一般的なおみくじの種類や順位・意味について
おみくじは、種類がいくつもあり、神社ごとの個性がふんだんに現れています。そんなおみくじの種類や吉凶の順位を下鴨神社京都学問所の新木直安研究員に教えてもらいましたので、ご紹介していきます。これを読んでおみくじに詳しくなれば、おみくじを引くのがさらに楽しみになるはずです。
まずは「おみくじ」のことを知ろう
まずは、おみくじの由来や神社とお寺の違いをご説明します。
村や集落全体で神様の意見を知るために行った「占い」がおみくじの起源です。神様の声を聞くための手段でした。それが江戸時代ごろに、神様や仏様の教えを分かりやすく書いたおみくじへと変化していきます。次第にその内容にアドバイス的な性格で出てきて、今のようなおみくじのスタイルになりました。
また、お寺にもおみくじはありますが、神社のものと明確な違いはありません。同じ神社でも、祀られている神様によって内容が異なるので、それぞれの社寺の個性が出ると言えるでしょう。
おみくじの種類や順位・意味
おみくじの種類は7種類とも12種類とも言われ、一般的には次の7種類が主流となっています。
大吉、中吉、小吉、吉、末吉、凶、大凶
12種類ともなると、
大吉、中吉、小吉、吉、半吉、末吉、末小吉、凶、小凶、半凶、末凶、大凶
となります。
おみくじの種類や数には決まりがあるわけではなく、神社ごとでバラバラです。京都府にある伏見稲荷大社のおみくじは、現在なんと32種類のおみくじがあるとされています。
また、このように種類がたくさんあると、「大吉が一番良いもので、大凶が一番悪いものだ」と考えてしまいがちです。もちろん種類によって、良し悪しはありますが、吉凶の結果ばかりを気にしてはもったいないです。おみくじの内容をしっかり読んで、細部から対処法を学んだり、今後の指針にしたりすることが大切です。
単純な順位や優劣を示していないとすると、「大吉」「吉」「凶」といった種類分けはどういった意味を持っているのでしょうか?
「大吉」一つとっても、全てが良いように運ぶという意味の「大吉」もあれば、全力で取り組んだものが良い結果に繋がるという意味の「大吉」もあります。「吉」であっても注意して行動するようにしたり、「凶」であっても用心して誠実に物事を対処すれば必ず御加護があるとされているものもありますね。ですので、そうした種類分けは、中身の意味を知るための一つの指針と考えるのが良いでしょう。
それぞれのおみくじを引く割合
それぞれの種類のおみくじが含まれている割合は、神社ごとによって様々です。京都府の伏見稲荷大社のおみくじに「凶」がないように、特定の吉凶が存在しないおみくじもあります。吉凶の確率は神社によって違いますから、自分の引いた結果を大事にしましょう。
引いたおみくじはどうする? 枝に結ぶか持ち帰るの?
引いたおみくじを枝に結ぶか持ち帰るかを迷う人も多いのではないでしょうか? これに関してはそれぞれの神社によってさまざまな見解があるため、「こうすればよい」という決まりやルールはありません。
ただ、おみくじに書かれた神様の言葉を今後の生活指針としていくために、持って帰るのがオススメです。カバンや財布に入れたり、机や神棚に置いたりして、道に迷った時におみくじを読み返しましょう。
おみくじの正しい引き方
おみくじの正しい引き方には、2つのポイントがあります。次の2つのことを大切にして、自分の指針となるおみくじを引きましょう。
お参りをした後で引く
神様に願い事や目標をきちんと伝えてからでないと、おみくじを通じて神様の意見を聞くことはできません。鳥居をくぐってすぐにおみくじ、ではなく、きちんとお参りを済ませた後で引くようにしましょう。
叶えたい願いや目標を心に持ちながら引く
おみくじを引く際には、叶えたい願いや目標を心に持ちながらくじを引きましょう。くじの入った箱は、力一杯振ったり、むやみにたくさん振ったりする必要はありません。願いを込めながらくじを引くことが大切です
おみくじで有名な神社はどこ?
全国にあるおみくじで有名な神社をご紹介していきます。もし近くに行く機会があれば、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
鳩が告げるおみくじ「石清水八幡宮(京都府)」
石清水八幡宮には、「鳩みくじ」と呼ばれるおみくじがあります。八幡宮の神様の使いとされる「鳩」の置き物におみくじが付いており、置き物ごとおみくじを選びます。このおみくじには、全国でも珍しい「平」や「未分」という運勢が出てきます。「平」は運気が安定している状態、「未分」はこれからの行動で、吉にも凶にもなるという状態を指すものです。
吉凶がないおみくじ「明治神宮(東京都)」
明治神宮のおみくじは、「大御心(おおみごころ)」と言い、吉凶が書かれていないことで有名です。吉凶の代わりに、祀られている明治天皇・昭憲皇太后が詠まれた30首の和歌とその和歌の解説が書かれています。それぞれの歌を読んでその意味合いを自分なりに考えることによって、これからの生活の糧となるでしょう。
“鯛で恋を釣る?”おみくじ「川越氷川神社(埼玉県)」
埼玉県にある川越氷川神社は、縁結びで知られる神社です。そこで引くことのできるのが「あい鯛みくじ」。鯛の置き物を釣り竿で釣り上げると、しっぽのところにおみくじが付いています。ちなみに、“縁結び”とは男女の恋愛だけでなく、家族や友人、仕事などすべての縁のことを指します。
最後に
いかがだったでしょうか? おみくじの種類もその比率も神社ごとによって様々だということが分かりましたね。どんな種類のおみくじでも、書いてある内容を理解して、自分の生活に取り入れていくことが大切です。
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教えてくれたのは…… 下鴨神社京都学問所研究員である 新木直安氏
昭和50年生まれ。下鴨神社京都学問所研究員、下鴨神社資料館館長。最近は、下鴨地域の歴史を研究中の研究に力を入れている。