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2014.05.28

四畳半神話大系|石井美絵子の二次元HOLIC!

『四畳半神話大系』は森見登美彦氏による小説で、
2010年にテレビアニメ化もされた。

生きていると毎日が選択の連続。

もしあちらの道を選んでいたら…という思いは
だれもが考えたことがあると思います。

もちろん私にもあります。
もしモデルという道を選んでいなかったら…
もし今日この場所へ来ていなかったら…
…考え出すときりがありません。

『四畳半神話大系』の主人公、
「私」は大学進学を機にバラ色のキャンパスライフを手にするため、
どのサークルに入るか、という選択をします。

しかし「私」はこのサークルさえ選んでいなければ…!
と必ず後悔をして物語の1話を締めくくるのです。
1話ごとに人生を巻き戻し、
違うサークルに入り何度も何度もやり直しをします。
「…実にうらやましい…」と思いました。

やり直しができるのならば、
さぞかし今とは違う自分、環境が待ち受けているに違いないと
未知の世界にいろいろな思いを巡らせてしまいます。

しかし、
『四畳半神話大系』で、
主人公は何度別の道を選んでも、
いつも似たような結果になってしまうのです
(最終回を除いては)。

別の道を選んでいるのにも関わらずなぜ似たような結果になってしまうのか。

その原因は、
“見方””捉え方”の問題、
という単純な理由。

たとえどんな選択肢を選ぼうと、
自分は自分であることは変えられない。
しかしその世界への”見方”を変えるだけで、
不毛だと思っていた世界が尊く楽しい世界だったと気づく。

というか!
別の道を選んだら
違う結果になっていたのに!
と私も当然のように思って生きていたのですが…
そうじゃない、どの道を選ぼうとも自分の捉え方で素敵にすることができるんだ。
ってもう素敵!!!!

見方を変えることならば、
今すぐにだってできること。
今すぐに世界を何色にだって変えられる方法。
アニメの『四畳半神話大系』を見ると
「そうだ、たった今からだってこの世界は自分の好きな色に変えられる…」
と気づき、胸躍るのです。

私が過去に、
見方ひとつで世界は変わると実感したことがあります。

それはモデルという仕事を始めたばかりのとき、私はモデルという仕事のことをまったく理解していなくて、右も左もわからぬまま撮影をしていました。
もちろんそんな状態でお仕事がいただけるわけもなく、仕事がない日々を送っていたときがありました。

しかし、仕事がなくなったことにより良くも悪くも”考える時間”というものができ、
この仕事がない状態をどう受け止めるか、
そしてモデルという仕事についてじっくり考えることができました。

モデルのするべきことは洋服を綺麗に見せること、
さらにそのためには自分の状態もよくなければならない、と。
モデルという仕事の”見方”が変わるタイミングでした。

その考える時間というのは、
『四畳半~』の主人公が”どのサークルにも入らない”という選択をしたときに、
四畳半の部屋から出られなくなり、
2か月以上もの間、ひとりぼっちになったときに、
初めて”見方”を変えればいいだけだったんだ、
と気づくシーンに少し似ているのかな?と思いました。

『四畳半~』の主人公のように
何度も選択をくり返すことなしに
そんな考える時間をもつことができ、
こうして仕事を続けられる私は、
ラッキーなのだろうか…。

何よりただ人生を巻き戻してやり直すことは、
同時に今まで生きてきた自分を
否定することにもなり実はとても寂しい…。

人生の大切さ、そんなことを、このアニメは
考えさせてくれたのでした。

バックナンバー

Vol.1 ドラゴンボール
Vol.2 ミノタウロスの皿
Vol.3 四畳半神話大系
Vol.4 ヒカルの碁
Vol.5 ふしぎ遊戯
Vol.6 坂本ですが?
Vol.7 美少女戦士セーラームーン
Vol.8 死刑執行中脱獄進行中
Vol.9 魔法少女まどか☆マギカ
Vol.10 みかこさん
Vol.11 ニーチェ先生
Vol.12 ちびまる子ちゃん ーわたしの好きな歌ー
Vol.13 ラブライブ!
Vol.14 クレヨンしんちゃん
Vol.15 ぼくは神様
Vol.16 東のエデン
Vol.17 かくかくしかじか
Vol.18 リメイク
Vol.19 ニューヨークで考え中
Vol.20 コンプレックス・エイジ
Vol.21 パーマン
Vol.22 プリンセスメゾン
Vol.23 鴻池剛と猫のぽんたニャアアアン!
Vol.24 昨夜のカレー、明日のパン
Vol.25 笑ゥせぇるすまん
Vol.26 こんな私はだめですか?
Vol.27 喪黒福次郎の仕事
Vol.28 東京タラレバ娘
Vol.29 ママはテンパリスト

いしいみかこ

スラリとした手脚でどんな服も着こなしてしまう独自の存在感が人気のモデル。2013年1月号より『Oggi』専属。このWEBオリジナルコラムでは、大好きな漫画&アニメについて書き連ね、二次元にも強いという新たなモデル像を提案。また2014年以降、ミュージカルや舞台に出演するなど女優としての活動も活発に。秋には『美少女戦士セーラームーン~アン ヌーヴォー ヴォヤージュ~』に出演、セーラープルートを演じた。


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Oggi5月号46ページに掲載しているアルアバイルのライトベージュのジャケットの値段に誤りがありました。正しくは¥49,500になります。
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