【目次】
・「堅気」の意味と由来
・「堅気」の使い方を例文でチェック
・「堅気」の類語にはどのようなものがある?
・「堅気」の対義語にはどのようなものがある?
・「堅気」を英語で表すと?
・最後に
「堅気」と聞いて、まず頭に浮かぶのは任侠映画の中のセリフではないでしょうか? 極道シリーズや任侠映画の中では、「極道ではない、一般の人」を指す言葉として使われています。しかし、本来、「堅気」には様々な意味があるんですよ。そこで、本記事では「堅気」の意味や由来、例文や類語、対義語をご紹介していきます。
「堅気」の意味と由来
普段、「堅気」という言葉を使う機会はそんなに多くはありませんよね。そもそも「堅気」とは、どんな意味の言葉なのでしょうか? まずは、言葉の意味や由来からみていきましょう。
「堅気」の意味
「心がしっかりしていて真面目なこと。また、そのさま」「職業や生活が、まっとうで着実なこと。また、そういう人」(小学館『デジタル大辞泉』より)。
さらに詳しく、字の意味をみていきましょう。「堅」は「しっかりした、引き締まってかたい」、または、「甲冑」や「かぶと」といった意味。「気」には「意識や心のはたらき」「精神の傾向」という意味があります。
「堅気」の由来とは?
「堅気」の由来は、「形木(かたぎ)」です。「形木」とは、染物などを作る時に使う道具のこと。形木には模様が掘られており、布や紙などに刷って染付をしていました。そのことから、「お手本」や「基本」といったニュアンスの言葉として使われるようになり、それが転じて「真面目」や「まっとうな」といった、人の性質や生活態度のことを表す意味も含まれるようになったのです。
「気質(かだぎ)」との違いは?
「堅気」と同じ読み方で、「気質(かたぎ)」という言葉があります。実は、言葉の由来は「堅気」と一緒。しかし、「気質(かたぎ)」の意味は、「ある職業や、おかれている環境、年齢や立場などを同じくする人たちに共通している性質のこと」。「気質(かたぎ)」は、一般的に「○○気質」のように言葉を組み合わせて使われます。
例えば、「職人気質(しょくにん かたぎ)」。意味は、「職人として、こだわりがあること」「実直で、真面目に納得ができるまで仕事をする職人に多くみられる性質のこと」という意味です。
「気質(きしつ)」と読む場合の意味は?
「気質(きしつ)」と読む場合、少し意味合いが変わります。「気質(かたぎ)」は、職業や環境からくる性質のことをいうのに対して、「気質(きしつ)」は、個人の性質を表す時に使います。例えば、「優しく明るい気質」「気質のいい人」など、主に、人の性格や持って生まれた性質というニュアンスで使われる言葉です。
「堅気」の使い方を例文でチェック
任侠映画などでは、「堅気に手を出すな!」などというセリフがありますよね。実際に、「堅気」という言葉はどのようにして使うのか、例文でチェックしていきましょう。
1:「△△さんは、堅気で几帳面なところが昔から変わらない」
「堅気」は、人の性質を表す言葉。このフレーズは、「△△さんは、昔から変わらず真面目でまっとう。細やかな所まで物事をキチンとこなす人」ということを表現しています。
2:「職人の父親は、昔堅気でパソコンを使いたがらない」
「昔堅気」とは、昔風な気質で律儀なことを表す言葉。この例文の場合、「昔ながらのやり方を守り通す」や「頑固」、「融通が効かない」といったニュアンスを含んだ文章になります。
3:「あの店は外観からして堅気風だ」
「堅気風」とは、「いかにも、ちゃんとしているさま」「まっとうな雰囲気」ということを表す言葉。このフレーズは、「お店の外観をみると、ちゃんとしているお店だとわかる」ということを伝えることができますよ。
4:「いい加減ヤクザな仕事をやめて、堅気の仕事につく」
この場合の「ヤクザな仕事」とは「極道」という意味ではなく、「何の役にも立たない仕事」「まともでない仕事」という意味合い。よって、「何の役にも立たない仕事をやめて、まともで固い仕事につく」ということを表現したフレーズです。
「堅気」の類語にはどのようなものがある?
「まっとう」であることを表す言葉は、他にどのようなものがあるのでしょうか? 次に、「堅気」の類語をご紹介していきます。
1:「実直」
「実直(じっちょく)」は、「誠実であるさま」「裏のない、隠しごとのないこと」という意味です。「実直な性格」など、人柄を表す時に使われる言葉。また、「実直に取り組む」や「実直に生きる」など、「実直」に動詞を合わせると、行動に対する心構えを表す言葉になります。
2:「真面目」
「嘘やいいかげんなところがなく、真剣であること」「本気であること、また、そのさま」(小学館『デジタル大辞泉』より)。実は、「真面目」は当て字なんです。「まじめ」の「まじ」は、「瞬ぐ(まじろぐ)」からきた言葉。頻繁に瞬きすることをいいます。瞬きをし、よく物事を見つめることが、真剣で誠実な姿勢を表しているからです。
3:「律儀」
「律儀(りちぎ)」は、「実直であること」や「義理がたいこと」を意味する言葉。主に「律儀な人」など、人の性質を表します。加えて、「律儀にありがとうございます」など、「律儀に〜」とすることで感謝を表したり、褒め言葉として使うことができますよ。また、昔は「健康であるさま」という意味でも使われていましたが、現在ではそのような使い方はしません。
「堅気」の対義語にはどのようなものがある?
「堅気」の反対の意味は、「まっとうではない」です。では、「まっとうではない」ことを、どういう言葉で表現するのかみていきましょう。
「無頼」
「無頼(ぶらい)」は、「正当な職業に就かず、外道な行いをすること」「頼みにするところがないこと」という意味。「ならず者」や「ごろつき」のことを、「無頼漢(ぶらいかん)」と表現することができますよ。
「堅気」を英語で表すと?
「堅気」は、「実直な」「誠実な」という意味がある「honest」を使って表現することができます。
・「He is an honest man」(彼は堅気な男だ)
最後に
いかがでしたか? 「堅気」は反社会派勢力に関連した言葉だけではないことが、おわかりいただけたと思います。「堅気」は褒め言葉としても使うことができる言葉。真面目な仕事ぶりの人を見たら、「堅気」と表現されてみてはいかがでしょうか?
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