8時間おきのウトロゲスタン。強烈な眠気は副作用?【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、移植する胚盤胞を選んだときの話をお届けしました。今回は、体外受精の移植周期D12に黄体ホルモン補充を始めたときの話。
ほとんど生理周期がズレないにも関わらず、妊活をこじらせ、不妊治療も体外受精にまでステップアップするハメになってしまった私。
しかしながら、生理周期が安定していること自体、体外受精においては採卵でも移植でもスケジュールを組み立てやすいというメリットがありました。
D12(排卵日)黄体ホルモン補充開始!
8時過ぎに目が覚めて夫と一緒に朝食をとり、テレビのニュースを流し見しながらのんびり過ごし、いよいよ9時。人生初めての膣剤を使う時間です。私が処方してもらったのは「ウトロゲスタン」という指で膣に直接入れるタイプの薬。箱には、座った状態でも立った状態でも仰向けに寝転がった状態でも、体の力が抜ける姿勢ならいいと書いてありました。
夫「そろそろ時間だよ。説明書しっかり読んだ?」
私「うん、ひとまず手を洗って、トイレで使ってみる」
ウトロゲスタンはカプセル状になっていて、挿入の目安は指第二関節が見えなくなるくらい。いざ実際に使ってみると、座ったままだと体がかたいこともあり、どこまで入っているのかがきちんと見えないので、よくわかりませんでした。
夫「ご苦労さん。できた?」
私「よくわからないけれど、入ったと思う。これを8時間おきかぁ。地味にめんどくさいな」
夫「まぁまぁ。注射よりいいじゃない。使った後は、しばらく安静にって書いてあるから横になってたら?」
私「そうだね」
ウトロゲスタンを使い終わった後は、しばらく寝室で休むことにしました。20分くらいしたら起きようと思っていたのですが、つい気持ちよくうとうと眠ってしまい、起きたらお昼すぎ。ほとんど何もしないで午前中が終わってしまった感じです。
ランチは夫が近所のレストランでパスタをテイクアウトしてきてくれました。正直、朝ご飯を食べてからほぼ寝ていただけなのでお腹は空いていなかったけれど、移植周期に入ったし欠食するのはよくないと思って、一緒に12時にお昼をとりました。
私「お腹いっぱいになったらまた眠れちゃいそうなくらい体が重いんだけど、これウトロゲスタンの副作用なのかな?」
夫「そうかもね。T先生はいつも通りの生活でOKって言っていたけれど、ネットには使用後に眠気やめまいが起きる可能性があるから車の運転などは避けてって書いてあったりもするよ」
私「あ、そうなんだ。個人差があるのかな。コーヒーをデカフェに替えたせいかなとも思ったんだけど、確かにこの状態で運転したら相当まずい。かなり強烈な眠気だわ」
夫「そっか。昨日、移植の段取りが一気に決まって、いろいろ疲れもあるんじゃない。無理しないで眠っちゃってていいよ。夕方17時になったら起こすよ」
私「じゃあそうしよっかな」
こんな感じで食後もまだまだ眠気は止まらず。ベッドに横になると、すぐに寝入ってしまいました。
ウトロゲスタンがトイレに落下。入れ直しは必要?
ウトロゲスタンを使い始めた初日。朝、トイレで膣剤をいれてから8時間後の17時。二度目の使用時間より少し前に、わりとひどめの頭痛で目が覚めました。ウトロゲスタンは朝と同じようにトイレで使用。
夫「できた?」
私「相変わらず、どこまで入れたらいいのかよくわからない上に、ちょっと痛かった。そして眠りすぎたせいか、頭まで痛い」
この日は天気が悪かったので、この頭痛はウトロゲスタンの副作用なのか、単に低気圧によるものなのか、原因がわかりません。とにかくやたら眠ってしまったので、寝すぎで頭が痛かったのかも。
私「けっこう具合が悪い」
夫「少し起きとく? 昨日買ってきたお茶を入れるよ」
カフェインレスのお茶を飲みながら本を読み始めたのですが、20分くらいしてまたトイレに行きたくなって便座に腰を下ろしたときです。
ぽちゃんと音がしました。…エッ! ウトロゲスタンが落ちた!?
トイレに明らかにウトロゲスタンのカプセルの形をした(殻なのか、中身なのか不明なのですが…)ものが落ちていました。これは大変! トイレを出ていきなりパニックになる私。
私「やばい、トイレに行ったらウトロゲスタン落ちちゃったかも!」
夫「え!? マジか!! どうする!? 入れ直したほうがいいのかな?」
私「移植日までの数しかもらってないから、それをやっちゃうと当日まで足りなくなっちゃう…。とりあえず病院へ電話してみるね」
私は黄体ホルモンを排卵日からスタートさせて、5日後に移植というスケジュールだったので、もう移植当日まで診察がないのです。
私の入れ方が浅かったのかもしれません。どこまで押し込めばいいのかわからず、恐々と入れていたのがよくなかったのかも… と思って、すぐに病院へ電話をし、状況を説明すると看護師さんが医師に確認してくれました。
看護師「ひとまず20分入っていれば大丈夫だそうです。入れ直しはしなくていいですよ」
私「そうだったんですね。よかった。なかなか自分でうまく入れられなくて。2つ目でいきなり失敗しちゃったから焦りました」
看護師「指で入れるタイプの膣剤は自分でやるのが難しいですよね。仰向けで横になった状態で旦那さんにやってもらう人もいます。クロサワさんもご主人にお願いして一度試してみてください」
私「なるほど…」
薬を夫に入れてもらうのは抵抗があったけれど、背に腹は代えられません。夜の分からお願いしたいと、夫に事情を話してみました。
夫「そっかそっか、じゃあ爪を短く研いでおいたほうがいいね。次の回からはボクのほうのスケジュールも8時間おきにできるように調整しておくよ」
ちょっと恥ずかしいなと思ったけれど、あっさり快諾してくれました。というか、在宅勤務で本当に良かった。
8時間後——。
看護師さんに教わった通り、仰向けに寝っ転がった状態で夫にウトロゲスタンを入れてもらったところ、自分でやったときよりもぜんぜん痛くありませんでした。自分でやるよりも確実に奥まで入った感じがするし、ひとまず20分間は安静にして、そのあとはなるべく普通に生活をするようにしました。
体外受精の移植周期、男性側ができることは限られていますが、うちの夫の場合は突如降りかかってきた自分にしかできないミッションに少しテンションが上がっている様子でした。8時間ごとにやってくるウトロゲスタンの使用時刻になるたびに「ボクの出番だな!」と薬を持ってくる姿はほほえましかったです。
次回はウトロゲスタンの使用中におきたちょっと困ったお話をしたいと思います。
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TOP画像/(c)Shutterstock.com
※この記事は2020年の内容です。最新情報は厚生労働省HPをご確認ください。
クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。