イラッと怒りの感情が湧いた時に使われる「苛立ち」という言葉。普段なんとなく使っているけれど、詳しい意味は知らない方も多いのでは? 今回は、「苛立ち」の意味や使い方、英語表現などを解説します。
苛立ちとは?
「苛立ち(いらだち)」とは、「イライラする気持ちのこと」。自分の思うようにならず、気持ちが高ぶることを指します。苛立ちは、動詞「苛立つ」の連用形で、怒りが湧いて、じっとしていられなくなるような感情を表す言葉です。「苛立ち」の「苛」という漢字は、「厳しい、むごい、はなはだしい」などの意味があることからも、激しい感情が伝わってきますね。
使い方を例文でチェック!
「苛立ち」には、「苛立ちを覚える」「苛立ちが募る」など様々な表現があります。それぞれのニュアンスの違いを抑えてうまく使い分けてみましょう。
1:彼の偉そうな口調に苛立ちを覚える。
誰かの偉そうな態度が勘に触り、思わずイラッとした時などに「苛立ちを覚える」を使います。「覚える」には、「記憶する」という意味の他に、「体や心に感じる」という意味があるため、「苛立ちを感じる」とほぼ同義語と考えていいでしょう。
2:会社からなかなか許可がおりず、苛立ちが募る。
会社や取引先からの返事がなかなか来ないと焦ることもあるでしょう。特に期日が迫っている時に許可が下りないと、じれったくてイライラしてしまうこともあるかもしれません。相手への不満から、怒りの感情がますます激しくなることを「苛立ちが募る」と表現します。
3:議員の無責任な発言に、苛立ちを隠せない。
あまりにひどい状況を目の当たりにして、怒りの感情を抑えられないことを「苛立ちを隠せない」と表現します。怒った表情を見せたり、文句をいうなど、怒っていることが明らかにわかるような状況で使われることが多いでしょう。
言い換え表現は?
「苛立ち」のようにイライラする気持ちを表した言葉に、「焦燥」「むしゃくしゃする」「じれったい」などがあります。それぞれどんな場合に使われるのかみていきましょう。
1:焦燥
焦ったり、イライラすることを「焦燥(しょうそう)」と言います。周りと比べて自分が劣っていると感じて焦ったり、思うようにいかずイライラする気持ちのことです。そのまま「焦燥する」ということもできますが、「焦燥感にかられる」「焦燥感にとらわれる」などと表現されることが多いですね。
・事業の失敗に焦燥する。
・なかなか試験に合格できず焦燥感を覚えた。
2:むしゃくしゃする
腹立たしくて、気分が晴れないことを「むしゃくしゃ」と言います。嫌なことばかりが続いて、自暴自棄になったり、荒っぽい行動をとることも。気持ちをスッキリさせるために、酒を飲んだり、人に八つ当たりすることもあるでしょう。
・友達に言い返すことができず、むしゃくしゃした気持ちになった。
・むしゃくしゃした気持ちを家族にぶつけた。
3:じれったい
物事がなかなか思うようにならず、イライラすることを「じれったい」と言います。自分の気持ちがうまく相手に伝わらず、もどかしい、気持ちが落ち着かないというようなニュアンスです。その状況に対して手の出しようがなく、苛立たしい思いが募っている時に使われますね。
・両想いのはずなのに、なかなか彼が告白してこないのでじれったい。
・彼女はなかなか自分の本音を話さないのでじれったい。
英語表現は?
イライラした感情を英語で伝えるにはどのような単語を使えばいいのでしょうか? 覚えておくと役に立つ単語を3つ紹介します。
1:irritate
「irritate」は、「イライラさせる、怒らせる」という意味。気に触るようなことを繰り返して、腹を立てさせた時に使用します。例文の「苛立ちが募る」に近いニュアンスですね。大抵は、過去分詞の「irritated」を使い、「イライラさせられる、イライラしている」といういみで用いられます。
・My mother got very irritated about it.(母はそのことで大変腹を立てた)
・She is irritated against you.(彼女はあなたに腹を立てているよ)
2:annoyed
「annoyed」は、「〜にイライラする」「腹を立てる」という意味。「annoyed with you」で「あなたに腹を立てる」と表現します。「annoyed」には、他に「困っている」「悩んでいる」という意味を持つことから、他人からの迷惑な行動に困って、イライラしていると言った場合に用いられることが多いようです。
・I am annoyed at his behavior.(彼の振る舞いには困ったものだ)
・He was annoyed to learn that the train would be delayed.(電車が遅れると知ってイライラした)
3:impatient
「impatient」には、「イライラする」の他に「じれったい」「もどかしい」などの意味も含まれます。返事をじっと待つことにイライラしたり、相手のはっきりしない態度を見てじれったいと感じる時に使われるのが特徴です。
・The teacher was impatient at our ignorance.(先生は私たちが物を知らないことに業を煮やした)
・We were impatient for the plane to take off.(早く飛行機が出発してくれればよいのにと気をもんだ)
最後に
今回は、「苛立ち」の意味や使い方、言い換え表現などをみていきました。苛立ちは、自分の思い通りにならず、イライラした感情を表す言葉。その気持ちの中には、焦りやもどかしさなどが含まれることもあるでしょう。「苛立ちを覚える」や「苛立ちが募る」などの表現をうまく使い分けて、語彙力を豊かにしてみてはいかがでしょうか。
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