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この記事のサマリー
・「外堀を埋める」とは、目的達成のために遠回しの作戦をとることを指すことわざ。
・もとは城攻めの戦術から生まれた言葉。
・恋愛では、相手の周囲を味方につけて関係を進める戦略的アプローチを意味。
日常会話やドラマのセリフで耳にする「外堀を埋める」という言葉。恋愛やビジネスシーンでも使われます。けれど、本来の意味や語源を正確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか?
この記事では、「外堀を埋める」という表現の意味や使い方を、歴史的背景から恋愛・ビジネス・ことわざ表現まで幅広く解説します。
「外堀を埋める」とは? 意味と語源を解説
まずは、「外堀を埋める」という言葉がどのような由来を持ち、どんな場面で使われるのかを整理します。恋愛でもビジネスでも使える万能表現だからこそ、正確な理解が大切です。
語源と背景(武士の戦術からことわざへ)
「外堀を埋める」は、もともと城を攻める際の戦術を指します。敵の城を守るために掘られた堀(外堀)を埋め、平地にして進軍を有利にする——この行為を比喩として用いたのが始まりです。
辞書では次のように説明されています。
外堀(そとぼり)を埋(う)める
敵の城を攻めるには、まず外側の堀から埋める。転じて、ある目的を達成するためには、周辺の問題からかたづけていく。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
つまり、「ある目的を達成するために遠まわしの作戦をとること」を指します。直接攻めるのではなく、外側から少しずつ状況を整えるという「戦略的な準備」を意味します。
現代的な意味:「準備を整えて目的を達成する」
現代では「外堀を埋める」は恋愛や仕事など、さまざまな場面で使われています。
例えば、恋愛では「彼の友人や家族に好印象を与えて関係を進める」、ビジネスでは「関係各所の理解を得てプロジェクトを通しやすくする」といった使い方です。
どちらの場合も、目的を達成するために、まず周囲から固めるという点が共通しています。一見回りくどいように見えても、慎重で計画的な人にとっては非常に理にかなった行動ともいえますね。

恋愛での「外堀を埋める」とは? 男女心理を徹底分析
たくさんの人が検索しているのが、恋愛における使い方。ここでは、男女別の心理や行動パターンを具体的なエピソードを交えて紹介します。
男性心理:「リスクを避けたい」「自信をつけてから動きたい」
男性が恋愛で「外堀を埋める」行動をとる背景には、失敗への恐れがあります。例えば、「いきなり告白して断られるのは避けたい」と感じると、彼はまず友人や共通の知人を通じて相手の気持ちを探ります。
こうした間接的なアプローチは、一見慎重すぎるようでも、「確実に成功させたい」という心理の表れ。自信をつけてから行動に移すことで、恋愛のリスクを減らそうとしているのです。
女性心理:「傷つきたくない」「味方を増やして安心したい」
一方、女性が「外堀を埋める」行動を取るのは、感情の防衛本能が働くため。過去の恋愛で傷ついた経験がある人ほど、直接的なアプローチを避ける傾向があります。まずは彼の友人と仲良くなる、SNSで共通の話題を共有するなど、周囲とのつながりから距離を縮めようとします。
また、「彼の家族や友人にいい印象を与えたい」と考える女性も多く、味方を増やすことで恋愛関係を安定させたい気持ちが隠れています。
「外堀を埋められる」側の心理と対処法
「気づいたら周りを固められていた…」と感じたことがある人もいるかもしれません。外堀を埋められる側の心理には、コントロールされているような不安感が生まれやすいものです。
そんな時は、相手を責めるよりも、「自分がどう感じたか」を率直に伝えるのが大切。「ちょっと急に進んでいる感じがして戸惑っている」と話せば、相手も気づきを得られます。
恋愛では、戦略よりも対話が信頼を育む鍵になりますね。

ビジネスでの「外堀を埋める」戦略的活用
恋愛だけでなく、ビジネスの現場でも「外堀を埋める」はよく使われます。ここでは、社内調整や営業戦略にどう応用できるかを具体例を通して見ていきましょう。
プロジェクト成功のための戦略
新しい企画を通すとき、いきなり上司に提案しても受け入れられないことがあります。そこで、まずは周囲のキーパーソンに意見を聞き、理解を得ておく。これがビジネス版の「外堀を埋める」です。
例えば、関係部署に事前に資料を共有しておくことで、会議当日にはスムーズに承認が得られることもあるでしょう。目的に向かうための地ならしを怠らない人こそ、結果を出す戦略家といえますね。
「外堀を埋められた」時の注意点
一方で、商談などで「外堀を埋められた」と感じることもあります。競合他社がすでに関係者との信頼を築いていた場合、こちらの提案が通りにくくなることがあるでしょう。
そんな時は焦らず、信頼関係の再構築に力を注ぐことが重要。「なぜ相手がその提案を選んだのか」を分析し、自社の強みを改めて示すことで、次のチャンスにつなげられます。
「外堀を埋める」の類語・言い換え表現
メールや会話でそのまま使うのが難しい場合に便利なのが、言い換え表現。英語表現も含めて紹介します。
「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」
「大きな目的を達成するには、まず周辺から攻めるのがよいい」という意味のことわざ。「外堀を埋める」と同じく、遠回りに見えて確実な戦略をとるという点で共通しています。
恋愛でも仕事でも、目的を達成するために順序を意識することの大切さを教えてくれる表現です。
「布石」「根回し」
どちらも「外堀を埋める」と近い意味で使われます。
「布石」は、将来を見据えて準備を整えること。「根回し」は、物事を円滑に進めるために事前に関係者へ説明しておくことを指します。
例えば、「次の会議のために布石を打っておこう」「提案前に根回ししておくとスムーズ」といった具合で使います。いずれも、慎重で計画的な姿勢を示す表現です。
英語表現:“get rid of all the obstacles”
英語では、 “get rid of all the obstacles(すべての障害を取り除く)”が近い表現です。遠回しの手段を取ることを指します。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「外堀を埋める」に関するFAQ
ここでは、「外堀を埋める」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「外堀を埋める」と「外堀を固める」は同じ意味ですか?
A. 「外堀を固める」というフレーズは、辞書には出てきません。
外堀は埋めることで戦術上有利になりますが、 外堀を固めることはしません。「外堀を埋める」と覚えておきましょう。
Q2. 恋愛で「外堀を埋められる」とはどんな状況?
A. 相手の友人や家族を味方につけて、逃げられないように環境を整えられている状態を指します。
悪意がなくても、受け手にはプレッシャーになる場合があります。
Q3. ビジネスシーンでも使えますか?
A. 使えます。
例えば「外堀を埋めてプロジェクトを進める」と言えば、周囲の理解や準備を整えるという意味になります。
最後に
「外堀を埋める」という言葉は遠回りに見えても、目的に向けて着実に準備を整える知恵を表しています。焦らず、周囲を見渡しながら一歩ずつ進む姿勢こそ、大人の知性を感じさせる行動です。
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