「恋人に嘘をつかれた」「また約束を破られた」などの経験をすると、だんだん相手に「不信感」が募ってきますよね。「不信感を抱く」「不信感を覚える」など様々な言い回しがありますが、うまく使い分けられていますか? 今回は、「不信感」の意味や使い方、類語、英語表現などを解説します。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
「不信感」の意味とは?
「不信感(ふしんかん)」とは、「信用できないという気持ち」のことを表します。例えば、恋人に嘘をつかれたり、仕事仲間から裏切られたりするときに「この人は信用できないな」と思いますよね。この気持ちのことを「不信感」と呼べるでしょう。また、人だけでなく政治や企業もその対象になることがあります。相手から不義理なことをされ、疑ったり不安な気持ちになることを「不信感」と言うのです。
使い方を例文でチェック!
日常生活で「不信感」を使うときには、「不信感が募る」「不信感を抱く」「不信感を覚える」などと言いますよね。いずれも、相手に対して疑わしいと思っているときに使いますが、やや意味合いが異なります。微妙な違いを理解して、うまく使い分けてみましょう。
1:数々の不祥事が起こり、政治に対して不信感が募った。
「不信感が募る」とは、信じられないという気持ちが積み重なっている状態のことを指します。今までにも、不審に思う出来事や行動が何度もあり、「不信感」が日増しに強くなっているようすが感じられる表現です。相手のことを「信用できない」気持ちが強い場合に使用します。
2:最近夫の帰りが遅いので、不倫しているのではと不信感を抱いた。
「不信感を抱く」は、「相手を信用できない」という気持ちを心の中に持つことを意味します。相手のちょっとした言動をおかしいなと思い、「不信感」を覚え始めた最初の頃に使われることが多いようです。不審な出来事が徐々に積み重なって「不信感が募る」という表現に変化していくことを覚えておきましょう。
3:彼女は自分の悪口を言っているのでは? と不信感を覚えた。
「不信感を抱く」と同じような意味合いを持つのが「不信感を覚える」です。「覚える」には、「記憶する」という意味以外に「体や心に感じる」という意味があります。このことから、「人を信じられない」という気持ちを感じたという意味で「不信感を覚える」と表現することができますよ。
類語や言い換え表現とは?
「不信感」のように、人のことを疑っている感情を表す言葉に、「猜疑心」や「疑心暗鬼」「警戒心」などがあります。それぞれの意味や違いに着目して、詳しい内容をみていきましょう。
1:猜疑心
「猜疑心(さいぎしん)」とは、「人を疑う気持ち」のこと。人の言動を素直に受け取らず、何か企んでいるのでは? と疑っているときに「猜疑心を持つ」などと言います。相手が自分に悪さをしたり、不利になるようなことをするかもしれないと心配になっているときに使われる言葉です。
・刑事は猜疑心に満ちた目で容疑者を見た。
・彼女は猜疑心が強い人なので、気をつけた方がいい。
2:疑心暗鬼
「疑心暗鬼」は、心の中が疑う気持ちや不安感で一杯になっている状態のこと。疑心暗鬼になると、実際はそんなことはないのに、あの人は自分の悪口を言っているに違いないと決めつけるケースも。また、誰を信じたらいいかわからないと不安に苛まれたりします。エスカレートすると被害妄想に近いことを言い出すこともあるでしょう。目の前のことを冷静に見ることができず、ネガティブな感情に囚われているのは辛いですね。
・恋人に裏切られてから、彼女は疑心暗鬼な性格になってしまった。
・そんなに疑心暗鬼になっていると、良いことも素直に喜べなくなるよと言われた。
3:警戒心
「警戒心」とは、文字通り「対象のものを警戒する心」のこと。例えば、初対面で馴れ馴れしく話しかけてくる異性に対して冷たい態度を取ってしまうとき。また、防犯のため住まいに監視カメラを設置するなどは「警戒心」のあらわれといえるでしょう。事故やトラブルから身を守るためには、最低限の「警戒心」は必要といえますね。
・その野良猫は警戒心が人一倍強い。
・彼女の警戒心を解くにはまだ時間がかかりそうだ。
英語表現とは?
英語で「誰かを疑っている」「不信感を持っている」などと表現するには、どのような単語を使えばいいのでしょうか? 念のため押さえておきましょう。
1:distrust
「distrust(不信感)」は、信じるという意味の「trust」に、否定形の「dis」がついた単語です。なんとなく疑っているというよりは、明確に相手を信用していない場合に使われます。
・I have a distrust of you.(私はあなたに不信感を抱いています)
・I distrust his words and actions.(彼の言動に不信感を持っている)
2:feel suspicious
「feel suspicious」は、「疑わしいと感じる」という意味。「suspicious」は、「怪しい、不審な、疑わしい」ことを表します。夫の帰宅時間が遅いなど、ある程度の根拠があって疑っている場合に使われる表現です。また、「feel」の代わりに「get」を使って、「不信感を抱くようになってきた」と表現することもできますよ。
・I feel suspicious of my boss because he only hires beautiful girls.(上司が綺麗な女の子しか雇わないため不信感を抱いている)
・I’m getting suspicious of Tanaka.(田中さんに不信感を抱くようになってきた)
最後に
「不信感」とは文字の通り、相手のことを信じられないという気持ちのことを表します。親しい人が嘘をついていたことが発覚したときなどは「不信感」を持ってしまっても仕方のないこと。しかし、できることなら「不信感」は抱きたくないものですよね。
「不信感」を感じた段階によって、「不信感を覚える」「不信感が募る」など表現が異なるので、より状況に合ったものを意識して使ってみましょう。
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