不妊治療って何をするの? Vol.2 〜人工授精について~
今回は不妊治療でおこなわれる、人工授精についてお話をします。
人工授精は次のようなケースですすめられます。
・タイミング法でなかなか妊娠しない場合
・排卵日近くに分泌される子宮頸管粘液の量が少ない場合
・精子の状態が思わしくないが、体外受精の必要性があるほどではない場合
・EDなどがあって性交が難しい場合
治療方法は、細い管を膣の奥にある子宮内に挿入し、洗浄して雑菌などを取り除いた精液を注入します。管は柔らかいので、挿入時に痛みはありません。
また、精子はすべてが一方向に向かって進めるとは限らず、通常の性交では、射精されたすべての精液が子宮内に入るわけではありません。膣から子宮の入り口までの道のりが省略されるため、子宮頸管粘液の量が少ない、精子の数が少ないといったときに、人工授精は有効。
人工授精で妊娠できた人の90%近くは5回目までに妊娠しています(浅田レディースクリニックデータより)。
その後、回数を重ねても人工授精で出産できる可能性は高くならないことがわかっています。5回目で結果が出なければステップアップした方がよいでしょう。
※年齢が高くなると妊娠しにくくなり、38~39歳は2~3回目、40代では1~2回目で妊娠しなければ、精子の所見がよくてもステップアップした方がよいでしょう。
精子以外の原因として、排卵した卵子が卵管に取り込まれていない「ピックアップ障害」や、精子と卵子が出会っているのに何らかの事情で受精が起きにくい「受精障害」などが考えられています。
これらは体内で受精卵ができるように補助する一般不妊治療では確認のしようがなく、卵子と精子を体外で受精させる体外受精に進むことで治療することができます。
男性不妊について
男性不妊にも少し触れておきましょう。
男性不妊の原因の約90%が精子をうまくつくれない造精機能障害で、精子の数が低い「乏精子症」、運動する精子が少ない「精子無力症」、精液中に精子が一匹もいない「無精子症」に分けられます。
「乏精子症」「精子無力症」の場合は、人工授精・体外受精・顕微授精を行い、女性を通して男性不妊を治療し妊娠を目指します。
「無精子症」の場合、不妊治療を専門とする泌尿器科医により、精巣などから精子をとる手術を行います。無精子症は500人に1人くらいの割合でいるとされています。
次回は体外受精・顕微授精についてお話します。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだよしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。