妊活をもっと理解するために知りたい子宮のしくみ!
妊活・不妊治療についての情報収集をしていると様々な用語が出てきますよね。一度調べてみて理解したものの、次に出てきたときには「どういう意味だっけ…」「何に関係するんだっけ…」と調べなおすこともあるのではないでしょうか。
今回はそんな用語の中から、「卵管」「卵胞」など、子宮の組織をピックアップしてみました。困ったときにはこちらの記事でおさらいしてみてはいかがでしょうか。
◆子宮のしくみを知ると、治療や検査がもっと理解しやすくなる!
不妊の原因として、「子宮内膜症」や「卵巣障害」などがあげられますが、これらは子宮のなかにおこるトラブルです。
妊活を始める上で子宮のしくみを知っておくことで、検査や治療のことがぐっと理解しやすくなりますよ。
はじめに、妊娠は大きく分けて「排卵」→「受精」→「着床」といプロセスを経て成立します。それぞれのプロセスで子宮のさまざまな組織がはたらいています。ここからはプロセスごとに、そのプロセスではたらく組織や、それぞれの組織が持つ不妊のリスクについてみていきましょう。
1. 排卵
女性のからだに蓄えられている卵子は、毎月の月経のタイミングで排卵されます。この卵子をたくわえておく場所が「卵巣」です。
卵巣はそら豆くらいの大きさで左右一対となって骨盤内にあり、その卵巣の中には「原子卵胞」という、卵子を育てるためのふくろのようなものがあります。卵巣の中でたくさんの原子卵胞が育ち、中でも大きく育った卵胞から卵子が飛び出すことを「排卵」とよんでいるのです。
卵巣が原因で不妊に?
卵巣に関する不妊へのリスクとしては、卵巣(卵胞)の中で質のいい卵子が育たないことや、うまく排卵がおこらない「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」などがあげられます。
2. 受精
排卵後、卵巣から飛び出した卵子は「卵管」を通り、卵管の中で精子と出会います。
卵管も卵巣と同様に左右一対となって子宮からのびています。子宮と卵管はつながっている一方で、卵巣と卵管の間は離れています。卵巣から飛び出した卵子をキャッチするために、卵管の先はイソギンチャクの触手のような形をしています。
卵管が原因で不妊に?
卵管に関する不妊へのリスクとしては、
・卵管が狭くなっていたり、詰まっていたりすることによって受精できない
・卵巣と卵管の位置が離れている、もしくは卵管が正しい方向を向いていないため卵管が卵子をキャッチできない
などがあり、これらをまとめて「卵管障害」と呼びます。卵管障害に関する検査方法・治療方法などについてはこちらもチェックしてみてくださいね。
参考記事▶︎子宮だけじゃない!? 不妊の原因のおよそ3割を占める「卵管」って?【医師監修】
3. 着床
受精卵は卵管の中を移動しながら胚盤胞(胚)という段階まで発育します。その胚が「子宮内膜」という組織に取り込まれて発育を開始することを「着床」と呼ぶのです。
子宮内膜とは子宮の内側にある組織で、女性ホルモンの影響を受けて周期的に変化します。排卵の時期には受精卵を着床させるために子宮内膜は分厚くなります。着床することができなかった場合、分厚くなった子宮内膜がはがれおち月経(生理)が始まるのです。
子宮内膜が原因で不妊に?
子宮内膜に関する不妊へのリスクとしては「子宮内膜症」があげられます。本来子宮の内側にしかないはずの子宮内膜が子宮以外の場所で増えてしまう、という病気です。
不妊の原因となる場合もありますので、検査方法・治療方法などについてはこちらもチェックしてみてくださいね。
参考記事▶︎【医師監修】最近生理痛がひどい? もしかすると、子宮内膜症かも! がんや不妊の原因にも…
今回は、妊娠するまでの間に子宮のなかのさまざまな組織がはたらいていることについてみていきました。
それぞれの組織に異常が見つかった場合には、治療や体外受精へのステップアップなど、様々な方法を検討する可能性もあります。これらの仕組みを知っておくことで、より説明がわかりやすくなるかと思います。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。