「ビストロ」の意味とは?
近年、「ビストロ」という名を掲げているフランス料理店をよく目にするようになりました。「ビストロ」はフランス語で「小さな料理店」という意味です。正式なレストランよりもカジュアルなスタイルで、肩肘を張らずに美味しい料理やワインなどを楽しめる雰囲気のお店になります。
「ビストロ」の語源はロシア語の方言。1814年にナポレオン戦争で駐屯していたロシア兵がカフェでお酒を注文する際、「ビストロ(早く持って来て)!」と言ったのが由来とされています。
バルやリストランテとは何が違う?
「ビストロ」と似たような言葉のレストランとして、バルやリストランテがありますが、何が違うのでしょうか。それぞれ解説いたします。
バル
バル(Bar)は、スペインやイタリアなどにある手軽に飲食ができるレストランのこと。スペイン語では「バル」、イタリア語では「バール」、英語では「バー」と、それぞれ呼び方が変わります。
スペインのバルで提供されるメニューは、日本のバーよりも手軽な料理が多いようです。一例を挙げると、ピンチョスなどのおつまみや、タパスなどの小皿に盛られた料理などが代表的なものになります。これらを食べながら、お酒を飲みつつ、その場の雰囲気を楽しめるのがいいところ。
スペインのバルは、地域のコミュニティとしての役割も果たしており、朝はカフェ、昼はランチをするためのカジュアルなレストランとして利用されているのだとか。そして夕方以降は、お酒を一杯飲みながら、軽く食事ができるスペースとして多くの人が集まります。
リストランテ
リストランテは、イタリアにおける高級レストランのこと。「ビストロ」と似たような雰囲気と思われがちですが、店構えやスタイルとしては真逆になります。
リストランテは、格式高く最高級なお店を意味しており、有名なシェフがいたり、事前の予約が必要だったり、ドレスコードが決められている店がほとんどです。基本的なメニューはコース料理になりますが、アラカルトなどを追加で注文することもできますよ。
リストランテのフルコースは通常、以下の9つで構成されます。
・アペリティーボ(食前酒)
・ストゥッツィーノ(食前酒に合わせるおつまみ)
・アンティパスト(前菜)
・プリモ・ピアット(第一のお皿)
・セコンド・ピアット(第二のお皿)
・コントルノ(野菜料理・副菜)
・フォルマッジィ(チーズ)
・ドルチェ(デザート)
・ディジェスティーヴォ(食後酒)
イタリアンのリストランテのコース料理の構成は、料理と会話を楽しむためにそれぞれ考えられています。実際にはいくつか省略されることもありますが、本来、不要なものはありません。ぜひ、時間をゆっくり取って、9つ全てが揃ったリストランテのフルコースを体験してみてください。
「ビストロ」の定番メニュー
「ビストロ」ではフランスの庶民の料理、家庭的な味を楽しみたいですよね。ここではいくつかの「ビストロ」の定番料理を紹介いたします。
エスカルゴのブルゴーニュ風オーブン焼き
エスカルゴは食用のカタツムリで、日本人には馴染みがないですが、サザエに似た食感が特徴です。ガーリックバターを殻に詰めてオーブンで焼き上げます。
アヒージョ
ニンニクとオリーブオイルを使って、エビ、タコ、トマト、ブロッコリーなどの具材を煮込んで作ります。シンプルではありますが、とても美味しく、ワインとの相性もいいので、おつまみとしても人気の一品です。
ムール貝の白ワイン蒸し
ベルギーで人気の料理で、「ビストロ」でも定番料理として知られています。白ワインとのマリアージュは、バゲットとの相性も抜群です。
黒毛和牛のカルパッチョ
アラカルトとしてもメインとしても人気の一品。低温調理を行うことで、素材にしっかりと味が染み込みます。仕上げにトリュフオイルとフレッシュトリュフを乗せると、さらに美味しさがアップしますよ。
イベリコ豚のカスレ
カスレはフランス南西部の豆料理。豚肉やソーセージ、白いんげん豆などを料理名の由来となっている「カーソル」と呼ばれる土鍋で長時間煮込んで作るシチューです。カスレに欠かせない具材は豚肉と白いんげん豆で、イベリコ豚を使うことにより、より一層美味しいカスレが出来上がります。
トマトのファルシ
ファルシは野菜が美味しい南仏の郷土料理です。「ファルシ」はフランス語で「詰める」という意味で、くり抜いたトマトを器代わりにして、その中にぎっしりと具材が入ります。
チーズの入ったマッシュポテト
付け合せの定番のマッシュポテトにチーズを加えた料理です。口当たりが滑らかでシンプルな味わいは、色々な料理に合います。
デートでのレストランの使い分け方
「ビストロ」、バル、リストランテのそれぞれの特徴をお伝えしましたが、これらのレストランをどう使い分ければいいのでしょうか。それぞれのレストランの雰囲気に合わせた使い分け方を解説いたします。
「ビストロ」
気の置けないカジュアルな間柄で、会話を楽しみながら食事をするのにぴったりです。ワインをたしなみながら、ゆっくりと時間をかけて和気あいあいと食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
バル
仕事帰りに同僚や取引先と軽く一杯飲みながら、食事をするのに向いています。また出会ったばかりで、相手のことをもう少し知りたいというようなケースにも最適です。立ち飲みの店も多いので、話が合わないと思ったらパッと出やすいというメリットもあります。料金がリーズナブルなので、奢っても奢られても、お互いに負担がないのもいいですね。
リストランテ
イタリアンでは最高級レストランになりますので、告白やプロポーズなど、「ここぞ!」というシーンで利用しましょう。ただし、事前に相手にはドレスコードがあることなどを伝えておかないと、恥をかくことになる可能性もあるので気をつけましょう。
最後に
今回は「ビストロ」の意味や、バルとの違いやデートでの使い方を紹介しました。「ビストロ」はカジュアルに友達や仲間、彼氏・彼女と楽しく会話をしながら、ゆっくりと食事を楽しむのに向いています。
一方で、リストランテは特別なシーンでの利用がオススメ。それぞれTPOに合わせて、お店を選んで楽しい食事の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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