卵子は減少する
女性は生まれたときに200万個程の卵子のもとを卵巣に蓄えているといわれています。
しかしその数は成長とともに減り続け、月経がきたころには30万個くらいになり、35歳頃には生まれたときの1~2%である2~4万個になります。
排卵や月経の有無、治療の有無にかかわらず、身体の自然なはたらきとして、若い女性だと1日に30~40個、1回の月経周期の間に約1000個もの卵子が消失していき、残りの数が1000個程度になると閉経を迎えます。
このように卵子は年齢とともにだんだん減少していきますが、卵子の残りの数は個人によってばらつきがあり、年齢と相関しません。30歳で5万個残っている人もいれば、1万個の人もいます。
卵子が少なくなると、どういうことが起きる?
卵子の残りの数が少なくなるとどんな不都合があるのでしょうか。
先ほど述べたとおり、残りの数が1000個程度になると若くても閉経を迎えます。
女性の平均閉経年齢は51才前後ですが、100~1000人に1人は早期閉経を迎えるというデータがあります。
卵子が減っても自覚症状はありません。「自分の卵子は、今いくつくらいあるのだろう」と気になった方は、AMH検査を受けてみてはいかがでしょうか。「AMH」とは「アンチミューラリアンホルモン」といって、血液検査で値を調べます。この値が卵巣に残っている卵子の在庫を知る目安となります。AMH値は高ければよいというわけではありませんので、次回はAMH検査と結果の見方についてお話しましょう。
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100年くらい前までは、日本の女性の平均寿命は42~43歳で、20代で出産は終わり、30歳前半まで卵子が残っていればよい時代でした。残りの卵子が少なくても、出産には何の不都合もありませんでした。しかし現在では女性の晩婚化・晩産化が進み、ライフサイクルが変化しています。これからは一人ひとりが自身のからだの状態を知り、人生設計していくことが必要になっているのかもしれません。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだよしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。