この記事のサマリー
・「失念」とは、覚えていたはずのことを、うっかり忘れてしまう場面で使う言葉です。
・「失念」は「忘れていました」よりかたい表現です。
・類語には「ど忘れ」や「忘却」、「忘失」があります。
「失念しておりました」と「忘れていました」。同じことを言っているはずなのに、なぜか「失念しておりました」と言われると、少し改まった感じがします。
そこでこの記事では、「失念」について確認していきましょう。
「失念」とは?
まずは意味から確認します。
「失念」の意味
失念には、「うっかり忘れること」「ど忘れ」という意味があります。一般には、覚えているべきことを、ついうっかり忘れてしまう場面で使われる語です。「忘れる」よりも、かたい表現だといえます。
なお、仏教語としては、記憶を妨げる心の作用を指す意味もありますよ。読み方は「しつねん」です。
辞書では次のように説明されていますよ。
しつ‐ねん【失念】
[名](スル)
1 うっかり忘れること。ど忘れ。物忘れ。「約束を―して失礼しました」
2 仏語。記憶をさまたげる心の作用。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「失念」の使い方を例文で紹介
続いて、「失念」の使い方を例文で紹介します。
「本日使用する資料の作成を、失念しておりました。本当に申し訳ありませんでした」
「失念」は、会話中でも文章中でも使うことができる言葉です。「忘れていました」よりもかたい響きがあり、ビジネスシーンで用いられることが多いでしょう。
ただし、「失念しておりました」と言い換えるだけで十分というわけではありません。相手に迷惑をかけた場面では、おわびの言葉や対応もあわせて示すほうが、誠実な印象につながります。
「レストランの予約を失念していて、入店することができなかった…」
予約や約束、契約などに対しても「失念」という言葉を使うことができます。ビジネスシーンに限らず、プライベートでも使えますよ。
「資料の添付を失念しており、大変失礼いたしました。本メールに添付してお送りいたします」
メールでの「失念」の使い方も、基本的には会話と同じです。添付漏れや連絡漏れなど、自分の対応不足を伝えたい場面で使われます。

「失念」を使う際の注意点とは?
「失念」の意味や使い方は、押さえられましたか? さまざまな場面で使える言葉ですが、気を付けなければならないポイントもあります。ここでは、「失念」を使う際の注意点について紹介します。
多用しない
「失念」に限ったことではないですが、繰り返し使うのは避けましょう。「失念してしまい、すみません」「失念しないようにします」と何度も使ってしますと、言葉の重みが薄れてしまうからです。
ただでさえ、「忘れる」というミスをしているわけですから、慎重に言葉を選ぶ必要があります。
「失念」は自分に対して使う
「失念」は、通常は自分がうっかり忘れたことを述べるときに使う表現です。「(私が)失念しておりました」のように使うと自然ですが、相手や第三者について用いると、不自然さや失礼な印象を招くことがあるでしょう。
他者について触れるときは、「ご確認がまだのようです」「行き違いがあったようです」など、別の表現を選ぶことをおすすめします。
「忘れたこと」に対して使う
「失念」は、「うっかり忘れる」というニュアンスの言葉です。したがって、もともと知らなかったことや、初めて聞いたことに対しては使えません。
例えば、友人が出産したことを初めて知った時に「彼女が出産したことを失念していた」とは言いません。
「失念」の類語表現を紹介
最後に、「失念」の類語表現についても確認していきましょう。
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ど忘れ
「ど忘れ」とは、「普段は知っていることなのに急に思い出せなくなること」を指す言葉です。「担当者の名前をど忘れしてしまった」というように使います。
「失念」も「うっかり忘れること」を表しますが、「ど忘れ」はその場で急に思い出せなくなる場面に寄りやすい語だといえるでしょう。
忘却
「忘却」は、すっかり忘れてしまうことを表す言葉です。ただし、「失念」とまったく同じ意味ではありません。「失念」がうっかり忘れる場面に使われやすいのに対し、「忘却」は完全に忘れ去るような響きを帯びやすい語です。
日常会話よりも、文章の中で見かけることが多い表現です。
忘失
「忘失」という言葉もあります。読み方は「ぼうしつ」です。ただし、日常会話ではあまり使われない表現で、一般的な言い換えとしてはややかたい印象があります。
参考:『デジタル大辞泉』、『使い方の分かる 類語例解辞典』(ともに小学館)
「失念」に関するFAQ
ここでは、「失念」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q. 「失念」とはどんな意味ですか?
A. 「失念」は、覚えていたはずのことを、ついうっかり忘れることを表す言葉です。
Q. 「忘れていました」と「失念しておりました」はどう違いますか?
A. どちらも忘れていたことを伝える表現ですが、「失念しておりました」のほうがややかたい表現です。
Q. 「失念」はビジネスメールでも使えますか?
A.添付漏れや連絡漏れなど、自分の対応不足を伝えたいときに使えます。
最後に
本記事では、「失念」の意味や使い方、使う際の注意点などについて解説しました。ビジネスシーンでは、「忘れていました!」というよりも、「失念しておりました」という方がふさわしいですね。あわせて類語表現も紹介しておりますので、ボキャブラリーを増やす、一つの参考にしてみてください。
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