朔日とは?
朔日は、「さくじつ」または「ついたち」と読みます。これは、ひと月の始まり、つまり月の第1日目を指す言葉です。
ここでは、言葉の読み方や意味、またその語源について詳しく紹介します。
2つの読み方と意味
朔日は、月の始まりの日である1日目を表す言葉です。一般的に「さくじつ」と読みますが、「ついたち」と読む場合もあります。
「ついたち」と読む理由は、月の始まりを表す「月立ち(つきたち)」に由来しているとされています。「月立ち」とは、月が立つこと、つまり「新しい月が始まる日」という意味です。これが音変化を経て、「ついたち」という読み方に変化しました。
なお、旧暦の最後の日は「月が見えなくなる」という意味の「晦」を使い、「晦日(みそか)」と呼ばれていました。一年の最後の日が「大晦日(おおみそか)」と呼ばれるのは、旧暦の名残といえます。
さく‐じつ【×朔日】
出典:小学館 デジタル大辞泉
毎月の第1日。ついたち。朔月。「卯月—」
言葉の由来
朔日の語源には、旧暦や月の満ち欠けが深く関係しているようです。朔日の「朔」は、旧暦において「新月」を意味します。月が見えなくなる新月の日は月の始まりとされ、旧暦ではこの日を毎月の1日と定めていました。
旧暦とは、現代の太陽暦(グレゴリオ暦)が導入される以前に日本で使われていた暦で、ひと月の長さは月の満ち欠けによって決められていました。
現代においては、朔日は単なるカレンダー上の「1日」に過ぎないともいえますが、かつて月の動きを暮らしに取り入れていた時代には、自然や季節と深く結びついた重要な言葉だったといえるかもしれません。

朔日の使い方・例文
朔日の使い方について、例文をみて確認していきましょう。
・新しい月の始まりである朔日には、気持ちを新たに業務に取り組むようにしている
・朔日は新月の日ともいわれ、その月の最初の日を意味する
・新しい月の目標を立てるために、朔日には静かな場所で自分と向き合う時間を作りたい
・今日、朔日を迎えたことを機に、今年の計画を改めて見直してみようと思う
・毎月1日に神社を参拝する「朔日参り」をする人は多い
・彼女は3月1日が誕生日で、自己紹介文には「3月朔日生まれ」と書いている
・我が社の人事異動に関する通知は、朔日をもって発効される
・朔日という言葉は日常的に使うことはあまりないが、神社関連ではよく聞かれる
朔日にまつわる言葉
旧暦にちなんだ朔日という言葉は現代ではあまり使われませんが、朔日にまつわる言葉はいくつも残されています。
以下では4つを取り上げますので、それぞれ詳しくみていきましょう。

朔日参り
朔日参り(ついたちまいり)とは、毎月1日に神社へお参りする日本の古くからの風習です。お正月に初詣をするのと同じように、月の区切りに神様へ感謝の気持ちを伝えるために行われます。
伊勢神宮をはじめ、全国各地の神社では朔日参りの風習が残っており、毎月1日には多くの参拝者で賑わいます。朔日限定の御朱印や御神札を用意している神社も多いようです。
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朔日餅
朔日餅(ついたちもち)とは、伊勢神宮への朔日参りに合わせて、和菓子店「赤福」が毎月1日(ただし正月は除く)に限定販売する特別なお餅のことです。2月は立春大吉餅、3月はよもぎ餅など、季節ごとの風物にちなんだ種類が用意されています。
赤福以外にも朔日餅を扱う神社や和菓子店はありますが、一般的に「朔日餅」といえば赤福のものを指すことがほとんどのよう。毎月1日には、早朝から多くの人が列を作るほどの人気を集めています。
朔日道
朔日道(ついたちみち)とは、旧暦の7月1日(朔日)に、お盆に先立ちご先祖様を迎えるため、墓場から家までの道を草刈りして整えた道のことを指します。地域によっては「盆道(ぼんみち)」とも呼ばれ、お盆を迎える準備の一環として行われてきた、日本の伝統的な風習です。
旧暦の7月1日は、現代の暦では8月初旬ごろにあたり、多くの地域でお盆(8月15日前後)の準備期間にあたります。「朔日道」を整備することで、ご先祖様が迷わず家に戻れるようにするという意味が込められていました。
朔日草
朔日草とは、福寿草(ふくじゅそう)の別名で、縁起のよい響きから正月の時期に飾られることが多い植物です。旧暦の正月、現在の暦でいえば2月ごろに花を咲かせることから、「朔日草」という呼び名が用いられることがあります。
春の訪れを告げるように早春に黄色の花を咲かせるため、かつては「福告ぐ草(ふくつぐそう)」と呼ばれていました。その後、よりおめでたい意味合いを持たせるために「寿」の字が使われ、「福寿草」という名前が定着しています。
朔日の類義語
朔日の類義語として、次のような言葉が挙げられます。
・新月(しんげつ)
・初旬(しょじゅん)
・月初(げっしょ)

新月とは、地球から見て月と太陽が同じ方向に位置し、月が見えなくなる現象のことです。月の満ち欠けの始まりにあたり、「朔」とほぼ同じ意味で用いられます。
初旬は、月の1日から10日までの期間を指します。朔日が「1日」のみを表すのに対し、より広い範囲を含む言葉です。上旬(じょうじゅん)も同じ意味で使われます。
月初も朔日と同じく月の初めを指す言葉ですが、厳密に1日を意味するとは限りません。「その月の初めごろ」といった、曖昧な使われ方をすることが多いでしょう。
朔日の意味を正しく理解しよう
朔日とは、月の最初の日を指す言葉です。「さくじつ」のほか、「ついたち」と読む場合もあります。「朔」は旧暦で新月を意味し、新月の日がその月の1日とされていたことから「朔日」と呼ばれるようになりました。
現代では単に毎月1日を指す言葉として使われていますが、かつては月の満ち欠けと深く結びついた重要な日でした。現代でも、朔日参りなどの風習にその名残がみられます。
朔日の類義語には新月や初旬、月初などが挙げられます。朔日とあわせて覚えておくと、理解が深まるでしょう。
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