自分の家。
365日、ほぼ毎日を共にする自分だけの住処。
私はズボラな人間ですから部屋をキレイに保つことができないことがよくありました。朝から夜までの仕事が何日か続けば、部屋のことなんか気にも止めず…。そして時間ができたときに、ふとその整理整頓できていない部屋を見てなんだかちょっとした自己嫌悪に陥り、しぶしぶ掃除。
きっと私は家や部屋に無頓着な方の人間に分類されると思います。
そんな私が本当につい何週間か前から、例え忙しさが続いても毎日私を”おかえり”と迎えてくれる部屋をキレイに保つようにしたい、と思うように。そのきっかけは、疲れて帰ってきた日にソファーに腰掛け、ぼーっとしていたときに見渡した部屋が物に溢れていて、なんだか部屋も疲れてるなぁ…と思ったことから。
そして同時に家具やレイアウトに対する考えも変わってきました。
そんなときに出会った漫画が『プリンセスメゾン』。この作品は年収250万ちょっとのごく普通の独身女性が都内で家を買うためにモデルルーム巡りをして、”運命の物件”を探すという物語。
家を買うというのは家庭を持っている人たちがすること、という世間一般の固定観念なんて関係ない。家は自分の永遠のパートナーであり、毎日触れる場所。自分の気にいる家を自分のものに…。作品の主人公が抱くその考えは、ごく自然なことのような気がします。
世間一般の固定観念なんて関係ない、と書きましたが、その世間一般から少しはみ出しているということの寂しさ、孤独さは存在しています。
女性がひとりで家を買う。
そこにまったく寂しさが無いとは言えない。
自分だけの家、素敵な響きなのに孤独も同居している。
私は、家を買う、なんて小学生のときに夢のひとつとして漠然と思ったことがあるくらいで、何ひとつ具体的にイメージができません。最初に記したように家や部屋に無頓着な私ですからなおさら。
ですが、そんな私がこの漫画に目が止まり理想の家を求める主人公に興味を惹かれたのは、少しずつ”自分の住処”という場所をどのようにするか、関心が湧いてきているからなのでは、と思うのです。
もちろん私は、現実的にも気持ち的にも、家を買う段階には至っていませんが、住みやすい家を、というところでは主人公の彼女と同じ気持ちを抱いています。
まずは多忙であっても部屋をキレイに保つところから始めて、インテリアなんかも自分の好きなものを集めて、癒される、楽しい空間に。そう思い始めた矢先に『プリンセスメゾン』との出会いがあったので、より一層、家っていいものだなぁ…と。
今後の人生で、家を買うことがあるかどうかはまだわかりませんが、『プリンセスメゾン』が印象づけてくれた家への愛情は私の中に残り続けます。
そして女性が家を買うときにつきものである”孤独さ”。
時代と共に女性が家を買うことが珍しいことじゃなくなっていく……その方が社会は一般常識的なものに囚われない、自由が広がっていく気がします。
そうしたら、今ある”孤独さ”はなくなっていく…のでしょうか?
なんだか、正直、それは不動なもののような気がしてしまいますが。
拘束されない自由は開放的で心地よくもあり、野放しにされた不安感もあり、切なく感じる時がありますからね。
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いしいみかこ
スラリとした手脚でどんな服も着こなしてしまう独自の存在感が人気のモデル。2013年1月号より『Oggi』専属。このWEBオリジナルコラムでは、大好きな漫画&アニメについて書き連ね、二次元にも強いという新たなモデル像を提案。また2014年以降、ミュージカルや舞台に出演するなど女優としての活動も活発に。秋には『美少女戦士セーラームーン~アン ヌーヴォー ヴォヤージュ~』に出演、セーラープルートを演じた。