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「訓戒」の意味とは?
ビジネスの場面で「訓戒」という言葉を目にしたことはありませんか? 字面から何となく意味を想像できても、詳しい内容まではわからないという方も多いかもしれません。今回は、「訓戒」の意味や使い方、企業の懲戒処分の種類や「訓告」との違いについて解説します。
意味
「訓戒(くんかい)」とは、「物事の善悪を教えさとし、戒めること」を指します。人生における善悪を理解させるために、教訓として教え諭すことを言います。
「訓戒」の「訓」は、「教え諭す」。「戒」は、「前もって注意する」という意味があり、この2つの言葉が組み合わさることで「訓戒」という言葉が生まれました。
会社や学校における「訓戒」とは
「訓戒」は会社や学校の教育現場でも用いられます。「訓戒」は、規則を破った者に課される懲戒処分の一つ。法律上の処罰には値しない非常に軽い処分のことを指し、戒告や減給、懲戒解雇など他の処罰の中で最も軽いものとされています。
基本的には、上司からの口頭注意や指導にとどまるケースが多いですが、場合によっては始末書や誓約書の提出を求められることもあるようです。厳しく注意することで、自分の過ちを自覚させ、反省させることが目的で行われます。
「訓戒」の使い方を例文でチェック!
日常生活ではあまり馴染みのない「訓戒」という言葉。使われる場面としては組織で規則違反をした場合などが挙げられます。主な使い方をチェックしておきましょう。
◆大事な会議に遅刻したことで、訓戒処分を受けた。
会社で軽い規則違反をした時に下されるのが「訓戒処分」です。大事な会議に遅刻したり、大切な資料をなくしてしまうなどのミスをしてしまった場合、このような処分を受けることもあるでしょう。
◆先輩が後輩の失敗に対して訓戒を垂れる。
「訓戒」は、「訓戒を垂れる」という使い方もします。一度きりの注意というよりは、失敗に対してくどくどと説教をするというニュアンスが含まれます。
「訓戒」と同レベルの処分が「訓告」「譴責」
懲戒処分の中で、「訓戒」と同レベルの処分とされているのが「訓告(くんこく)」と「譴責(けんせき)」です。
「訓告」とは
「教え告げること。戒め告げること」で、「訓戒」とほぼ同じ意味合いです。
「譴責」とは
「不正や過失などを厳しく咎めること」という意味で、現在法令上では「戒告(かいこく)」と呼ばれています。
いずれも企業における最も軽い懲戒処分を指します。「訓戒」「訓告」「譴責」は企業による名称の違いで、内容面に明確な違いはありません。大抵は、口頭での厳重注意や文書での通知をするのが一般的です。
企業によっては、厳重注意をするだけでなく、始末書の提出を義務付けたり、対象者の昇給を停止する企業もあるようです。
主な懲戒処分の種類
企業における最も軽い処罰が「訓戒」や「訓告」「譴責」。それでは、より重い処分にはどのようなものがあるのでしょうか? 主な懲戒処罰の種類を紹介します。
減給
一般的に「訓戒」の次に重たい処分とされているのが「減給処分」です。一定期間対象者の給料を減らすことを指します。減らす割合に関しては、公務員か一般企業の社員であるかによって異なります。
出勤停止
職場の規則違反により、一定期間の就労を禁止するもの。自宅謹慎・停職とも呼ばれます。期間中は賃金の支払いがされず、勤続年数にも加算されないことが多いようです。
降格処分
組織における地位や役職を下げること。それまで積み上げてきたキャリアを喪失し、役職手当が貰えなくなるなどの重い処罰が下されます。
諭旨解雇(ゆしかいこ)
懲戒解雇の次に重い処分。懲戒解雇と同程度の損害を与えながらも、会社の酌量で処分をやや軽減した解雇のこと。会社と本人が話し合い、両者が納得の上で解雇するところが特徴です。
懲戒解雇(ちょうかいかいこ)
懲戒処分の中で最も重たい処罰のこと。重大な規則違反やトラブルを犯した社員を企業側がクビにすることです。解雇の理由としては、業務上横領や無断欠勤、セクハラ・パワハラなどが挙げられます。
「訓戒」の類語や言い換え表現とは?
「訓戒」は、懲戒処分の一つなので日常で使うにはやや重い意味合いがあります。より使いやすい類語表現も合わせてみておきましょう。
◆忠告
「忠告」とは、「まごころを持って相手の欠点や過ちを指摘し、戒めさとすこと」。「忠告」の「忠」には、「まごころ、誠を尽くすこと」という意味があります。
ただ相手のミスを厳しく責めるのではなく、相手のためを思って教え諭す時に使用します。友人や後輩など親しい間柄の人を注意する時に使われることが多いでしょう。
◆警告
「警告」とは、「いましめを告げること」。よくない事態が起きそうなので、気をつけるよう注意することを言います。トラブルが起きてから処置する「訓戒」とは違い、あらかじめ注意することが「警告」の特徴です。
「訓戒」の英語表現とは?
英語では、注意を受けることをどう表現するのでしょうか? 「訓戒」や「警告」に意味が近いのは、「忠告、注意」、または穏やかな「訓戒」を表す「admonition」、また「received admonition」で、「訓戒を受ける」ということができます。
◆例文
I lost important materials and received admonition(大事な資料をなくしてしまい、訓戒処分を受けた)
また、「警告する」という意味の、「warn」や「be careful」を使って表現することもできます。
◆例文
・My boss warned me not to be absent anymore.(上司からこれ以上無断欠席をしないよう警告された)
・She warned her employees to be on time.(彼女は従業員たちに時間を守るように警告した)
・Be careful not to break the rules of employment.(就業規則を破らないよう厳重注意された)
最後に
「訓戒」とは、企業における懲戒処分の一つで、最も軽い処分に当たります。同じレベルの処分には「訓告」「譴責」があり、上司からの口頭注意のほか、始末書の提出や誓約書へのサインが求められることもあります。一重に「訓戒」といっても、その詳細は企業によって異なるため、入社時に渡される書類の内容を確認しておくといいですね。誰にでもミスをすることはありますが、「訓戒」を受けた時点でしっかりと自分を戒めるよう心がけましょう。
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