「節分の飾り」の意味や願いとは？
2月になると、「鬼は〜外、福は〜内」と言いながら、豆を投げる習慣に馴染みがある方も多いでしょう。「節分」といえば豆まきや恵方巻きを食べることが定番行事といえますが、玄関に飾る「柊鰯（ひいらぎいわし）」も、古くから伝わる日本の伝統の一つです。今回は、「節分の飾り」である「柊鰯」を紹介します。
「節分」の意味や由来とは？
「節分」と聞くと、2月3日の節分の日をイメージする方も多いかもしれません。しかし、本来節分は年に4回あるのです。そもそも「節分」とは、「季節の変わり目」を指す言葉。立春、立夏、立秋、立冬の前日を、1年のうちの節目としていました。
日本では、古くから季節の変わり目に邪気（鬼）が生じるとされ、平安時代には、邪気を払う追儺（ついな）という宮中行事が行われていました。この儀式が、現在の節分行事のルーツになったといわれています。
その中でも、特に2月の節分は旧暦で大晦日にあたり、新しい年の災厄を払う伝統行事として発展しました。江戸時代以降は「節分」というと、2月3日の立春の節分を指すようになったのです。
▼あわせて読みたい
玄関などに「柊鰯」を飾る理由
2月3日の節分には、「柊鰯（ひいらぎいわし）」を飾る風習があります。「柊鰯」は、葉のついた柊の枝に、鰯の頭を刺したもの。おもに家の玄関先に飾り、外から入ってくる災厄を払う「魔除け・厄除け」の効果があるとされてきました。
邪気の象徴である鬼は鰯の匂いを嫌うとされ、家の中に入ってくるのを防ぐといわれています。このような理由から「柊」と「鰯」が、節分の日に飾られるようになりました。
日本では古くから、「臭いの強いもの」や「尖ったもの」には、厄除の効果があるとされていました。たとえば、日本の代表的な行事の「正月の飾り」に松を使うのも、尖った松の葉で、厄除を祈願しているとされています。
また、飾り方としては「焼いた鰯の頭を飾る」のが一般的ですが、地域や家庭によって飾り方が異なる場合もあるようです。
柊鰯（ひいらぎいわし）を飾る地域
「柊鰯（ひいらぎいわし）」は、地域によっては「焼嗅（やいかがし、やっかがし、やいくさし、やっさし）」「柊刺し（ひいらぎさし）」などと呼ばれます。
節分に柊鰯を飾る地域は、おもに関東の一部や関西地方、東北地方などのようです。節分に鰯を食べる「節分いわし」の習慣が残っている地域もあるそう。また、鬼を払う臭いをたてるものとして、ニンニクやラッキョウを使う地域もあるといわれています。
「節分の飾り」つけは、いつからいつまでするの？
節分の飾り付けをするタイミングは、正式に決まっているわけではありませんが、節分の日のみ飾るケースが多いでしょう。その他には「小正月である1月15日から節分の日まで」「節分の日から2月いっぱいまで」「節分の日から1年間」という場合もあるようです。ちなみに変わったものでは、節分の日に飾った鰯の頭が、猫に食べられるまでというケースもあるのだとか。
飾り付けをする時期は地域によって異なる場合もあるため、近所の様子をみて飾ってもよいかもしれませんね。
柊鰯の作り方
柊鰯の作り方はとても簡単です。スーパーの鮮魚コーナーなどで、鰯を購入します。そして、焼いた鰯の頭を、葉のついた柊の枝に刺せば完成。
柊の枝も節分の季節になると、鰯の頭と一緒にスーパーで売られていることがあります。柊鰯を処分する際は、本来であれば、神社でお焚き上げをしてもらうのが好ましいそう。しかし自宅で処分したい場合は、酒と塩で清めてから、半紙に包んで捨てましょう。「邪気を払ってくれてありがとうございます」と感謝の気持ちをもって処分すると良いですね。
2025年の節分はいつ？
2025年の節分は、2月2日(日)です。ちなみに、恵方は「西南西やや西」向き。節分の日に恵方巻を食べる際は、そちらの方向を向きながら食べて縁起を担ぎましょう。恵方巻を食べる際は、願い事をしながら、無言で一気に食べるといいといわれています。
「節分の飾り」を、手作りでおしゃれにしよう
節分の日は、豆まきや恵方巻を食べる人も多いでしょう。せっかくなら、お部屋の中も飾り付けをして、節分らしい雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか？ おうちで簡単に作れる、かわいい節分飾りのアイデアを紹介します。
フェルトで簡単に
柔らかな手触りのフェルトには、温かみのある素朴な風合いがあります。節分の寒い季節にはぴったりの素材かもしれません。フェルトを使って、鬼やおたふくなどのマスコットを作ってみるののもよいでしょう。フェルトに下絵を書き、ハサミで切りとって縫い合わせ、中に綿を詰めて作ります。
後から刺繍で、鬼の目や牙などを縫い付けることで、より表情豊かな鬼を作ることもできます。
折り紙で手軽に
自宅でお子さんと一緒に飾り付けを楽しみたい方には、折り紙もおすすめです。節分をテーマにして、鬼やおたふく・節分の豆などを作ってみてはいかがでしょうか。
作ったモチーフを、100円ショップなどで購入したお盆に飾ってみたり、ボードやミニキャンバスに貼り付けて壁に飾ると、インテリアとしても楽しむことができます。
おすすめの玄関飾り
「柊鰯」の代わりに、ガーランドを玄関に飾ってみるのもおすすめです。ガーランドとは、お花や果物など、様々なモチーフを紐に吊り下げる装飾アイテム。おしゃれなインテリアとして人気を集めています。
ガーランドの作り方は、麻紐や毛糸などの好みの紐に、お気に入りのモチーフをクリップやリボンなどで結んで吊り下げるだけ。アイデア次第で様々な活用ができます。
先ほど紹介した、フェルトや折り紙で作ったモチーフを応用してみるのもよいでしょう。鬼や棍棒、梅の花、金色の扇など、節分やおめでたいモチーフを吊り下げれば、オリジナルの節分飾りを作ることができます。
最後に
一見変わった風習にも思える「柊鰯」ですが、そこには「災いが起きませんように」「今年も健康に過ごせますように」という、昔の人の祈りが込められていたことがわかりました。節分の日は、こうした風習に思いを馳せながら、「元気に過ごせますように」と願いを込めて、オリジナルの節分飾りを作ってみるのはいかがでしょう。
TOP画像／(c)Shutterstock.com
