泥酔とは?
泥酔とは、正体がなくなるほど深くお酒に酔っている様子を表します。具体的には、アルコールの血中濃度が0.31%以上の状態です。泥酔がお酒にひどく酔っていることを表すのはわかっても、言葉の正確な意味はよくわからないという方が多いかもしれません。
ここでは、泥酔の正しい意味や語源、泥酔の状態などをご紹介します。
読み方や言葉の意味
泥酔は「でいすい」と読みます。「泥」という字を訓読みして、「どろよい」と間違って読んでしまうことも多いようですが、正しくは「でいすい」。
泥酔は「何もわからなくなるほど、ひどくお酒に酔っている」という意味です。会話などでは、「泥酔するまでお酒を飲む」「泥酔した状態にある」といった使い方をします。また、「泥酔状態」という一つの言葉で使う場合もあります。
泥酔の語源
泥酔という言葉は、中国の古典が由来です。泥酔の「泥」は中国の「異物志」に出てくる空想上の虫のことであり、柔らかい土を意味する泥ではありません。水がないと泥のようになる「泥(でい)」という名前の虫です。
「異物志」には「南海には骨がない泥(でい)という虫がいる。泥(でい)は水の中でしか活動ができず水がないと酔ったような状態になってしまう」という内容の漢文が残されています。
この話から、泥酔は、この泥(でい)のような状態になるほど酔ってしまうことを表す言葉になりました。
泥酔の状態
泥酔していると、誰かに支えてもらわなければ満足に歩くことができません。ところかまわず寝てしまう、呂律が回らず話す言葉がはっきりしない、意識が朦朧としているといった状態になります。
酔い潰れている状態で、1人にしておくことは危険です。酔いから覚めたとき、本人もそのときの記憶がないことがほとんどといえるでしょう。
泥酔の類語
お酒に酔っている状態には、段階があります。少し酔ってきた状態が「ほろ酔い」で、さらに酔いが回ると「酩酊」になり、より深く酔った場合が泥酔です。泥酔がさらに進むと「昏睡」になり、命に関わるような危険な状態になります。
泥酔と同じくお酒の酔った状態を表す「ほろ酔い」と「酩酊」について、もう少し詳しく見てみましょう。
ほろ酔い
酔っている状態は、アルコールが血液に溶け込んで脳に運ばれ、麻痺することです。酔いの状態がどのくらいかは、血中アルコール濃度を測ればわかります。ほろ酔いの状態は血中アルコール濃度が0.05%〜0.1%ほどで、理性をつかさどる脳の活動が鈍くなった状態です。
主に感情を支配する系統の働きが活性化されるため、開放感があり爽やかな気分になります。「ほろ酔い」になる酒量は個人差がありますが、日本酒なら1合まで、ビール中びんなら1本までが目安です。
酩酊
酩酊(めいてい)の「酩」と「酊」はどちらも酔うという意味がある言葉で、ひどくお酒に酔った状態を表します。血中アルコール濃度は0.11%〜0.30%程度です。ほろ酔いの楽しい段階が過ぎ、飲みすぎになっています。
千鳥足になる、動きが緩慢になるなどの症状が現れ、呼吸が速くなる、吐き気がするなど体調にも変化が出てきます。
酩酊からさらにアルコールの血中濃度が高くなるのが泥酔で、数値は0.31%〜0.40%程度です。酩酊の段階ではまだ意識がありますが、泥酔になると意識がはっきりしません。
アルコールの血中濃度が0.41%を超えると、「昏睡」状態になります。体を揺り動かしても起きない状態で、非常に危険な状態です。
泥酔した人はどう対処すべき?
一緒に飲んでいた人が泥酔してしまったら、適切な対処が必要です。1人にすることは絶対せずに、介助を行いましょう。横向きに寝かせる、衣服をゆるめて楽にするなど、行うべきことがあります。症状がおかしいときは、すぐに救急車を呼ぶことも大切です。
泥酔した人を介助する方法や警察に保護される場合について、詳しく見ていきましょう。
適切な介助方法
泥酔した人の介助は、次の点に注意してください。
・1人にしないこと
・安全な場所に運ぶこと
・横向きに寝かせること
・衣服をゆるめてあげること
・体温が低下しないよう、毛布などをかけること
泥酔した人を1人にすることは避けてください。転落や凍死、交通事故などの危険があります。室内であっても窒息などの恐れがあるため、目を離さないようにしましょう。また、外にいる場合は、できるだけ早くその人の自宅など安全な場所へ運ぶようにします。
嘔吐したものの逆流による窒息を防ぐため、横向きに寝かせるようにしてください。冬場は泥酔して寝てしまい、凍死する事故が起こりやすくなります。室内でも暖房をつけていない場合に起こりうるため、体温の低下を防ぐために毛布などで体を保温するようにしましょう。
顔色が悪く、声をかけても反応がないなど危険を感じたら、すぐに救急車を呼ぶようにしてください。救急隊が到着するまで目を離さず、救急隊員が来たら飲んだ酒の量や症状など、状況を説明しましょう。
警察に保護される場合も
泥酔すると、警察に保護される場合もあります。泥酔した人は保護の対象であることが法律でも規定されており、見つけたら病院や警察に連絡しなければなりません。泥酔した人が拒否しても、強制力が働きます。
最寄りの交番などに連絡され、保護されるケースが多いでしょう。警察に保護されると署内にある保護室に入れられます。酔いが覚めたら、身元引受人として家族や知人などが警察署に呼ばれます。保護は24時間を超えられないため、遅くとも24時間以内には解放されるのが一般的です。
お酒を飲むときは泥酔に気をつけよう
泥酔とは、正体がなくなるほどお酒に酔うことです。読み方は「でいすい」で、「どろよい」と読むのは間違いです。
泥酔すると満足に歩けなくなり、危険な場合もあります。一緒にいる人は目を離さないようにしなければなりません。泥酔すると警察に保護される場合もあります。くれぐれも泥酔しないよう、お酒の飲み過ぎには気をつけましょう。
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