不妊治療って何をするの? Vol.1
不妊とは、“妊娠を望む男女が避妊をしないで性交をおこなっているのにもかかわらず、1年間妊娠しない状態”をいいます。
ただし妊娠のしやすさは女性の年齢により大きな差がありますので、女性が34歳未満は、1年間妊娠しない場合。女性が35歳以上であれば、半年間妊娠しない場合。女性が40代であれば、子どもがほしいと思ったときを受診の目安と考えていただいてよいでしょう。
不妊治療は、一般的にはステップアップと呼ばれる方法で、タイミング法→人工授精→体外受精・顕微授精と、負担の少ない治療から順におこなっていきます。
◆タイミング法とは?
タイミング法は、医師の診察で排卵日を見極めて妊娠の確率を高める方法です。卵巣内の卵胞の大きさや尿中や血中のホルモンを測定し、排卵日を推定します。
妊娠しやすいタイミングは排卵の5日前から排卵日までの6日間であり、最も妊娠しやすいのは排卵の2日前というデータがあります。精子は卵管内で3~5日生存していると言われているので必ずしも排卵日にこだわる必要はありません。
◆人工授精とは?
人工授精は、採取した精液を洗浄し雑菌などを取り除き、最も妊娠しやすい時期にその精子の濃厚液を子宮内に注入する方法です。
ここまでのタイミング法と人工授精は「一般不妊治療」とよばれ、体内で受精卵ができるように補助する治療法となります。
◆高度生殖補助医療… 体外受精・顕微授精について
一般不妊治療で妊娠にいたらない場合、体外受精・顕微授精を行う「高度生殖補助医療」へステップアップします。卵子と精子を体外で受精・発育させたのち、子宮へ戻す治療法です。
2019年のデータによると日本全体で14.3人に1人が高度生殖補助医療で生まれており、毎年増加しています。
なお検査で異常が見つかったカップルについては、必ずしもステップアップとは限りません。
女性の卵管が詰まっていたり、男性の精子の数が非常に少なく動きが著しく良くなかったりする場合は、初回の治療から「体外受精」や精子を卵子に注入する「顕微授精」を行います。
今回は不妊の定義と治療法についてお話をしました。次回と次々回は人工授精と体外受精・顕微授精について、もう少し詳しくお話していきましょう。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだよしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。