はりついた不気味な笑顔のセールスマン、喪黒福造。彼の存在を知ったのは幼稚園の頃。漫画より先にアニメを見て、その不気味さに恐怖を感じ何度も何度も泣かされていました。
怖くて泣いてしまうのにどうしても気になって見てしまう…。怖いもの見たさという感覚を初めて感じたのもその頃でした。
幼い頃にアニメを見て知っていたのに、原作である漫画を読んだのは20歳くらいの頃でその歳になってもまだ、漫画も怖いかな…とドキドキしながら読んでしまうほど子供の頃の衝撃は大きかったです。
喪黒福造の顔、声、BGMに散々ビクついてホラー感覚の”怖い”というものを感じていましたが、大人になった今はそういう感覚を感じることより、ヒシヒシとこれは人生の教訓だな、と。
あぁ、それ以上はやめておけばいいのに…
一話完結で繰り広げられるお話のほとんどがまずその感想を抱きます。
作中の主人公たちのように、ここまででやめておけばよかった…、ということはもちろん私も経験があります。大なり小なり、誰もが一度は味わったことがあると思います。
とてもたわいないことですが最近ではゲームセンターのクレーンゲーム。苦戦しつつもひとつぬいぐるみが取れたらもうひとつ取れるのでは…!と、調子に乗ってもう1回もう1回と…。
もちろんそう簡単に取れるわけもなく千円、二千円がゲーム機の中に消えていって…。
もちろん悔しいは悔しいですがクレーンゲームなんてかわいいものですよね、命にかかわることではないですから。
私が小学1年生のとき地元の海に海水浴に行ったとき、膝下、膝上…次は腰まで…と、どんどん深くなる海にどこまで行けるかという好奇心のまま突き進み、突如現れた落とし穴のようなものに溺れたことがあります。
それは子供の頃の好奇心なので、『笑ゥせぇするまん』に出てくる登場人物達のように欲に目が眩み…とは少し違いますが、広い海を目の前にして思いの外どんどん歩いていけることに慢心していたことは間違いないです。
猪突猛進は好きですが、少しでもよこしまな気持ちがある場合はストップしなければならない、という教訓。
『笑ゥせぇするまん』はまさにその代表的作品だと思います。
実際に喪黒福造が現れてドーン!なんてことは私たちにはありませんが、頭の隅に彼を居座らせることは大切だと思います。
人間の公にはしづらい、でも誰もがもっているドロッとした部分が、藤子不二雄A先生の丸っこい絵柄と合わさる…独特の不気味さは無類です。
私に子供が出来たら読ませたい絵本や見せたいアニメなどいくつもありますが、『笑ゥせぇするまん』もそのひとつです。私のように最初はアニメから。
怖がること間違いなしだと思いますが。
教訓ですから!
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Vol.2 ミノタウロスの皿
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Vol.12 ちびまる子ちゃん ーわたしの好きな歌ー
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Vol.27 喪黒福次郎の仕事
Vol.28 東京タラレバ娘
Vol.29 ママはテンパリスト
いしいみかこ
スラリとした手脚でどんな服も着こなしてしまう独自の存在感が人気のモデル。2013年1月号より『Oggi』専属。このWEBオリジナルコラムでは、大好きな漫画&アニメについて書き連ね、二次元にも強いという新たなモデル像を提案。また2014年以降、ミュージカルや舞台に出演するなど女優としての活動も活発に。秋には『美少女戦士セーラームーン~アン ヌーヴォー ヴォヤージュ~』に出演、セーラープルートを演じた。