目次Contents
「内税(うちぜい)」とは?
日本では今、消費税が課せられています。消費税とは、商品・製品の販売やサービスの提供などに対して広く公平に課税される税金で、負担するのは消費者、つまり商品やサービスを購入する人です。そして、事業者が納付します。この消費税の制度は、1989年に導入され、随時税率が変更されていますね。
「内税」や「外税」という言葉は、この消費税の制度が始まってから使われるようになった言葉で、「内税」とは、消費税額を含めた価格表示のことをいいます。ほかの言い方では、総額表示や税込などともいわれています。2004年4月からは基本的に、消費税額を含めた価格を表示する総額表示が義務化されました。
現在、主な消費税率は10パーセントとなっていますから、たとえば商品そのものの価格が500円の時は、10%の消費税率をプラスして550円と表示する必要があります。
「内税」の計算方法を紹介
消費税額を計算するのは簡単です。
商品・サービスの価格×税率
現在、消費税率は8パーセントか10パーセントです。このふたつの税率は品目によって使い分けられています。
消費税率は基本的に10パーセントですが、新聞の定期購読料金や食料品、テイクアウトした食べ物や持ち帰り弁当などは8%の税率です。この8パーセントが適用される商品やサービスのことを「軽減税率対象品目」といいます。ちなみに、同じ食品でも外食やアルコール類は扱いが贅沢品になるため、軽減税率の対象になりません。
税率がわかったところで「内税」の計算方法を紹介します。たとえば、税率は10パーセント、総額表示で1,000円の商品の本体の価格はいくらなのでしょうか。
この場合、税込み価格を1.10で割ったものに0.10を掛けて算出します。先ほどの例の場合、1000円の商品の消費税額は、1000円を1.10で割って0.10を掛けた90.91円ということになりますね。
エクセルを使った計算方法をご紹介
「内税」をエクセルにて自動計算を行う場合の便利な入力方法をご紹介します。
税込価格に含まれる消費税額を知りたいとき
=ROUNDDOWN(【税抜価格のセル】*0.1,0)
軽減税率の場合には、「0.1」のところを「0.08」にします。端数については、「1円未満切り捨て」の場合には上記のとおり、「ROUNDDOWN」という関数を使いますが、「切り上げ」の場合には「ROUNDUP」という関数を、四捨五入の場合には、「ROUND」を用いるといいでしょう。
「内税」でなくていいものは?
「内税」でなくてもいいものとしては、見積書、契約書、請求書などがあります。なぜなら、価格表示の対象が事業者間など限られた間柄のみであるからです。消費税額を見積書などには明記しておけば、価格自体は「外税」で表示しても構いません。
出張費精算では注意が必要
「内税」の価格表示について、少し注意が必要なのが交通費です。バス代や電車賃なども「内税」であり、消費税がすでに含まれています。
たとえば、電車代が330円の時は、300円が本体料金で、30円が消費税になります。ですから交通費を精算するときには、バス代や電車賃に消費税を上乗せすることはしません。
もし、消費税と本体料金をわけて書く精算書の場合は、先ほどお伝えした「税込み価格を1.10で割ったものに0.10を掛けて」算出し、記入しましょう。本体料金としては、電車代を1.10で割ったものなどと計算します。
消費税についても知っておこう
ここまでは「内税」について説明してきました。最初にも述べたとおり、「内税」や「外税」は消費税が始まってから登場した言葉です。ここで消費税について基本的なことを抑えておきましょう。
消費税は広く公平に課される税
所得税とは所得に課せられる税金ですね。同様に消費税とは、消費一般に対して広く公平に課せられる税金です。所得税の場合は、累進課税の方式が採用されていますから、税率は所得に応じて変化します。一方で、消費税は消費に対して一定の税率を掛けて算出されますから、所得によってその重みが変わってくる税金だともいうことができます。
消費税は間接税のひとつ
所得税は、所得者が直接納税します。このような税金を「直接税」といいます。では、消費税はどうでしょうか。私たちが買い物をするとき、消費税はお店に支払います。消費税はお店が取りまとめ、納税することとなります。このように、納税者と負担者が異なる税金のことを間接税といいます。
消費税率のアップは社会保障制度の変化による
消費税が始まった1989年当時、税率は3パーセントでした。その後、税率は徐々に引き上げられており、1997年には5パーセント、2014年からは8パーセント、2019年には10パーセントになりました。
この税率アップの主な理由は、急速な少子高齢化社会に対応できる社会保障制度を次世代にも引き継ぐための安定的な財源確保とされています。
日本の社会保障制度は従来、高齢者中心となっていたのですが、少子化の進展もあり、この制度を拡充する必要があると考えられています。具体的には、子育て世代や現役世代にも使える社会保障制度へと移行されていくのです。この「全世代型」の社会保障制度の財源として、消費税が充当されています。
軽減税率による配慮も行われている
先ほど述べたとおり、消費税は広く公平な税であるがゆえに、低所得者層など家計によっては大きな負担となる場合があります。そこで、2019年に10パーセントに税率が上げられたときに「軽減税率」の制度が始まりました。
これは、お酒や外食などの贅沢品を除く飲食料品と新聞の定期購読料金が対象になるもので、日々の生活において必要なものへの課税額を軽減されるというものです。日用品への課税額が少なくなると助かりますね。
最後に
「内税」について理解できたでしょうか。「内税」の価格表示の場合、「11,000円(税額1,000円)」などというように、「総額」と「税額」がわかるように記載することになっています。
これは、消費者がいくら税金を払っているのかをはっきりわかるようにするためです。買い物やサービスを受ける際には、本体の価格と税額を意識してみましょう。日本では投票率の低さが問題となっており、消費税など税金への意識は、政治参加へのきっかけのひとつになるかもしれません。
TOP画像/(c)Shutterstock.com