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LIFESTYLE

2023.01.12

針供養とは針への感謝を示す行事! 時期や由来、東京や京都などの有名寺社もご紹介

針供養とは針への感謝を表現し、裁縫の上達を願うための行事で、12月8日や2月8日に実施されることが一般的です。なぜ2つの日があるのか、また、そもそもの由来、実際に針供養を行っている東京や京都などの有名寺社について説明します。

針供養とは使えなくなった針を供養する行事

針供養(はりくよう)とは、たくさん使ってもう使えなくなった針を供養する行事です。使えなくなった針を労わり、今まで頑張って仕事をしてくれたことに対して感謝を示すことで、道具1つひとつを大切にすることや針仕事の上達を願うことなどの意味合いが含まれています。

針供養の起源として、中国の「土地の神様を祀る日に針仕事を休む」という風習が挙げられます。この風習が日本に伝来し、平安時代には貴族の間で、江戸時代には主に女性の間で広まったようです。

裁縫道具
(c)Shutterstock.com

2月8日か12月8日に実施されることが一般的

針供養は、2月8日か12月8日に行われることが一般的です。寺社によっても異なりますが、関東では2月8日、関西では12月8日に行われる傾向にあります。また、両日ともに針供養を行う寺院もあります。

かつて、針仕事は女性がするものと決まっていたため、針供養は女性を守る神様とされる淡島神(あわしまのかみ)を祀っている寺社で行われることが多いです。日本全国にあるので、ぜひお近くで針供養を実施している寺社を探してみてください。

事始め・事納めを祝う行事と針供養

針供養は起源とされる中国では土地の神様を祀る行事ですが、日本ではコトノカミと呼ばれる神様を祀る行事です。コトノカミには新年を迎えるときに来られる年神様と、田んぼで農耕と実りを見守る田の神様がおられ、どちらを祀るかによって針供養の日が2月8日と12月8日に分かれます。

年神様を祀るときは、12月8日が事始め、2月8日が事納めとなります。一方、田の神様を祀るときは、2月8日が事始め、12月8日が事納めです。

田の神様は人間の仕事を意味し、神事が終わって人が働き始めるのが2月8日、仕事を納めて神事を行い始めるのが12月8日とされています。また、2月8日と12月8日をまとめて「事八日(ことようか)」と呼ぶこともあります。

針供養の方法

針はいつも、固い布を突き刺しています。お世話になった針を労う針供養では、針を労い、感謝の気持ちを込めて豆腐や餅、こんにゃくなどの柔らかいものに刺すことが一般的です。

地域や寺社によっても異なりますが、針が安らぐように柔らかいものに刺してから、土に埋めたり、神社に奉納したりすることもあるようです。また、針以外の道具も同じように奉納し、道具への感謝を示すこともあります。

郵送での対応を実施している寺社もある

針供養を実施する寺社は全国にありますが、お住まいの近くにない方もいるでしょう。また、近くに針供養を実施する寺社はあるものの、忙しくて2月8日や12月8日に供養に行けないという方もいるかもしれません。

針供養を実施している寺社によっては、郵送での対応を受け付けていることがあります。次の流れで針供養ができるので、忙しい方や立地的に難しい方は利用してみてはいかがでしょうか。

1. 郵送対応をしている寺社に針供養をしたい旨を伝える
2. 寺社から振込用紙が届く
3. 指定の期日までに所定の供養料を振り込む

なお、振込の期限は、針供養が実施される1週間ほど前が多いです。遅れないように、早めに寺社に問い合わせましょう。

針供養で有名な関東・関西の寺社

浅草 浅草寺
(c)Shutterstock.com

盛大な針供養を行うことで知られる、関東・関西の寺社をご紹介します。お世話になった針を持って、出かけてみてはいかがでしょうか。

ただし、針を持っていくときは、紛失しないように注意が必要です。針は小さいですが、先端部が鋭利で危険な道具でもあるので、ジッパー付きのナイロン袋などに入れて持ち運ぶようにしましょう。

浅草寺(東京都台東区)

東京都台東区の浅草寺(せんそうじ)では、毎年2月8日に針供養会(はりくようえ)と呼ばれる針供養の行事を実施しています。

浅草寺にはいくつか堂がありますが、針供養会で中心となるのは淡島神を祀る淡島堂です。淡島堂の境内には大きな豆腐が置かれ、人々は持ち寄った針を刺して供養を営みます。

また、淡島堂には魂針供養之塔があり、針供養会の当日には塔の前で法要が行われます。なお、金龍講によるご詠歌も屋外で実施されるため、誰もが拝聴し参加することが可能です。

なお、浅草寺では12月8日は針供養を行いません。12月8日はお釈迦さまが悟りを開いた「成道日(じょうどうび)」として、本堂内陣に成道図を掲げ、法華経を読む法要が営まれます。

太平寺(大阪市天王寺区)

大阪市天王寺区の太平寺(たいへいじ)では、毎年2月8日に針供養を行います。境内には針塚(はりづか)があり、仕事や家事で裁縫に携わっている人々が、その日1日は針仕事を休み、古い針を持って供養するために集います。

なお、太平寺の針塚は、1987年に虚空蔵菩薩に諸芸上達を祈願して建立されたものです。書芸や文芸を携わる人々が使い古した筆や鉛筆などを持って集う「筆供養(ふでくよう)」や、いつもお世話になった茶筅を持ってお焚き上げ供養をする「茶筅供養(ちゃせんくよう)」も、同年に建立されました。

筆供養と茶筅供養は針供養と同じく2月8日に営まれます。道具に感謝し、芸事の上達を祈願する日として毎年多くの方が道具を持って参拝します。

法輪寺(京都市西京区)

京都市西京区の法輪寺(ほうりんじ)では、毎年2月8日と12月8日の両日に針供養が営まれます。なお、法輪寺の針供養は、皇室で使用された針を天皇の命で供養したことから始まったことで知られてきました。

その由来に基づき、現在でも12月8日の針供養では、皇室から預かった針の供養も行っています。

年に一度は普段使っている道具に感謝しよう

裁縫道具
(c)Shutterstock.com

年に一度は、普段使っている道具に感謝するようにしましょう。感謝の心を持つことで、道具を大切に扱い、長持ちさせることができます。また、道具を使わない日を設けることで、疲れた自分自身を労わるきっかけにもなるでしょう。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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