子供のころに仲よくなる年上のお姉さん、お兄さん。
自分より多くの世界を知っている頼れる友達ができたような…、
一方で友達だけど実の兄弟、姉妹が増えたような感覚にもなって勝手に心強く感じたり。
私も小学校低学年のころに、
そういうお姉さん的な存在がいて、なんだかとっても誇らしげだったことをよく覚えています。
今回の作品では、主人公のまる子ちゃんが絵描きのお姉さんと出会い、仲よくなり、そしてお姉さんの結婚をきっかけにお別れするまでが描かれています。
私はこの作品を読むと、
必ず懐かしい気持ちになります。
ひとりで少し遠出をしたり、お姉さんと水族館に出かけたり、
学校での課題をお姉さんに教えてもらったり
…極めつけはお姉さんの結婚式を見るためにお腹が痛いと嘘をついて学校を抜け出したり!
学校を抜け出す…なんてもちろん悪いことなのですが、
モラトリアムな年齢を謳歌しているのの代表みたいな行動で…胸がときめいてしまいます。
子供のころは、大人の今よりずっと狭い限られた世界で生きています。
その世界から少し飛び出して大人びたことをするわくわく感、冒険心。
大人になるにつれて薄れていく感覚が詰まっています。
それが恋しくなってこの漫画を開いたり…。
そして24歳になった今でも、
お姉さん!と自分が甘えられる存在に憧れ、求めているのも事実だなぁと。
年を重ねるにつれて甘えられる側になることのうれしさもどんどん大きくなっているのですが…、
甘えられる存在というのはきっといくつになっても欲しいもので…。
私が小学生のころに出会った洋服屋さんのお姉さん、
今でもふとしたときに思い出すことがあります。
どんな話をしたかとか、どんな声だったかは正直あまり覚えてないのですが、
お洋服を買いに行ってるときや、
記憶の中にあるそのお姉さんの匂いを今でも感じるときがあって…。
『ちびまる子ちゃん-わたしの好きな歌-』を読むたびに、
お姉さんの顔がよぎるのです。
懐かしい記憶はとっても尊くて、心を楽しませ、落ち着かせてくれます。
そのころの感覚を一気に蘇らせてくれて、甘ずっぱいきもちになるのです。
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Vol.8 死刑執行中脱獄進行中
Vol.9 魔法少女まどか☆マギカ
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Vol.12 ちびまる子ちゃん ーわたしの好きな歌ー
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Vol.25 笑ゥせぇるすまん
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Vol.27 喪黒福次郎の仕事
Vol.28 東京タラレバ娘
Vol.29 ママはテンパリスト
いしいみかこ
スラリとした手脚でどんな服も着こなしてしまう独自の存在感が人気のモデル。2013年1月号より『Oggi』専属。このWEBオリジナルコラムでは、大好きな漫画&アニメについて書き連ね、二次元にも強いという新たなモデル像を提案。また2014年以降、ミュージカルや舞台に出演するなど女優としての活動も活発に。秋には『美少女戦士セーラームーン~アン ヌーヴォー ヴォヤージュ~』に出演、セーラープルートを演じた。