目次Contents
「参考にさせていただきます」ってどんなニュアンス?
「参考にさせていただきます」は、“相手からもらった意見・情報・資料などを、自分(または自社)の判断や行動の材料として活用させていただく”という丁寧な意思表示。
実務上では、相手から受け取った内容を踏まえて検討をする場面や、今後の判断に役立てたいときにも頻繁に用いられています。
なお「参考にします」よりも改まった表現なので、相手への敬意を示しながら自分がへりくだる言い方です。
つまり相手の気持ちを尊重しながら、提供された情報に価値を感じているニュアンスが含まれています。
♦︎実は「断り文句」としても使われている
一方で、何かを「確約」する言い回しではないことから、ビジネス上では“柔らかい断りに近い使い方”をしている場面も多々あります。
「ご提案いただいた案は、社内で検討したうえで参考にさせていただきます」といった言い回しは「判断材料のひとつとします」という意味ではありますが、遠回しに柔らかく断るニュアンスが含まれているケースも少なくありません。
上手に使いこなしたい「参考にさせていただきます」の言い換え方

「参考にさせていただきます」と似たニュアンスをもつビジネスシーンで一般的な言い換え方を3つ紹介します。
♦︎「今後の検討材料とさせていただきます」
堅い雰囲気が求められるビジネスシーンで使える表現です。
「あなたの意見を軽んじません」という意思が含まれているので、会議や報告書の返信にも適しています。
例文:「貴重なご意見を、ありがとうございます。今後の検討材料とさせていただきます」
♦︎「今後の取り組みに活かしてまいります」
“活かす”という言葉が入るために、前向きで丁寧な印象を与えられます。提案やアドバイスをもらったときに使いやすく、ポジティブな言葉として受け止められやすいでしょう。
例文:「いただいたご提案は、今後の取り組みに活かしてまいります」
♦︎「大変勉強になりました(なります)」
「参考」という単語を使わずに、相手の知識や経験を自然に称える言い方です。相手の与えてくれた内容に良い刺激を受けた印象を与えるだけでなく自分の成長意欲も伝わりますので、目上に使うのにも適しています。
例文:「貴重なお話を伺えて、大変勉強になりました」
これはNG! アラサーが体験した「言い換えの“失敗談”」

言い換えや距離感を誤ると、相手には軽く聞こえたり温度感が合っていないと感じさせるのがコミュニケーションの難しいところ。筆者が見聞きした事例から、実際にアラサー女性がやってしまった“あるある失敗”を紹介します。
♦︎NG:「〜ね!」をつけて馴れ馴れしい印象になってしまった
30代前半のAさんは、後輩とのやり取りで堅くなりすぎないように努めていたとのこと。
しかし、うっかり軽すぎる言い方をしてしまい大反省をしたそうです。
「グループチャットで後輩から届いたアドバイスに『参考にさせていただきますね〜!』と返信したら、それを見た上司から『軽すぎるし、“〜ね!”はさすがに馴れ馴れしいのでは?』と指摘をされてしまいました。
自分ではフランクにしたつもりだったのですが、確かに距離感を読み違えたなと。言葉の選び方は信頼にも影響するので、それ以降は慎重になっています」
♦︎NG:連発してテンプレ感が出た
30代半ばのBさんは忙しさのあまりにテンプレ感のある使い方をしてしまい、あとで見返して反省をしたそうです。
「ものすごく忙しかったときに、取引先とのメールが溜まってしまって。まとめて返信をしようと、複数の取引先に同じコピペ文を送信したんです。
だけど、あとから見返したら全部『参考にさせていただきます』だったことに気づき、我ながら中身のないメールだったと反省しました。
送った先はコピペだとは気づいていないと思いますが、返信のスピードを優先したばかりに、中身が薄くてテンプレ感があるのは否めませんでした」
【相手別】使える言い換え早見表

相手別に、使いやすい言い換え方をシンプルにまとめました。メールやチャットで言い換えのバリエーションを増やしたいときの参考にしてみてください。
♦︎目上の相手には「丁寧かつ誠意ある表現」で
目上の相手には、丁寧な印象を与えながら誠意も感じさせる表現が適切です。「参考にさせていただきます」よりもワンランク上の言い回しを覚えておきましょう。
例文:
「今後の検討材料とさせていただきます」
「今後の取り組みに活かしてまいります」
「大変勉強になりました」
♦︎社内連絡や同僚には「やわらかすぎずビジネス感のある表現」で
社内連絡や同僚へは、やわらかくなりすぎないバランスとビジネス感のある表現が好まれます。
例文:
「ぜひ使わせていただきます」
「今後の業務に役立てます」
♦︎取引先には「信頼を損なわない表現」で
取引先とは信用が第一ですから、信頼を損なわないようやや堅い言い回しが適切です。
例文:
「今後の取り組みに活かしてまいります」
「今後の検討材料とさせていただきます」
言い換えのバリエーションは信頼の厚みにつながる
ビジネスシーンでは、似たようなニュアンスを伝えるフレーズのバリエーションを心得ておくと、コミュニケーションが円滑になるだけでなく将来的な信頼の厚みにもつながっていきます。
「参考にさせていただきます」は便利な言い回しではありますが、ぜひこの機会に他の言い方もマスターしておきましょう◎。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



