なんとも気の抜けた…いえ、躍動感があるので気は抜けていませんね。
とにかくシンプルでかわいらしいタイトルに絵柄。
こちらは作者である鴻池さんが自身のサイトやTwitterで公開しているエッセイ漫画が単行本化されたもの。
これはとてもいい意味でなのですが、まさに、な~んにも考えないで読める漫画。
変に気分を上下されることもなく、クスリと笑わせてくれる…
私はこういう漫画が近くにいてくれるとなんだか落ち着くのです。
ハラハラドキドキのファンタジーものや、荒波に揉まれながらも懸命に頑張る青春物はもちろん大好きです。
でも、私生活で慣れない出来事が起こったときや、少し気を張ってしまっているときは、な~んにも考えないで読める漫画を読みたくなります。
猫を飼っている方なら、わかるわかる!と頷き、猫を飼っていない方は自分も猫を飼いたいっ!…とは、思わないかもしれません…
ですが!
この漫画の面白いところはそこにあると思えるのです。
飼い主と愛猫のただののろけエッセイ漫画ではなく飼い主である鴻池さんが、ぽんたに振り回され、まさにその様は下僕のよう!…と、大変失礼な言い方をしてしまい申し訳ありませんが…これは非難でもなくけなす言葉でもなく、愛を込めてそう言いたくなるのです。
ぽんたを愛してあれこれ尽くす鴻池さん、なのにぽんたは、容赦なく引っ掻き障子は破くし部屋にはマーキングしまくり…。
でもまぁ動物ですから仕方ないかな…とも思うのですが…。なんとも筆紙に尽くしがたい鴻池さんのしてやられたり感がたまらないのです。本当にクスリ…とさせてくれて、平常心にさせてくれます。
ちなみに私の実家には5匹の猫がいます。
もちろん噛まれたり引っかかれたりしたこともありますし我が家の猫もぽんた同様マーキングしてしまったりも…。
そのときは声を上げ、こらー!とつい怒ってしまいます。鴻池さんにもそういうときはあるかと思うのですが…やはりそこには揺るぎない愛すべき下僕感…。
以前、知人からこんな話を聞いたことがあります。猫の9割が飼い主のことをご飯をくれる人としか思っていない。犬のように愛情や忠誠心がある猫は1割だと。
ではそう考えたとき、うちの猫たちはどうかな…と思うと胸を張ってうちの猫たちはその1割です!とは言えません。正直に。
玄関にお出迎えにきてくれるのも、かわいらしく私の膝に乗りにゃーんと鳴くのも”ご飯をくれる人だから”と考えれば頷けます。
でもだからと言って、
いえ、仮に本当にそう認識されていると判明したとしても、猫達に抱いている今ある愛情は何ひとつ変わらないんです。
自由気まま、時折ゴロゴロと喉を鳴らして甘えてくる猫のかわいさは無類ですからね。
完全に惚れた弱みです。
鴻池さんも私も、全世界の猫を愛する皆様も。
全世界の猫を愛する皆様に、幸あれ!
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Vol.23 鴻池剛と猫のぽんたニャアアアン!
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Vol.25 笑ゥせぇるすまん
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Vol.27 喪黒福次郎の仕事
Vol.28 東京タラレバ娘
Vol.29 ママはテンパリスト
いしいみかこ
スラリとした手脚でどんな服も着こなしてしまう独自の存在感が人気のモデル。2013年1月号より『Oggi』専属。このWEBオリジナルコラムでは、大好きな漫画&アニメについて書き連ね、二次元にも強いという新たなモデル像を提案。また2014年以降、ミュージカルや舞台に出演するなど女優としての活動も活発に。秋には『美少女戦士セーラームーン~アン ヌーヴォー ヴォヤージュ~』に出演、セーラープルートを演じた。