天気も変わりやすく突然雨に降られて途方に暮れる…なんて経験も多いでしょう。
なかには気候の変化によって体調を崩しやすくなる人もいます。
今回は、雨が降るとなぜ頭痛がするのかについて詳しく解説し、雨の日の頭痛におススメの対処法をご紹介します。
【目次】
・雨が降ると頭痛がするのはなぜ?
・【雨 頭痛】対処法と治し方
・【雨 頭痛】市販薬でおすすめは?
雨が降ると頭痛がするのはなぜ?
【雨 頭痛】原因
気候の急激な変化、曇り・雨など特定の気候の日に何らかの変調を来たすものを「気象病」と呼びます。
「気象病」では頭痛やめまいなどの症状が引き起こされるだけでなく、リウマチや気管支喘息などの慢性的な病気の悪化も生じやすく、心筋梗塞や脳出血など命に関わる病気の発症率が高くなると考えられています。
これらの症状や病気の悪化が引き起こされる発症メカニズムは明確には解明されておらず原因は諸説ありますが、頭痛は以下のような要因が関与していると考えられています。
ヒスタミンの過剰分泌
曇った日や雨が降った日は気圧が低くなります。ヒトの体は気圧が低い状態に居続けると、体内でヒスタミンと呼ばれる物質が盛んに生成されるようになることが分かっています。
ヒスタミンは体内に炎症を引き起こす物質であり、血管を拡張させる作用があります。その結果、血管周辺の神経が刺激されることで頭痛が生じると考えられています。
また、ヒスタミンは血管の透過性を上昇させて全身の様々な部位にむくみを引き起こしやすくなります。このような作用によって脳がむくみやすくなることも頭痛の引き金となりえるでしょう。
自律神経バランスの乱れ
急激な気候の変動や低気圧の接近は、自律神経のバランスを乱す原因と考えられています。自律神経には交感神経と副交感神経の二種類があり、それぞれ相反する作用をもたらすことで全身の様々な機能を調節しています。
血管の収縮も自律神経に司られており、興奮したり緊張したりすると、交感神経が働いて血管が収縮し、血圧が高くなります。一方、リラックスした状態になると、副交感神経が作用して血管を拡張させ、血圧を下げる作用がもたらされます。
気圧の変化によってこの交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、頭の血管が過剰に収縮したり拡張したりすることで、血管周囲を走行する神経に刺激を与え、頭痛を引き起こすことがあると考えられています。
【雨 頭痛】対処法と治し方
雨の日の頭痛は鎮痛薬が効きにくかったり、発熱などの症状を伴わないために周囲に辛さを理解してもらえない、など様々なトラブルを生じやすいのが特徴です。天気予報で雨マークを見ると、来るべき辛い頭痛のために気分が落ち込み、日常生活に支障を来たすようなケースも少なくありません。
雨の日の頭痛は、発症メカニズムがしっかりと解明されていないため、解決法や治療法も確実に効果があると言い切れるものはありません。しかし、原因と考えられている要因を少しでも排除することで発症を予防したり、症状を軽くすることが可能です。
雨の日の頭痛におすすめの対処法には次のようなものがあります。効果は人それぞれですが、自分に合ったものを見つけてみましょう。
ストレスや疲れを溜めない
雨の日の頭痛は自律神経の乱れが原因となることがあります。気圧が低くなるとただでさえ乱れがちになる自律神経のバランスを維持するには、日頃からストレスや疲れを溜めない生活を心がけるようにしましょう。
ストレッチをする
強い頭痛のために活動に制限が出てしまうような場合を除いて、雨の日に頭痛が生じたときにはストレッチをしてみるとスッと改善することがあります。ストレッチは筋肉をほぐして全身の血行を改善させる作用があります。このため、気圧の変化によって生じたむくみを改善し、頭痛を軽減する効果が期待できます。
耳マッサージをする
気圧の変化を敏感に感じ取る部位は「内耳」です。気圧が低くなると内耳にむくみが生じますが、むくみがひどくなりやすい人ほど頭痛が生じやすいと考えられています。両耳をつまんで上下左右に回したり、耳の周囲を指の腹で押したりすると内耳のむくみが解消され、頭痛も軽減することがあります。
ツボ押しをする
自律神経を整えたり、むくみを改善するツボを押すことで頭痛が改善することもあります。
手軽にできるツボとしておススメなのは、手首の付け根から指3本分肘側にある「内関」や親指と人差し指の付け根のほぼ中間点にある「合谷」、耳の後ろの窪みにある「完骨」などが挙げられます。
【雨 頭痛】市販薬でおすすめは?
雨の日の頭痛は、一般的な市販の頭痛薬が効かないことが多々あります。市販の頭痛薬には胃の粘膜にダメージを与える作用があるものもあるため、効かないからといって何度も服用すると胃痛や吐き気を引き起こすことも少なくありません。
一般的な頭痛薬は、頭痛の原因となる「プロスタグランジン」と呼ばれる発痛物質の産生を抑制することで痛みを和らげています。このため、プロスタグランジンなどの発痛物質が根本的な原因ではない雨の日の頭痛には効果が少ないのです。
一方、雨の日の頭痛は、気圧の変化を感じ取る内耳のむくみを改善する薬によって和らぐ可能性があります。市販薬では「乗り物酔い止め」などとして販売されているものが該当し、とくに雨の日に高頻度で頭痛が生じる人は、ひどくなる前に服用しておくと効果的です。
また、その他にも自律神経のバランスを整えたり、むくみを改善する「五苓散」、「抑肝散」、「半夏白朮天麻湯」などの漢方薬が有用なこともあります。効果には個人差がありますが、手軽に購入でき、副作用も少ないので試してみるのもひとつの方法です。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。