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まずは「おみくじ」について知ろう
まずは、下鴨神社京都学問所の新木直安研究員に教えていただいたおみくじの基礎知識からご紹介します。毎年恒例のおみくじだからこそ、きちんと知っておきたい情報をご紹介します。
◆おみくじの由来
おみくじの起源は、村や集落が神様の意見を知るために行った「占い」です。古くは神様の声を聞くための手段でした。江戸時代ごろになると、神様や仏様の教えを分かりやすく書いた「おみくじ」へと変化し、内容にアドバイス的な性格で出てきて、今のようなおみくじのスタイルになったと言われています。
◆おみくじの種類や順位
おみくじの種類は、一般的には次の7種類が主流となっています。
大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶
しかし「凶」がなかったり、「平」という種類があったりと神社ごとにさまざまです。
同様に、おみくじの順位にも明確な決まりはありません。ただ一般的には、次のような順番になります。
大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶→大凶
神社ごとによって異なるので、その神社の決まりを知るのが一番だと言えるでしょう。
◆おみくじの正しい引き方は?
おみくじは、お参りをした後に引きましょう。神様に願い事や目標をきちんと伝えてからでないと、おみくじを通じて神様の意見を聞くことはできません。
また、くじの入った箱を振る際には、叶えたい願いや目標を心に持ちながら引きましょう。箱を、力一杯振ったりする必要はありません。
おみくじの「待ち人」の意味や由来について
おみくじの内容で気になるのは、やはり「待ち人」の欄です。イメージ的には、彼氏や気になる相手などを頭に浮かべますよね。ですが、待ち人にはもっと広い意味が込められているのです。
◆待ち人の意味
おみくじにおける「待ち人」は、「自分の人生に大きな影響を与える人」を指します。自分の道を選ぶきっかけになる人であるため、同性でも年下でも、はたまた家族でもあり得ます。“私の人生のキーパーソン”と捉えるとわかりやすいでしょう。
◆「待ち人」という表現の由来は
「待ち人」は「帰りを待ちわびている大切な人」を指した昔の表現です。電話もメールもない時代は、遠くの町へ出かけてもすぐに連絡を取ることができず、帰りを待ちわびていました。そんな大切な人を「待ち人」と呼んだのです。
人生に大きな影響を与える人という意味を持つ「待ち人」は、まさに“大切な人”です。しかし、既に「大切」と感じている人に限らず、会ったことがない人も含めてあらゆる可能性が込められています。影響を与えてくれる人全般が「待ち人」なのです。
おみくじの待ち人の意味「来ず」の場合
ここからはおみくじに書かれている「待ち人来る」「来ず」に分けて、書かれている説明ごとに詳しい意味を解説していきます。まずは「来ず」の場合から見ていきましょう。
◆待ち人来ずたよりあり
「たより」とは、「連絡」のことを指します。昔でいう手紙であり、今ではSNSも含まれます。姿は見えないけれど、おみくじを引いた人に対して何らかの思いを持ってくれているので、連絡があるということを意味しています。
◆待ち人来ずさわりあり
「さわり」とは、「予兆」を意味します。本人とは会わないけれど、その機運が高まっているという状態です。例えば、来年会うきっかけとなる出来事が、今年の内に起こるといったことが予兆に当たります。
◆待ち人来ず音信あり
「音信」は、「風のうわさ」と考えるのがいいでしょう。第三者経由で「待ち人」の話を聞くといったことがあり、これから起こる何かに結び付いている様子を表します。予兆の更に前段階と言えるでしょう。
おみくじの待ち人の意味「来る」の場合
続いて、「来る」の場合を見ていきましょう。
◆待ち人来るでしょう(待ち人つれがある)
「来るでしょう」は、文字通り相手が現れることを表しています。「つれがある」と書いてある場合は、何らかのグループがやって来ることを指します。
そもそも「待ち人」という言葉は、人そのものに限らず、人生の岐路となるきっかけも含まれており、とても幅広い意味を持っていると言えます。
◆待ち人来るが遅い(待ち人来るとも遅し)
来るのは確かだが、時期が遅いという意味です。一年の内の後半(秋・冬)と考えるとわかりやすいでしょう。「気長に待ちなさい」というメッセージが込められています。
◆待ち人来るたよりあり
「たより」とは、「連絡」のことです。手紙・電話・SNSなどで、相手から何らかの連絡があります。
◆待ち人来る音信あり
「音信」は、「風のうわさ」と考えるのがいいでしょう。第三者経由で「待ち人」の話を聞いたりして、その存在を知ることになります。
◆待ち人来る驚く事あり
「驚く事あり」とは、来ると同時に、驚くような出来事があるということです。また「待ち人」自身もおみくじを引いた人を認識している時には、「驚く」といったリアクションが取られるかもしれません。
◆待ち人来る喜びあり
文字通り、当人や周りの人にとって何かプラスになる出来事やきっかけが起こるということです。わかりやすいのは、縁談・結婚でしょう。
おみくじは「待ち人」以外にも「恋愛」や「縁談」という項目をチェック!
「待ち人」が、恋人や結婚相手に限らないということが分かりました。恋人・結婚相手について詳しく知りたい人は、「恋愛」や「縁談」の項目をチェックするのが良いでしょう。
項目ごとに分かれている時は、書かれている内容をストレートに受け取りましょう。「今は待て」といったタイミングのアドバイスなどが書かれているので、好ましくない内容でもその意味を考えることが大切です。
待ち人は、「自分の人生に大きな影響を与える人」という広い意味を持っています。自分にきっかけを与えてくれる人を求めて、もっと広い視点で生活をするのもいいかもしれませんね。しかし、おみくじの「待ち人」を深く考えず、自ら行動することも大切です。
TOP画像/(c)Adobe Stock
教えてくれたのは… 下鴨神社京都学問所研究員 新木直安氏
昭和50年生まれ。下鴨神社京都学問所研究員、下鴨神社資料館館長。最近は、下鴨地域の歴史を研究中の研究に力を入れている。