目次Contents
この記事のサマリー
・「人の噂も七十五日」とは、噂は一時的で、やがて忘れられるという意味のことわざ。
・「七十五日」は厳密な日数ではなく、慣用的に「しばらくの間」を表す表現。
・英語では “It will be a nine days’ wonder. ”が対応表現とされ、噂や話題は長続きしないという考え方は文化を超えて共通している。
「人の噂も七十五日」… SNSや職場の会話で耳にして、「意味はわかるけれど、正確に説明できるかな?」と立ち止まった経験はありませんか。噂は、言葉にした瞬間から「誰かの気持ち」にも触れやすいもの。だからこそ、ことわざの意味を曖昧にせず、安心して使える形で押さえておきたいですよね。
この記事では、辞書に基づく定義と用例を軸に、今の私たちの感覚に沿う使い方まで整理します。
「人の噂も七十五日」の意味と現代でのニュアンス
ここでは、まず基本的な意味と読み方から確認していきましょう。
読み方と意味
「人の噂も七十五日」は、「ひとのうわさもしちじゅうごにち」と読みます。世間の噂が永遠に続くものではないことを示すことわざです。
辞書では次のように説明されています。
人(ひと)の噂(うわさ)も七十五日(しちじゅうごにち)
世間のうわさは長く続かず、しばらくすれば忘れられるものである。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
数字の印象から「四十九日」などと混同されがちですが、正しい形は「七十五日」です。
現代社会でのニュアンスと受け取り方
このことわざは、単に「噂は消える」という事実を述べるだけでなく、噂を立てられた側がどう受け止めるかという含みとしても使われてきました。『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)では、「噂を立てられてもしばらく辛抱しておさまるのを待てばよい」という意味合いがあると説明しています。
現代でも、誰かを励ます場面や、冷静さを保ちたいときに用いられることが多く、相手の気持ちに配慮しながら使いたい表現です。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

なぜ「七十五日」? 由来・歴史・文化的背景
「人の噂も七十五日」と聞いて、多くの人が気になるのが「なぜ七十五日なのか」という点ではないでしょうか? 実は、この数字について明確な理由が説明されている資料は多くありません。
ここでは、辞書・ことわざ資料に記された内容の範囲に絞り、由来や使われ方を確認していきます。
文献に見る「七十五日」という表現
「人の噂も七十五日」は、江戸時代から近代にかけて、繰り返し文献に登場します。俳諧『毛吹草』(1638)や、浮世草子、歌舞伎『東海道四谷怪談』(1825)などに用例が見られます。これらの資料から分かるのは、この表現が特定の時代の流行語ではなく、長く定着して使われてきたことわざだという点です。
「なぜ七十五日か」はどう説明されている?
『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)では、「七十五日」は「初物七十五日」などにも見られる、慣用的な日数表現とされています。ここで重要なのは、「七十五日」が厳密な期間を指す数字ではない、という点です。なぜ七十五日なのかという具体的な計算根拠や由来が示されているわけではありません。
一方、『ことわざを知る辞典』(小学館)では、「人の噂も七十五日」を、2、3か月もすれば世間の関心は薄れ、噂は話題にされなくなるという意味で説明しています。口さがない噂は虚実が入り交じり、人を傷つけることもありますが、感情的に反応するとかえって事態をこじらせてしまうこともある。だからこそ、「七十五日ほど」と受け止めて辛抱し、時が収まるのを待つ。そんな姿勢を促す言葉でもある、と解説されています。
また、「七十五日」は中期的な区切りを示す、やや幅のある時間感覚を表す表現だと考えられます。2か月半ほど経てば季節が移り変わり、人々の関心も次第に別のところへ向かう。噂に対する見方も落ち着き、冷静に状況を見極める人や、理解を示す人が現れる…。そうした時間の流れを、当時の人々は「七十五日」という言葉で感覚的に捉えていたのでしょう。
さらに補足すると、かつて月の満ち欠けを生活の基準としていた時代には、半月という単位は、朔日から満月、あるいは満月から晦日までといった形で、今よりも身近でイメージしやすいものでした。そのため、「七十五日」という表現も、生活実感に即した、理解しやすい時間の目安だったと考えられます。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)、『ことわざを知る辞典』(小学館)

使い方と英語表現をチェック!
ここでは、具体的な場面別の例文を通して使いどころを確認し、英語表現も見ていきます。
場面別・シーン別の例文
このことわざは、噂に振り回されて落ち込んでいる人をなだめたり、励ましたりする場面で使われることが多い表現です。
例えば、
「今はつらいかもしれないけれど、人の噂も七十五日だよ」
といった言い方は、時間が経てば状況が落ち着くことを静かに伝えられます。
また、職場で根拠のない評判に悩んでいる同僚に対して、
「すぐに反論したくなる気持ちはわかるけど、人の噂も七十五日だから、少し様子を見よう」
と声をかける使い方も考えられるでしょう。
さらに、家族や親しい人に向けて、
「今は周りが騒がしいけれど、人の噂も七十五日。無理に説明しようとせず、落ち着くのを待とう」
と伝えることで、感情を鎮める助けになることもあります。
英語ではどう表現するか?
「人の噂も七十五日」に対応する英語の慣用表現として、『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)では
It will be a nine days’ wonder.
を紹介しています。これは、「話題は九日間の驚きにすぎず、すぐに忘れられる」という意味の表現です。数字は異なりますが、「噂や話題は長続きしない」という点で共通していますね。

「人の噂も七十五日」に関するFAQ
ここでは、「人の噂も七十五日」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「人の噂も七十五日」とは、簡単にいうとどんな意味ですか?
A. 世間の噂や評判は、どれほど盛んに語られていても長くは続かず、しばらくすると忘れられてしまう、という意味のことわざです。
Q2.「七十五日」とは、正確に七十五日間という意味ですか?
A. いいえ、厳密な日数を示しているわけではありません。「しばらくの間」「一定の時が過ぎれば」といった幅のある期間を表しています。
Q3.「人の噂も七十五日」は、どんな場面で使うのが適切ですか?
A. 噂や風評に悩んでいる人をなだめたり、時間が経てば状況が落ち着くことを伝えたい場面で使われます。
最後に
「人の噂も七十五日」には、感情的にならず、時間の流れに身を委ねるという姿勢がにじんでいます。噂に心を乱されそうなときこそ、このことわざを思い出してみてください。意味を正しく理解していれば、誰かを傷つけることなく、そっと気持ちを支える言葉として使えるはずです。
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