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2023.09.08

「制作」と「製作」の違いは? 保育や映画業界での使い分けなどを解説

「制作」と「製作」の違いは、「制作」は「アート作品などを作ること」で、「製作」とは「品物を作ること」。作るものが何かによって、「制作」と「製作」を使い分けるのです。保育や映画業界での使い分け、例文、類語を詳しく紹介!

日本語には、同じ読み方でも、漢字が異なる言葉があります。「制作」と「製作」も、それらのうちの一つです。皆さんも一度は、「制作」と「製作」のどちらの漢字を使うべきなのか、迷ったことがあるはず。この記事では、「制作」と「製作」の違いや使い分けについて解説します!

「制作」と「製作」の意味は?

「制作」と「製作」の違いを明確にするために、まずは言葉の意味を確認していきましょう。

「制作」の意味

「制作」とは、「アート作品などを作ること」という意味です。アート作品とは、例えば「絵画」「映画」「音楽」「美術品」など。また、記事や原稿を執筆するライター、Webページなどを作るWebデザイナーなど、クリエイターの仕事に関しても、「制作」を用います。

ペイント
(c)Adobe Stock

「製作」の意味

「製作」とは、「品物を作ること」。特に、機械や道具を使って作るものをさします。このほかにも、「テレビ番組や映画、演劇などを作ること。もしくは、プロデュースすること」「美術作品や詩文などを作ること」という意味もありますよ。「製作」が使われるものとしては、「家具」「工業製品」「機械」などです。

「制作」と「製作」の違いは?

「制作」と「製作」の意味を理解したところで、違いを明らかにしていきましょう。両方とも、何かを作ることという意味は同じですが、「制作」は想像力や表現力を活かして作り上げる芸術作品を作るときに使われるもの。一方で「製作」は、機械などを使い、実用品を作るときに使われるものです。また、「製作」は、プロデュースをすることに対しても使われます。

これはどっち? 「制作」と「製作」の使い分け

なんとなく「制作」と「製作」の違いはつかめたでしょうか? ここでは、「制作」と「製作」のどちらを使えばいいのか、いくつかのケースをピックアップして紹介します。

映画

映画業界では、作品を実際に作っているのか、実際には作っていないけれどもプロデュース面で関わっているのか等によって、「制作」と「製作」が使い分けられています。具体例を見ていきましょう。

映画を実際に作ることは「制作」です。映画のプロデュースをすることは「製作」になります。

この観点から、「制作者」と「製作者」の使い分けについても、チェックしていきましょう。「制作者」にあたるのは、映画監督、カメラマンなど。ちなみに、「制作者」のことをまとめて「制作陣」と言うこともあります。一方で、「製作者」にあたるのは、映画制作のために資金調達をする人、宣伝をする人などです。

保育

保育園や幼稚園などでは、子どもたち自身が折り紙やハサミなどを使って、季節の飾り物やカードなどを作ることがありますよね。保育業界では、「制作」ではなく、「製作」を使います。ちなみに、厚生労働省が出している「保育所保育指針解説書」でも、「製作」の漢字が使われていました。

参考:「保育所保育指針解説書」(厚生労働省)

子供と制作
(c)Adobe Stock

ハンドメイド作品

近年では、ハンドメイドのアクセサリーなどをオンラインで販売する人も増えていますよね。こうしたハンドメイド作品は、場合によって「制作」と「製作」を使い分けます。例えば、アクセサリーなどの品物をデザインしたり、手作りする段階では「制作」。ただし、その品物が商品化され、工場などで大量生産をしたり、販売をするときには「製作」を使います。

使い方を例文でチェック!

続いては、「制作」と「製作」を使った例文を紹介しましょう。具体的な例文を確認することで、より理解が深まるはずです!

1:「印刷会社からは、会社案内の製作は明日完了予定との連絡をいただいています」

印刷会社は、会社案内の中身を実際に作っているわけではなく、すでにできあがっている原稿やデザインを印刷し、製本をします。ですので、印刷会社の作業は「製作」を使うのが正解。「制作」を使うのは、会社案内の企画立案や原稿執筆、誌面のデザイン作業に関してです。

2:「今話題の映画の製作費は、10億円だったそうだ」

もし「制作費」という言葉が使われているのであれば、映画を実際に作るためにかかる費用「制作費」のみを意味します。しかし、この例文では、「製作費」を使っていますから、「制作費」と、映画に関わる「広告宣伝費」の両方を含んでいることがわかりますね。

3:「アニメの制作会社に、請求書の送付を依頼する」

制作会社とは、アニメ作品を実際に作る会社のこと。制作会社という言葉を、アニメのエンドロールなどで見かけたことがある方も多いでしょう。ちなみに、「〇〇(アニメの名前)製作委員会」という言葉も見かけたことはありませんか? 製作委員会とは、制作会社やスポンサー、放送局などの集まり。その作品を一緒に興行している、ということです。

パソコンを見る女性
(c)Adobe Stock

4:「この絵画の制作には、何日もの時間を費やしたそうだ」

絵画は芸術作品ですので、使うのは「制作」です。ちなみに、作家の作品を画集にして、出版社が販売をする場合は、「制作」ではなく「製作」になります。

類語の「作成」と「作製」の違いは?

「制作」「製作」の類語に、「作成」「作製」があります。「作成」「作製」に関しても、使い分けに迷ったことがある方は多いはず。「作成」「作製」の違いについても、一緒に確認しておきましょう。

「作成」の意味

「作成」とは、「文章や計画、書類などを作ること」です。例えば、報告書や記事、企画書などには「作成」を使います。

「作製」の意味

「作製」とは、「図面や物品などを作ること」という意味。ちなみに物品とは、実際に人が食べたり使ったりするものを意味します。「作製」が使われる例としては、設計図などです。

「作成」と「作製」の違い

「作成」と「作製」は、両方とも何かを作ることを意味します。違いとしては、「作成」は文書や書類などに対して使われるもので、一方「作製」は物品など、形あるものを作るというニュアンスです。

最後に

「制作」と「製作」は同じような意味の言葉ですが、厳密には違いがありますので、きちんと使い分けることが大切です。ビジネスシーンで恥をかかないよう、「制作」と「製作」の使い分けをマスターしてくださいね!

TOP画像/(c) Adobe Stock

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