知っておきたい性感染症「梅毒」について解説!
前回のコラムでは、クラミジアについて感染経路・症状や治療法をお話しました。
今回は性感染症第二弾として、近年患者の数が増えているとされる「梅毒」についてみていきましょう。名前は聞いたことがあるけれど、症状やリスクはわからない… という人は要チェックです!
◆梅毒って?
はじめに、梅毒とは何かについて知っておきましょう。梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされる性感染症です。もともとは男性が多く感染していましたが、近年では女性の感染も急増しています。
症状は、諸説ありますが3段階に分かれて発生するとされています。患部に痛みのない潰瘍が現れる第1期からはじまり、第2期では、発熱、疲労感、食欲不振、体重減少、頭痛、発疹、リンパ節の腫れなどの症状がではじめ、感染力がさらに高くなります。
そして、症状のない潜伏期を挟んだのち、第3期では、ゴム腫と呼ばれる腫瘤ができる良性の「第3期梅毒」、菌が心臓や心臓につながる大動脈などの血管に感染する「心血管梅毒」、脳と脊髄を侵す「神経梅毒」などの各段階へと症状が進んでいきます。
段階が進行するほどに全身に様々な症状が現れてきます。そして、数年間放っておくことで、脳や心臓に合併症を引き起こすこともあります。
梅毒の主な感染経路は、感染部位と皮膚や粘膜の直接の接触です。具体的には、性行為やアナルセックス、オーラルセックスなどによって感染するとされています。
◆梅毒は完治する?
梅毒の治療方法は抗菌薬の服用です。現在は早期発見後の薬物治療で完治することが出来る梅毒ですが、完治しても再度感染することがあります。そのため完治後も感染予防を行うことが大切です。
◆梅毒は自覚症状がない?
性感染症の中には男女ともに自覚症状があるものや、男性にのみ自覚症状が多く発症するという場合がありますが、梅毒は男女ともに自覚症状がない場合が多い病気です。
血液検査を受けてみて初めて感染に気付いた… という方が多い病気ですが、感染したまま放っておくことのリスクや、妊活中や妊娠中の方へのリスクはあるのでしょうか?
◆梅毒が妊娠後・出産におよぼす影響
妊娠中の方が梅毒に感染していた場合、流産・死産・先天性梅毒児(梅毒が母親から胎児へ感染した状態で生まれてくる)が発生する場合があります。胎児が先天性梅毒にかかってしまうと、出生後に目や耳、肝臓などに障害が出る可能性があります。
また、梅毒に感染した母親が治療を受けていない場合、胎児への感染率はおよそ50~80%と高い確率となっており、その中でもおよそ40%が死亡するともされており、妊婦の方にとっては非常に危険な病気です。
先天性梅毒を予防するためにも、妊娠した際には必ず検診を受け、妊婦検診を行うことが大切です。また、妊娠中でも感染する場合があるので、感染予防を怠らないことを強くおすすめします。
◆リスクを予防するためには?
先ほど、感染予防とありましたが、梅毒への感染予防する方法や、早期発見しリスクを回避する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
梅毒は感染部位との直接接触によって感染する病気ですので、性行為の際にはコンドームを使用することがとても大切です。しかし、コンドームを使ったから100%感染しない、というわけではないので、身体の状態をセルフチェックしたり、早期発見できるよう定期的に検査したりするようにしましょう。
妊娠を考えている方が受診されることの多いブライダルチェックの検査項目の中にも、梅毒の検査が含まれていることが多いです。将来のために、ご自身のからだが健康であるかについて受診されてみてはいかがでしょうか。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
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