そもそも不誠実とは?
世の中には、誠実な人もいれば、不誠実な人もいます。店員に不誠実な対応をされて、嫌な思いをしたりするかもしれません。付き合った相手がいわゆる「不誠実な男」「不誠実な女」で、別れ方についてどうしようか考えた人もいることでしょう。
この記事では、不誠実の意味や特徴、言い換えや英語表現、さらには不誠実な状況との向き合い方などについて解説します。
不誠実の意味
まず、誠実とは「私利私欲のためではなく、真心をもって人や物事に向き合うこと。また、そのさま」を意味します。不誠実は、誠実の否定形です。「誠実でないこと。また、そのようなさま」という意味になります。つまり、「相手や物事に対して真心がないこと、また私利私欲のために振舞う」といったところでしょう。
不誠実と考えられる特徴
次に、不誠実と考えられる人の特徴についても確認しておきましょう。
1:自己の損得を中心に考える
不誠実な人は、相手のことよりも、自分の損得を第一に考えがち。相手に利用価値があるかないかを念頭に付き合ったりすることもあるので、相手との価値観や信念に大きなギャップが生じることもあったり。
2:責任感がない
責任感がなく、他人に責任転嫁したりすることも不誠実な人の特徴だと言えます。自分に課せられた義務を一方的に放棄することは、不誠実であると見ることができるでしょう。
3:言動に一貫性がなく矛盾がある
不誠実な人は、自分にとって都合のいいように、主張したり、詭弁を使ったりするのも特徴です。そのため、過去の言動と比較すると、矛盾が生じることも少なくありません。筋が通っていないということですね。
4:嘘が多い
自分の保身のために、噓をつくことがしばしばあります。嘘をよくついて反論する人に対しては、レコーダーやテキストなどで発言を記録しておくのがいいかもしれませんね。
5:感謝の気持ちが薄い
他者から助けてもらうようなことがあっても、不誠実な人はそれを当然のものと考えていることがあります。他者に感謝することがあまりありません。助ける側としては、意欲がそがれますね。
不誠実の類語表現
不誠実の類語表現も見ておきましょう。
1:「いい加減」
物事を最後までやり遂げずに、途中で投げ出すことを意味します。適当な様子という意味もありますね。「いい加減の湯」のように「ちょうどいい」というプラス的なニュアンスもありますが、どちらかと言えばネガティブな意味で使われています。
例文:
「社内文章のいい加減な管理にあきれた」
「彼はいい加減な男だ。仕事を放棄して、飲みに行ってしまった。末路が見える」
2:「浮(うわ)ついている」
落ち着きがなく、軽薄な様子を意味します。
例文:
「彼女はその男の浮ついた言葉に惹かれた」
「浮ついた相手の態度には我慢できない」
3:「心がこもっていない」
「心をこめる」というと、愛情や配慮などを十分にこめるという意味がありますよね。それがないということで、不誠実だというわけです。
例文:
「その言葉には心がこもっていない」
「心がこもっていないと、相手に誤解されるかもしれない」
不誠実の英語表現
次に、英語表現も確認しておきましょう。
1:faithless
「faith」には「信頼、信用、義務」という意味があります。これが「less」、つまり「ない」ので不誠実という意味になるわけですね。
例:「the faithless behavior(背信行為)」
2:insincere
「誠意がない,本心を言わない、偽の」といった意味があります。反対は「sincere」で、こちらは「本心を言う、正直な」という意味になりますね。
例:「an insincere remark(腹の中とは違う言葉)」
3:dishonest
「不誠実な、不正な」という意味です。反対の表現としては「honest」がふさわしいでしょう。「誠実である」という意味です。「dishonest」に限らず、「insincere」「faithless」も否定形という形で「不誠実」を意味する形になっていますね。発想が日本語と似ているのが、興味深いところです。
例:「a dishonest person(不正直な人)」
不誠実から誠実な社会へ
最近は、いろいろな場面で不誠実な振る舞いが増えているのかもしれません。このような時だからこそ、誠実であることの価値について再度見直す必要があるのではないでしょうか。
誠実は、儒教において「仁義礼智信」の「信」として、重要な要素の一つとされています。そして、それは数千年にわたり、東アジアにおける普遍的な価値観として人々によって共有されてきました。誠実は、社会を支える重要な要素というわけですね。
今は単身者世帯が多く、人とのつながりが疎遠になっていると言われます。人とのつながりが薄くなり、他者との接点が少なくなると孤独を感じる人も少なくありません。仮に人とのつながりがあっても、会社を辞めると関係が途絶えてしまうことも珍しくないのです。昭和のような近所付き合いもあまり見かけなくなりました。
このように、人とのつながりを築くのが難しい中で、一人一人が相手に対して誠実な心を持つことが大事なのかもしれません。例えば、レストランで店員の人が食事を運んできてくれた時に「ありがとうございます」と言うことなど。小さなことでも、言われた側はいい気持ちになるのではないでしょうか。そのようなちょっとした思いやりでも、相手が元気になるかもしれません。「自分は必要とされている」と思うからです。
そして、多くの人が実践すればそれは大きなものになります。それは、集団全体が元気になるきっかけになるはずです。少なくとも、社会の構成員全員が不誠実で、自分のことしか考えないような社会よりは、生きやすい社会ではないでしょうか。
最後に
以上、不誠実について見てきました。私利私欲のために振舞う、相手に対して誠実さがないといったことは不誠実であると言えるでしょう。
誠実は、儒教が説くように社会を支える重要な要素ですが、最近は多くの場面で不誠実が広まっているように感じられます。誠実が重んじられてきた歴史も鑑みて、一人一人が他者に対して誠実になり、人とのつながりを再生していくことが必要なのかもしれません。
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