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年収1500万円の手取りも1500万円?
「年収」「額面」「手取り」という言葉を目にすることがあると思います。まずはこれら3つの言葉の意味について、知っておきましょう。
年収と額面、手取りの違い
「年収」「額面」「手取り」という言葉は、いずれも給与や収入のことを指しますが、この3つには明確な違いがあります。年収1500万円というと、手取りも1500万円で、月換算だと125万円使えると思われがちですが、そうではありません。
・年収とは
年収とは、1年間に支給された賃金総額のことを指します。毎月の給与以外に諸手当やボーナス、インセンティブなども含みます。交通費は実費支給となるため、年収とは別と考えることがほとんどです。なお、年収は税金を算出する際に使われます。
・額面
額面は、総支給額とも呼ばれます。企業から支払われる金額の合計のことで、税金や社会保険料などを差し引く前の金額を指します。額面通りの金額を受け取るということは、ほぼ無いと考えていいでしょう。
・手取り
手取りとは、実際に受け取ることができる給与のことです。会社員の場合は、指定した銀行口座に振り込まれた金額が、手取りに該当。手取りは額面の8割程度になることが多く、給与明細上で「差引支給額」として表記される金額が、実際の手取りと一致します。
年収1500万円なら税金や社会保険料はいくら?
ここからは、年収1500万円の場合、どれくらいの税金や社会保険料を払うことになるのか見ていきましょう。なお、税金や社会保険料は、家族構成や各控除額などにより変動します。以下の金額はあくまでも目安ですので、注意してください。なお、共働き世帯の場合は、それぞれの年収が750万円と仮定し、算出します。
所得税
所得税は、高所得になるほど税率も上がりますが、共働きかそうでないかで、所得税額は大きく異なります。
・単身世帯:所得税は191万円
・片働き世帯:所得税は186万9600円
・共働き世帯:所得税は2人合わせて76万3000円
共働き世帯の場合は、控除割合が大きくなりますので、一人あたりの所得税は38万1500円×2人分という計算になります。控除の有無が手取りに影響しているのがわかりますね。
住民税
住民税も確認しておきましょう。
・単身世帯:住民税は105万円
・片働き世帯:住民税は104万2000円
・共働き世帯:住民税は2人合わせて82万9000円
共働き世帯の場合は住民税についても控除割合が大きく、一人あたりだと41万4500円×2人分という計算になります。
社会保険料
社会保険料は、勤務先の所在地によって徴収金額が異なりますが、年収による大きな変動はありません。社会保険料には、以下のものが含まれます。
《社会保険料に含まれるもの》
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(ただし40歳以上のみ)、雇用保険料、労災保険料など
社会保険料は、年収の約15%になるのが一般的とされています。世帯年収が1500万円であれば、年間の社会保険料総額は225万円程度になると考えていいでしょう。
年収1500万円の手取りはいくら?
先述したように、税金や社会保険料は家族構成や控除額により異なります。ここからは世帯別に年収1500万円の手取りがいくらになるのかを見ていきましょう。なお、金額はあくまでも目安です。
世帯別年収1500万円の手取り目安額は
世帯別の手取りは以下の通りです。
《単身世帯》
所得税191万円、住民税105万円、社会保険料225万円を差し引いた手取りは979万円
《片働き世帯》
所得税186万9600円、住民税104万2000円、社会保険料225万円を差し引いた手取りは約984万円
《共働き世帯》
所得税76万3000円、住民税82万9000円、社会保険料225万円を差し引いた手取りは約1116万円
繰り返しになりますが、家族構成や控除額により手取り額は変動します。上記のケースでは、共働き世帯の手取り額がもっとも多く、単身世帯や片働き世帯とは130万円以上の差が生じます。
年収1500万円、その割合は?
日本の中で、年収1500万円の世帯割合はどれくらいになるのでしょうか。
年収1500万円以上の世帯分布図
厚生労働省が実施している「2021年国民生活基礎調査の概況」によると、年収1500万円以上の世帯は日本全国の世帯のうち、3.7%です。日本の平均所得金額は約564万円で、平均所得金額以下の世帯が全体の61.5%を占めています。このことからも、年収1500万円以上の世帯は、日本全国から見るとかなり少ないことがわかります。
年収1500万円の生活費について
一般的には高収入と考えられることが多い年収1500万円ですが、どれくらいの生活水準になるのかを見ていきましょう。
生活費の目安
・住居費
家賃や住宅ローンなどの住居費は、手取りの25%以内に収めるのが理想とされています。各世帯の目安となる住居費を見てみましょう。
《単身世帯》手取り約979万円:年額約245万円(月額だと約20万4000円)
《片働き世帯》手取り984万円:年額246万円(月額だと20万5000円)
《共働き世帯》手取り1116万円:年額279万円(月額だと23万2500円)
・食費
手取りの15%程度が理想とされています。食べ盛りの子供がいる家庭では、もう少し多いこともあるかもしれません。家計で占める食費が15%と仮定し、目安となる金額を確認しましょう。
《単身世帯》手取り約979万円:年額約147万円(月額だと約12万2000円)
《片働き世帯》手取り984万円:年額約147万円(月額だと約12万3000円)
《共働き世帯》手取り1116万円:年額約167万円(月額だと約14万円)
住居費や食費をはじめとする生活費は、知らず知らずのうちに水準が上がってしまうことがあります。特に固定費である住居費については、費用を抑えようと思うと、転居や住宅ローン見直しが必要になり、変更するにも手間がかかります。住居を決める際は十分注意し、住居費の割合が多くなり過ぎないようにしましょう。
しっかりとした家計管理を
年収1500万円になると、税金や社会保険料などの負担が大きくなります。また、生活水準も高くなりがちですので、適宜家計の見直しをし、生活にかかる費用が適正であるかどうか、確認するのがいいでしょう。
最後に
年収1500万円であっても、税金や社会保険料などが差し引かれます。手取りは、家族構成や控除額によって異なりますので、その仕組みを把握しておくといいでしょう。年収1500万円になると、税金や社会保険料などの負担が増えがちです。しっかりと家計管理をし、必要以上に生活水準が上がらないようにしましょう。
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益田瑛己子
ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)と就職支援をメインに活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。