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この記事のサマリー
・「昴(すばる)」は牡牛座にあるプレアデス星団の和名です。
・「昴」は王者の象徴でもあり、名付けでも人気。
・「昴」と「昂」は混同しやすいため注意。
「昴(すばる)」という言葉を耳にしたとき、星の名前を思い浮かべる人もいれば、谷村新司(たにむら・しんじ)さんの名曲を思い出す人もいるかもしれません。
日本文化の中で幅広く使われてきた「昴」には、多彩な意味があります。
そこで、この記事では「昴」の意味や背景を整理して解説します。日常の会話や教養の引き出しとして役立てていただければ幸いです。
「昴」とは? 意味と由来
「昴(すばる)」は、古来より日本文化に深く根付いてきた星の名です。辞書によれば、牡牛座に位置するプレアデス星団の和名であり、二十八宿の一つ「昴宿(ぼうしゅく)」を指します。
肉眼では6つの星が集まって見えることから「六連星(むつらぼし)」とも呼ばれました。
「統(す)べる星」に由来し、王者の象徴や農耕の星として大切にされてきました。
辞書では次のように説明されていますよ。
すばる【×昴】
一《動詞「統(す)ばる」から》二十八宿の一、昴宿(ぼうしゅく)の和名。牡牛座(おうしざ)にあるプレアデス星団で、肉眼で見えるのはふつう6個。六連星(むつらぼし)。→昴(ぼう)
二(「すばる」と書く)⇒すばる望遠鏡
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
漢字「昴」の成り立ち
「昴」という漢字は、星を意味する「日」と「卯」を組み合わせた形声文字です。「日」が形を表し、「卯(ばう)」が音を示します。音読みは、「ぼう(ばう)」です。
参考:『新選漢和辞典Web版』(小学館)

名前に使われる「昴」の意味
近年、「昴」という字は子どもの名付けにも人気があります。先述したように「王者の象徴」でもあるため、「光り輝く存在に育ってほしい」「高みを目指す人になってほしい」といった願いを込めやすいのが特徴です。
響きも凛としており、男女どちらの名前にも使いやすい点も魅力ですね。
「昴」の画数・姓名判断
名付けの際に気になるのが画数でしょう。「昴」は9画になります。姓名判断では、バランスのいい画数に収まるとされているようですよ。
谷村新司さんと『昴』
「昴」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのが谷村新司さんの代表曲『昴』ではないでしょうか? 1980年に発表されて以来、世代を超えて歌い継がれてきた名曲。『昴』の作詞・作曲もまた、谷村さんです。
「昴」はプレアデス星団を指し、この作詞のきっかけとなったのは、宇宙人との交信「プレアデス星団からのメッセージ」であったともいわれています。
文学作品に登場する「昴」
「昴」は、文学作品の世界でも重要な役割を果たしてきました。明治期には森鴎外の指導のもと創刊された文芸雑誌『昴』があり、石川啄木や木下杢太郎(きのした・もくたろう)らが参加しました。ちなみに『昴』という雑誌名は、森鴎外が命名したものですよ。
また、近年では浅田次郎の小説『蒼穹の昴(そうきゅうのすばる)』により、多くの読者がこの言葉を再び意識するようになりました。
いずれの例も「昴」という言葉が、ただの星の名前を超えた象徴性を持って使われています。
古典文学にみる「昴」
「昴」は古典文学にも頻繁に登場しています。例えば『枕草子』では「星は、すばる。ひこぼし。ゆふづつ…」と記され、平安の人々も夜空に光る昴を特別な存在として愛でていたことがわかります。
昴が長い歴史の中で人々の感性や文化に深く根付いてきたことがうかがえますね。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)

「昴」と混同しやすい漢字「昂」に注意!
「昴」は「昂」と混同されることがあります。ここでは、違いを確認しましょう。
「昂」とは?
「昂」は、常用漢字ではなく、人名用漢字です。音読みは「こう」、訓読みは「あがる」で、「上昇する」「感情がたかぶる」という意味を持ちます。
辞書では次のように説明されていますよ。
こう【×昂】
[人名用漢字] [音]コウ(カウ)(慣) [訓]あがる
1 高くなる。上昇する。「昂進・昂騰」
2 感情がたかぶる。「昂然・昂奮・昂揚/激昂・軒昂」
[名のり]あき・あきら・たか・たかし・のぼる
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「昂」は「日」が形を表し、「卬(かう)」が音を示す形声文字です。「卬」には仰ぐという意味があるため、「太陽を仰ぐ」というニュアンスを持ちます。
似ている漢字ですが、「昴(すばる)」は星のニュアンスを持ち、「昂」は太陽のニュアンスを持っているというところが面白いですよね。ちなみに、「昂」も「昂士(あきと)」や「昂生(あお)」など、名前の漢字として使われることもあります。
参考:『新選漢和辞典Web版』(小学館)

「昴」に関するFAQ
ここでは、「昴」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「昴」はどんな星を指すのですか?
A1. 「昴」は牡牛座にあるプレアデス星団の和名です。
Q2. 名前に「昴」は使えますか?
A2. はい。
夜空に輝く星をイメージさせるため、「輝く存在に育ってほしい」という願いを込めて名付けに用いられることがあります。
Q3. 「昴」の使い方でNGな例はありますか?
A3.「気持ちが昴る」と書くのは誤用です。
この場合は「昂る」と書きます。似ていますが、混同しないよう注意しましょう。
最後に
本記事では、「昴」の読み方や由来、豆知識など盛りだくさんに紹介しました。星の意味を持つ名前はロマンチックで素敵ですね。この機会に星座や惑星の名前を調べてみるのも面白いかもしれません。
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