不妊治療も民間保険会社の「医療保険」給付対象になる場合があります
不妊治療の公的保険適用により、保険適用の範囲内で治療をした場合、患者さんの治療費負担が3割になりました。
また、民間の生命保険や医療保険に加入している場合は、「手術給付金」の対象になる場合もあります。どんな治療の場合に該当するのか見ていきましょう。
「手術」とされたものは下記となります。
・人工授精
・採卵術
・体外受精/顕微授精管理料(受精費用)
・受精卵・胚培養管理料(培養費用)
・胚移植術
・胚凍結保管管理料(凍結費用)
保険会社や契約内容によって給付条件は異なるので、ご自身の生命保険、会社の団体保険、共済保険などに確認されてみると良いでしょう。
不妊治療は病気やケガ、事故などと違い、患者さんが治療を受けたいと思ってはじめるものです。そのため、「保険契約から2年経過後」など保証開始までに一定期間の加入期間を定めている商品が多いです。加入期間に満たない場合は注意が必要です。
すぐに不妊治療を受けることは考えていないけれど、将来必要になれば不妊治療も考えたいと思っている方は、加入している保険の見直しを行っても良いかもしれませんね。
先進医療の保険適用について
次に「先進医療」についてです。
先進医療とは、医療上の効果を確認したうえで、保険に組み込むかを検討するための制度です。
今回の不妊治療の保険適用においては、エビデンスがはっきりしないため保険適用を見送られたものが先進医療になっています。
先進医療は公的医療保険の対象ではないため、先進医療を受けると自己負担となりますが、保険診療と併用可能なことから、不妊治療分野においては治療計画に組み込むケースも多いでしょう。
「先進医療」とされた技術は下記となります。※2022年7月現在
・タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養
・SEET法(子宮内膜刺激法)
・内膜スクラッチ法(子宮内膜擦過術)
・PICSI法(ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術)
・ERA(子宮内膜受容能検査)
・EMMA/ALICE法(子宮内細菌叢検査1)
・IMSI法(強拡大顕微鏡による形態良好精子の選別法)
・二段階胚移植法
・子宮内細菌叢検査2
先進医療で給付対象になるかは保険会社や契約内容によってばらつきがありますので、最新の給付条件を確認されてみると良いでしょう。また、お住まいの行政によっては、不妊治療の先進医療に要する費用の一部に対し、助成を行っている場合もあります。
保険適用によって特定不妊治療助成金制度は廃止となりましたが、新たに費用負担軽減として利用できるものもありますので、うまく活用していただけたらと思います。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだよしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。