内祝いとは
今までに「内祝い」の表記のあるカタログギフトや、インターネットのショップを見たことがある方は多いのではないでしょうか? しかし、実際に内祝いを贈った経験がない方にとっては、何となくお返しのニュアンスであることは理解していても、「どんなお祝いなの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
「内祝い」とは、結婚や出産、入学などのおめでたいイベントがあった時に親戚や友人、職場の親しい方からいただいた「お祝いへのお返し」のことを指します。
本来は「お返し」という意味ではなく、おめでたい報告を兼ねて身内などの親しい人たちへ祝いの席を設け、縁起物の贈り物をくばる「幸せのおすそわけ」をする意味として使われていた言葉のようです。しかし、現代では、「内祝い」を「幸せのおすそわけ」の意味で使用するケースはほとんど存在しないでしょう。
内祝いを贈る際のマナーやギフトの選び方を知っておくことで、相手の方に感謝の気持ちをきちんと伝えられますよ。ここでは内祝いのマナーやギフト選びのポイント、相場などを紹介します。
シーン別内祝い
一口に「内祝い」といっても、贈るシーンもさまざまです。ここでは、お祝いのシーン別内祝いを紹介します。
1:結婚
結婚のお祝いをしてもらった相手に、報告を兼ねてするお返しが「結婚内祝い」になります。結婚内祝いは結婚の報告を兼ねているので、新郎新婦の写真入りカードを添えて、華やかなふさわしいギフトを選びましょう。
結婚式に招待したゲストからいただくご祝儀に対しては、披露宴での食事や引き出物が結婚内祝いの代わりとなります。そのため、原則として別途内祝いを贈る必要はありません。
2:出産
赤ちゃんが生まれた際にいただいたお祝いのお返しが「出産内祝い」となります。出産内祝いは赤ちゃんが生まれた報告と挨拶を兼ねるもの。赤ちゃんの名前入りのスイーツギフトを選んだり、赤ちゃんの写真入りのメッセージカードも添えるのもよいですね。最近は、多くのネットショップで内祝いのカタログギフトを購入したら、無料でカードを作成して添付してくれるサービスを行なっているところがたくさんありますよ。
3:入学
幼稚園や保育園、学校など入園・入学のお祝いへのお返しが「入学内祝い・入園内祝い」になります。 特に、小学校入学時には親族から高額なランドセルや、学習机などをお祝いとしていただくケースも多いかと思いますが、そのお返しとして内祝いを贈るパターンが多いでしょう。
4:新築
新居への引越しや、新しく家を建てた際にいただいたお祝いのお返しが「新築内祝い」になります。お披露目を兼ねて、新しい家に招待すること自体も内祝いとなるので、おもてなしをして感謝の気持ちを伝えましょう。
高額の贈りものをいただいた場合、もしくは相手が遠方にお住まいで自宅への招待が叶わない場合、いただいた贈りものの「半額程度」のものをお返しするのがベターだと言われています。
内祝いのマナー
内祝いを贈る際に知っておきたい、相場やおすすめの品、のしについて紹介します。
内祝いの相場
内祝いは感謝の気持ちを伝えるもの。贈り主の気持ちによって内容も異なるため、厳密な金額のルールは存在しません。しかし、一般的な内祝いの相場は、いただいたものの半額程度のものを贈る「半返し」が基本と言われています。半額以上のものを贈ると、相手に気を遣わせてしまったり、逆に失礼にあたる可能性もあるので注意が必要です。
特に両親や親戚など、身近な方から高額なお祝いをもらった時は、きっちり半返しにする必要はありません。そうした場合は、いただいたお祝いの「3分の1程度」もしくは自分の気持ちで金額を決めて、内祝いを贈りましょう。
いただいた贈りものの金額が分からない場合、内祝いの相場とされる「3千円から5千円」程度の品物を選ぶのが無難でしょう。ネットショップなどには「金額別内祝いランキング」などもあるのでチェックしてみてくださいね。
おすすめの内祝い
内祝いのギフトを選ぶ際、価格帯によって商品が紹介されていることがほとんど。名前入りの物や、記念品の置き物のようなものから食品までラインナップも多種多様です。相手の好みが分からない場合、
・食料品
・洗剤
・カタログギフト
のような消耗品、もしくは贈る相手の住宅事情に関わらずスペースを必要としない、消えて無くなるようなものをおすすめします。
のしはどうする?
基本的に、内祝いを贈るならのし紙をつけるのがマナーです。のしの表書きは、水引の上に「内祝い」と記入し、水引の下に贈り主の名前を書くのが一般的。ただし、出産内祝いに関しては赤ちゃんの名前を記入して贈ってくださいね。
水引を選ぶ際は、内祝いの内容によって選ぶ水引の種類が異なるため、注意が必要です。出産など、何度あってもおめでたいできごとに関しては、何度もほどくことが可能な「蝶結びの水引」を選んでください。のしと紅白蝶結びの水引が印刷されたものを使用します。
結婚など、何度も繰り返さないほうがよいお祝いごとに関しては「結び切り」を使います。結び切りは、「一度結んだらなかなかほどけない」とされているもの。その結び方から「一生結ばれる」という願いが込められています。結婚内祝いの場合は、紅白の結び切りを使用するのが一般的ですよ。
どの場合でも、ペンは筆ペンや毛筆、サインペンなどしっかりと濃く書けるものを使用しましょう。
内祝いはいつまでに
それぞれの事情にもよるのではっきりとは言えませんが、一般的にはお祝いをいただいてから「1か月以内」を目安に内祝いを贈るのがベスト。「出産内祝い」に関しては、「出産後1~2か月以内」を目安に贈るのが一般的ですが、産後の落ち着いたタイミングで贈っても◎。
いただいたお祝いの金額は一人一人違うものですよね。したがって、お返しもそれに合わせて一人一人異なります。しかし、内祝いのギフトを個別に選ぶとなると、時間がかかって大変…。だからといって、「新生活の慌ただしさに追われて、気がつけば内祝いのタイミングを過ぎていた」ということになっては、失礼です。そうならないためにも、早めに準備しておくと安心ですよ。
内祝いとはお礼を伝える手段の一つ
最近では、「内祝い」そのものに疑問を唱える声もちらほら出てきています。特に出産内祝いに関しては、「産後の赤ちゃんのお世話が大変な時に、内祝いを何個も選ぶ作業は負担が大きいからいかがなものか?」という声や、「いただいたものの値段を調べるのも気が引けてしまう」という意見も聞かれます。
日本のお返しの文化は、「礼儀を重んじて、感謝の気持ちを伝えることができる」というメリットがある反面、人によってはルールに縛られて「単なる義務感」になってしまう部分もあります。内祝いは、あくまでお礼を伝える手段の一つ。義務感に囚われすぎずに、それぞれの感謝を伝えられるといいですね。
最後に
「内祝い」は、祝福してくれた相手へ感謝を伝えることができる機会です。今後の長いお付き合いのためにも、贈る場合はマナーを守り、相手が喜んでくれるような内祝いを贈りたいですね。そのための参考の一つとしてもらえたら、うれしいです。
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