辞退申し上げます」などと書かれており、葬儀へ参列したり、香典を送ったりすることは控えるのがマナーです。
最近では、メールやLINEなどのSNSで訃報が届き、それに返信する機会も増えてきました。実情としては、まだメールやLINEでのマナーは固まっておらず、それぞれの方が思い思いの方法で対応しているようです。そのため、何かと戸惑うことも多いのではないでしょうか。
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1.「頑張って !元気出して!」と明るく励ますのはNG?
従来は、遺族に対して励ますのはNGマナーとされてきました。しかし、近年は家族葬が普及し、親族や親しい間柄だけで葬儀を執り行うのが一般的になっています。
そのため訃報をわざわざ伝える相手は、親しい人にだけ、という傾向に。昔は葬儀に何百人も来るものでしたから、人手がいくらあっても足りず、一人一人に対して遺族が対応するのは大変なことでした。ですから励ますなど、お悔やみの言葉以上のことを話しかけるのはタブーとされてきたのです。
しかし、今では状況も変わっており、よほど親しい間柄であれば、励ますのも決してNGとはいえないでしょう。ただ、今でもお悔やみの言葉だけを伝えるのが基本で、親しい間柄であれば「何かお手伝いができることがあれば言ってくださいね」くらいに留めるのが良いでしょう。
2. 忌み言葉を使うのはNG?
「浮かばれない」「迷う」などのほか、不幸や死を連想させる言葉や「わざわざ」「重ね重ね」などの繰り返す言葉は忌み言葉といわれ、お悔やみのシーンで使うのはタブーとされてきました。
しかし、訃報を受けたときの流れを考えると、そもそも忌み言葉を使う機会はないはず。「心よりお悔やみ申し上げます」が基本ですし、親しい間柄であれば、「何かお困りでしたらいつでもおっしゃってください」程度で終わらせます。
そもそも長く話したり、長い文章を送ったりすること自体がマナー違反とされています。長く話したり、長い文章を書いたりすれば、「浮かばれない」や「わざわざ」などが自然と出てきてしまうこともあるでしょう。
ただし宗教によって、お悔やみの言葉は変わります。仏教の浄土真宗とキリスト教の方に「ご冥福をお祈りします」はふさわしくありません。これらは一般的な仏教の方に使う言葉です。
「お悔やみを申し上げます」はどの宗教でも使えます。これはマナーとして押さえておきましょう。
3. 死因を尋ねるのはNG?
訃報では、病気で亡くなったなど死因を伝えるのが定型文となっています。しかし特別な事情があって死因が書かれていないこともあるでしょう。
その場合に、死因を尋ねるのはマナー違反です。どんな場合でも尋ねてはいけません。それはメールやLINEで訃報を受けたとしても変わっていないマナーです。
4. LINEで返すときにくだけすぎる・絵文字やスタンプで表現するのはNG?
10年ほど前までは、メールやLINEで冠婚葬祭の連絡をすることはありませんでしたが、この数年、少しずつ増えてきました。
年々、お客様からも「訃報をメールをもらったのですが、どうすればいいですか?」「LINEで喪中のお知らせが来たのですがどう返せばいいですか?」といった問い合わせが増えています。それだけ、潜在的に同様の悩みを抱えている方が増えていると思われます。みなさん、試行錯誤して対応しているのではないでしょうか。
LINEについては、まだ決まりごとがありません。そのため、ご自身で考えた上で対応を決めると良いでしょう。一般的に考えれば、親しさの度合いに応じて変わってくると思います。少ししか親しくない人が相手なら、くだけすぎたり、スタンプを送ってきたりしたら不快に思う人もいるかもしれません。
一方、日頃からよくLINEで親しくやり取りするような関係なら考え方も変わってきます。そこまで仲良くないのであれば、くだけすぎたり、絵文字やスタンプを使ったりするのは控えるのが良いでしょう。
とはいえ、これからはどうなるかは分かりません。多数派がマナーになるからです。若い世代の方は従来からのマナーを知った上で、今後どうするのが良いかを考え、新しいマナーを作っていってほしいと思います。
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お悔やみの挨拶マナーと素朴な疑問への回答を紹介しました。どのような場合でも、訃報を受けたら心からお悔やみの気持ちを抱き、その気持ちを真摯にお伝えしましょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock
メモリアルアートの大野屋 終活・仏事アドバイザー 川島敦郎
1956年東京都出身。大学卒業後ブライダル会社に勤務。企画やプランナー育成に携わり、業界資格の試験官も務めたエキスパート。ブライダルの世界から2005年にメモリアルアートの大野屋に入社。葬儀ディレクター、生前相談アドバイザー、セミナー講師としても活躍し、現在「大野屋テレホンセンター」で仏事アドバイザーとして年間5000件以上の相談に答える。
大野屋テレホンセンター著「もう悩まない! 葬儀仏事お墓ズバリ! 解決アンサー」(二見書房)、監修「小さな葬儀とお墓選び・墓じまい」(自由国民社)
お電話窓口:0120-02-8888
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