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2023.03.03

ゴールドマン・サックス出身のスタートアップCEOが教えたい、仕事にも人生にも役立つ「デザイン思考」

目の前の仕事、キャリア、人間関係と悩みは尽きないもの。一方で、自分の身に降りかかる様々な難題は、意外と「地続き」だったりもします。「想像力」や「アイデア力」を数値化するAI技術で日米特許を取得した『VISITS Technologies』CEOの松本勝さんが、仕事にも人生にも活かせる「デザイン思考」のエッセンスを解説します。

共感からうまれた、ユーザー視点の考え方

この記事を読んでいる多くの人の手元には「スマホ」があるでしょう。かつての固定電話は、「移動しながら使えたらもっと便利」というニーズを満たすために携帯電話(フィーチャーフォン)へと姿を変えました。さらに、通話と簡単なテキストのやり取りしかできない携帯電話は、「様々なアプリを利用したい」というニーズに応えるための機能を加え、スマホへとたどり着きました。

日頃の買い物にAmazonを利用する人はたくさんいると思います。Amazonの創業前からネット通販サイトは存在しましたが、Amazonが世界的な規模にまで拡大するきっかけの1つに、クレジットカードや配送先情報を登録すれば、次回の買い物以降入力を省ける機能があったと言われています。これも「何度も面倒な手続きをしたくない」というニーズに応えたものでした。

このようなニーズは、ユーザー心理への徹底した「共感」から導き出されました。その「共感」から始まるのが、デザイン思考なのです。

「デザイン思考」とは?

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、古くは50年ほど前のシステム工学やデザイン工学の分野から「デザイン思考」は生まれました。今ではビジネスにおいて、新規のサービス開発を行ううえで必要不可欠な考え方とされています。特に「答えのない課題」の解決を目指す際に、最大の効果を発揮します。

「デザイン思考」の5つのプロセス

デザイン思考は、具体的に5つのステップを踏みます。

1. 共感
2. 問題定義
3. 創造
4. プロトタイプ
5. テスト

「答えのない課題」と述べた通り、まず「何が問題/ニーズなのか?」をつかまなければなりません。顧客や相手の行動を観察したり、インタビューを通じてインサイト(本音)を発見し、「問題定義」をする必要があります。そのファーストステップとして重要なのが「共感」です。憑依したかのように相手になりきって考えることが不可欠で、「デザイン思考は共感から始まる」とも言われるほどです。

問題定義を行った後は、実際に解決するためのアイデアを考えます。それが「創造」のステップです。問題を解決できそうなアイデアを思いついた後は「プロトタイプ(試作品)」を作成し、まだ世の中にないサービスを正しく顧客にイメージしてもらい、「テスト」で実体験とともにフィードバックをもらいます。

この5つのプロセスを繰り返すことで、これまで世の中になかった「画期的な新しいもの」を描き出す(=イノベーションを起こす)のが、「デザイン思考」の目的と言えます。

会議の様子
(c)Shutterstock.com

「新しい組み合わせ」がイノベーションを呼び起こす

身の回りには、デザイン思考によって生み出されたものが意外と数多くあふれています。

冒頭のスマホやAmazonはもちろん、ユニクロの「ヒートテック」は成功例の1つです。多くの人が冬場に「暖かく快適に過ごしたい」というニーズを抱えています。一方、着膨れするために「冬ファッションを楽しむ」ことを諦めていました。逆に、冬のファッションのためには、寒さに耐えなければならなかったのです。

ほとんどの人は、2つが両立しないのはある種「当たり前」だと思っていたことでしょう。しかし、その非常に強力なニーズに着目し、双方に応えたのがヒートテックという画期的商品でした。

一見関係のないように見える「新しい組み合わせ」によって生み出されるものこそイノベーションであり、「デザイン思考」の結果導き出されるのです。

「なりたい自分になる」ための逆算

ここまではデザイン思考をビジネスに活かす方法について説明をしてきました。しかし、デザイン思考はビジネス以外にも使える非常に汎用的な考え方です。

デザイン思考はよく「CanではなくWillで考える」と言われます。これは、Can(できること)で物事を考えるのではなく、Will(どうありたいか)という理想の状態からの逆算で物事を考えるという特徴を表しています。

キャリアを選択する際、自分の経験やスキルをもとに「何ができるか」という視点だけで進路や就職先を選択すると、短期的には新天地での活躍の可能性は高まるかもしれませんが、中長期的には「本当に自分のなりたい姿」から離れていくかもしれません。

本来は「今の自分にできること」という制約条件に囚われずに「自分が将来どうありたいか」という理想の状態をイメージし、そこから逆算をして「今何をすべきか」を考えた方が自分の描く理想に近づく可能性は圧倒的に高いはずです。そのうえで自分に欠けている経験やスキルがあるのであれば、それを習得すれば良いのです。

パズルをはめ込む様子
(c)Shutterstock.com

人間関係も「デザイン思考」で円滑に進む

デザイン思考は、相手に共感することでその人が本当に求めていること(ニーズ)に気づき、それを実現する方法を見いだす思考法です。この能力が高ければ、日常生活において友人や家族とコミュニケーションする中で、彼らが本当に求めていることに気づき、先回りして喜ぶ行動をしてあげることができるようになります。

きっと相手は「何も言わなくてもいつも私の求めていることに気づいてくれてサポートしてくれる」とあなたに感謝し、良い人間関係を築くことができるようになるでしょう。

最後に

社会生活においてチームの一員として活動する以上、自分の言動が相手の気持ちにどのように影響を与えるかを考えながら自分の行動をデザインする必要があります。デザイン思考の本質は「人の気持ちをデザインすることで人を動かすこと」です。デザイン思考は1人の人間として、様々な集団の中で生活する私たちにとって必要不可欠な能力なのです。

デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」の書影

▲『デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」』(¥990/小学館)

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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松本勝さん

松本 勝(まつもと・まさる)

1975年大阪府生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマン・サックス入社。株式トレーダー、金利デリバティブトレーダーを経て、2010年に人工知能を用いた投資ファンドを設立。2014年にVISITS Technologiesを設立し、人の創造性やアイデアの価値を定量化する合意形成アルゴリズム「CI(コンセンサス・インテリジェンス)技術」を独自開発して日米で特許を取得。ビジネスカンファレンスやアワードの受賞多数。趣味は筋トレ。アームレスリング元日本代表。FWJ JAPAN OPEN 2022 フィジーク マスターズ優勝。著書に『デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」』(小学館)、『破壊的イノベーションの起こし方』(東洋経済新報社)。Twitter:@visits_tech


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