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2023.01.19

「人の噂も七十五日」って、どんな意味? 例文・類語・注意点も解説

「人の噂も七十五日」とは、世間が色々と噂するのも一時のことで、やがては忘れられるという意味のことわざです。本記事では、例文や類語、さらに対義語や英語表現についても解説していきます。

「人の噂も七十五日」の意味は?

噂とは、そこにいない人を話題にしてあれこれ話をすることを言います。自分がいないところで、どんなことを言われているのか、いいことならとにかく、恥ずかしいことや、嫌なことを言われていないか、ちょっと気になってしまいますよね。

そこで本記事では、正確な意味から、例文、類語、対義語、英語表現までを確認していきましょう。まずは、意味から見ていきます。

「人の噂も七十五日(しちじゅうごにち)」の意味は、「世間がいろいろと噂をするのも一時のこと。2、3ヶ月もすれば忘れて話題にしなくなる」というものです。

人が口伝えにする噂話はその時には盛り上がっても、そのうちまた別の人の噂話となり、いつの間にか忘れ去られていくということ。例えば、年明けに「今年の大予想」と噂になったことを、その年の年末まで覚えていることはまれですよね。

現在は新聞やテレビ、スマートフォンからも、情報を簡単に得ることができる情報化時代です。次々と新しい情報が入ってくるので、噂を忘れることも早く、七十五日どころか、ひと月ももたいないかもしれませんね。

人の噂も四十九日!?

近頃では「人の噂も四十九日」という表現も見られるようになりましたが、これは間違った使い方です。「四十九日」とは、仏教用語で死の瞬間から次の世を受けるまでの期間を指します。

人の噂との関係性は見つかりませんが、日数の「しちじゅうご」と「しじゅうく」がよく似ているため、混同してしまっているのかもしれません。

「人の噂も七十五日」の使い方を例文でチェック

それでは、実際に使うとしたら、どのような場面で使えるでしょうか? 具体的な例文とともに、確認していきましょう。

1:同僚が「有名人と結婚したらしい」という噂が会社で持ちきりになった。本人に確認したところ、「結婚相手の名前が、たまたま有名人と同姓同名なだけなんだけど…。まあ、そんな噂は気にしてないよ。人の噂も七十五日って言うからね」と、全く動じていなかった。

誤った情報が流れてしまったとしても、確固とした事実があれば、噂にも動じずにいられるものです。

木のブロックでFACT
(c)Shutterstock.com

2:昨年は大事件があって、犯人像や事件の背後関係については、いろいろな憶測や噂が飛んでいた。しかし、今ではもう違う事件に関心が移っている。これを、「人の噂も七十五日」というのだろう。

年末になると、その年の重大ニュースがテレビ番組などでまとめられます。そうした番組を観ていると「今年の事件だったけ? 随分前に感じる…」と驚いた経験はありませんか。

大きな事件も、その時に流布していた噂も時間とともに、人の記憶から忘れ去られていきます。

類語や言い換え表現にはどのようなものがある?

ひどい噂に悩まされている人に、「人の噂も七十五日だよ」と、励ました経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。そんな時、言い換え表現も知っていると、さらに励ますことができるかもしれません。3つご紹介しましょう。

こそこそ話すひとたち
(c)Shutterstock.com

1:「人の上は百日」

「人の上は百日」とは、「人の身の上を心配したり、噂したりするのは百日ぐらいのもの」という意味です。これは鎌倉時代の『源平盛衰記』という書物に、「人上は百日こそ申なれ」と記されていたことに由来するといわれています。

2:「世の取り沙汰も七十五日」

「世の取り沙汰も七十五日」とは、人は他人の噂をしたがるものだから、言いたい人には言わしておけと言うことです。

噂の話の渦中に入って、無駄な時間を費やすことはないですよね。時間は、年齢にかかわらず皆にひとしく与えられたもの。時間は命です。噂話で時間を消化するのは、もったいないですよね。

3:「人の口に戸は立てられぬ」

「人の口に戸は立てられぬ」とは、人の言うことには防ぎようがないこと。悪意のある陰口などは、いつの時代も蔓延するものであり、それが人の世であるという意味です。瑣末な噂に心を惑わされることのないようにしたいものですね。

対義語にはどのようなものがある?

それでは、反対の意味だと考えられる言葉にはどのようなものがあるのでしょうか? こちらも確認していきましょう。

1:覆水盆に返らず

「覆水盆に返らず」とは、一度盆からこぼした水は、再び盆にはもどらないように、一度したことは、取り返しがつかないということです。この言葉で有名な話があります。

中国の周の呂尚(りょしょう)という男性が、読書ばかりにひたっていて、一向に働こうとしないので、妻が愛想を尽かして離縁して出ていってしまいました。

その後、呂尚が斉の諸侯(近世日本では諸大名のこと)に封ぜられると、出ていった妻は、復縁を求めました。すると呂尚は、盆の水を地面に流し、これを元通り盆に返したら、望み通りしよう、というお話です。

ちなみに、ここに出てくる呂尚はのちに太公望と呼ばれた有名な政治家です。

2:百日の説法屁一つ

「百日の説法屁一つ」とは、長い間の苦心が、ちょっとした失敗でダメになってしまうことです。

この日の試験のために頑張ってきたのに、「百日の説法屁一つ」、寝坊で遅刻して、受験できなくなる…。こんな事にはならないようにしたいですね。

英語表現は?

「人の噂も七十五日」ですが、英語における似たような表現について確認しましょう。

It will be a nine days’ wonder.

上記の英文の意味は「驚きが続くのは9日間まで」。日本のことわざとは違い、かなり短い期間なのですね。

黄色の壁の穴から耳
(c)Shutterstock.com

最後に

鎌倉時代には人の噂は「百日」と表現され、江戸時代後期には現在の「七十五日」が定着したと考えられています。私たちに入ってくる情報は、時代とともに増加しました。

例えば、現代の日本人の一日分の情報量は、平安時代の人が生涯に接する情報量と同じ、江戸時代の人が一年に接する情報量と同じ、と推測されています。

現代はネット社会。昔は口伝えで流布されていたものが、今ではさまざまな形態となって入ってくるため、一時的な噂はすぐに忘れられていきます。一方で、一度ネットで拡散された「噂」は、「デジタルタトゥー」と呼ばれるように半永久的に残っていく危うさもありますよね。

時代の変化によって、噂が続く日数が減ったように、噂の流れ方も変化していることを意識しておきたいものです。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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