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引いたおみくじは結ぶもの? 持ち帰るもの?
引いたおみくじを、持ち帰るべきかどうか迷うという方も多いのではないでしょうか。これに関してはそれぞれの神社によってさまざまな見解があるため、「こうすればよい」という決まりやルールはありません。
引いたおみくじについて、下鴨神社京都学問所の新木直安研究員に詳しく教えてもらいました。
◆おみくじを枝に結ぶ場合・意味や場所について
おみくじを枝に結ぶという行いには、木が持っている生命力と自分の願いを結びつけるという意味が込められています。これからどんどん伸びていく枝に結ぶことで願いを託すといえるでしょう。
ただ、むやみに境内の木々に結びつけてしまうと木々を傷め、景観を乱してしまう可能性があります。「おみくじ結び所」が指定されている場合には、必ず指定された場所へ結ぶようにしましょう。
◆おみくじを結ばない場合・持ち帰りや保管方法について
年初めに引いたおみくじを持ち帰る場合、一年間は大切に保管するのがよいでしょう。道に迷った時におみくじを読み返すことで、前へ進む後押しをしてくれます。保管する場所は、バッグや財布の中でも、家の机でも、神棚でもどこでも構いません。
当然ですが、大切なのはおみくじの紙そのものではなく、その内容です。結果を受け止めて、これからの生活の進むべき方向に活かすといいですね。
おみくじの由来・お寺との違い
そもそもおみくじはどのようにして生まれたのでしょうか?
昔のおみくじは、神様の意見を知るための「占い」であり、今のような個人の吉凶を判断するものではなかったようです。その年の作物の収穫や天候を村や集落全体のために占っていました。共同体の代表者を選ぶ占いにて、紙に書いたものの中から選んだことが今のおみくじの原型です。
それから江戸時代ごろに、神様や仏様の教えを一般の人にも分かりやすく教えるためのおみくじが登場しました。次第に、その内容にアドバイス的な性格で出てきて、今のようなおみくじのスタイルに。
お寺にもおみくじはありますが、神社のものと明確な違いはありません。同じ神社という括りでも、祀られている神様によっておみくじの内容が異なります。おみくじには、それぞれの社寺の個性が出るといえるでしょう。
おみくじの正しい引き方とは?
実際におみくじを引く時に注意したい作法があります。まずは、お参りをした後で引くことです。神様に願い事や目標をきちんと伝えてからでないと、おみくじを通じて神様の意見を聞くことができません。
次に、叶えたい願いや目標を心に持ちながら引くことです。くじの入った箱は、力一杯振ったり、むやみにたくさん振ったりする必要はありません。願いを込めながらくじを引くことが大切です。
おみくじの種類や順番とは?
おみくじの種類は、一般的には次の7種類が主流となっています。
<大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶>
しかし、「凶」がなかったり、「平」という種類があったりと、神社ごとに様々です。
同様に、おみくじの順位にも明確な決まりはありません。ただ一般的には、次のような順番になります。
<大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶→大凶>
神社ごとによって異なるので、その神社の決まりを知るのが一番だといえるでしょう。
おみくじで有名な神社はココ
日本全国、多くの神社におみくじは置かれており、バリエーションも豊富です。兵庫県の生田神社には、なんとQRコードで引けるおみくじがあるほど。ここでは、特におみくじが有名な3つの神社を紹介します。もし近くに行く機会があれば、足を伸ばしてみるのもいいですね。
◆水に浮かべるおみくじ「貴船神社(京都府)」
貴船神社には、水の神様にちなんだ「水占みくじ」というものがあります。一見ただの真っ白なおみくじですが、御神水に浮かべると、たちまち文字が浮かび上がってきます。水の神様を祀る貴船神社の御神水に浮かべて占うことから、水の神様のお言葉を直接いただけるような趣向になっているのが面白いですね。
◆全部で13種類! 吉凶の段階が多いおみくじ「武蔵一宮 氷川神社(埼玉県)」
大宮にある氷川神社のおみくじは、吉凶の段階が13種類もあることで有名です。スタンダードな大吉や中吉に加え、平、吉凶未分、吉凶相交など他には見られない独特のものも。ただおみくじには順位はついていないため、普段目にしない運勢に気を取られるのではなく、書かれている内容を知ることが大切です。
◆吉凶がないおみくじ「明治神宮(東京都)」
明治神宮のおみくじは、「大御心(おおみごころ)」と言い、吉凶が書かれていないことで有名です。吉凶の代わりに、祀られている明治天皇・昭憲皇太后が詠まれた30首の和歌とその和歌の解説が書かれています。それぞれの歌を読んでその意味合いを自分なりに考えることによって、これからの生活の糧となるかもしれません。
最後に
いかがでしたか? おみくじは、単に運勢を占うために引くのではなく、その内容を今後の生活の指針としていくことが何より大切なことだといえます。おみくじの言葉を、自分自身の行動に照らし合わせて生活できるといいですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
教えてくれたのは…… 下鴨神社京都学問所研究員である 新木直安氏
昭和50年生まれ。下鴨神社京都学問所研究員、下鴨神社資料館館長。最近は、下鴨地域の歴史を研究中。