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「徳を積む」とは
昔からよくいわれる「徳を積む」という言葉。一体、どんな意味や由来があるのでしょうか。

意味や由来
「徳」とは「人の良い行い」を指します。「徳を積む」とは、「善行を積む」「良い行いを重ねておく」こと。儒教などの東洋思想に顕著な考え方です。人間の道徳性や社会性にかかわる行動でもあります。
例えば、ことわざに「陰徳あれば陽報あり」という言葉があります。中国の思想書『淮南子(えなんじ)』に由来する「陰徳有る者は、必ず陽報有り。陰行有る者は、必ず昭名有り」(人知れず徳を積めば、必ず良い知らせがあり、陰ながら良い行いをする人は、必ず名誉が得られる)につながる言葉。陰で良い行いをしていれば、後から報われるといった意味です。
「徳」には「陽徳」と「陰徳」の2つのタイプが。まず、「陽徳」とは良い行いを人に直接感謝され、表彰されるなど、人に知れ渡ること。いわば「陽の目をあびる徳」といえます。一方で、相手からの見返りや礼を求めない良い行いを「陰徳」と表します。「徳を積む」の「徳」は後者の「陰徳」が近いでしょう。人に知られず、良い行いを積み重ねることが「徳を積む」で、それは孫の代まで続く「徳」といわれることもあるとか。
また、「良いことをすれば、神様や仏様が見ていてくれる」という考え方も。仏教やスピリチュアルなことに興味のない方の中には、人に知られないなら「意味がない」と思われる方もいるかもしれません。とはいえ、誰かの「良い行い」がその周囲や他人に、良い影響を与えるのは間違いありません。損得勘定のない日々を過ごすことで、発見できることがあるはずです。
「徳を積む」とどうなる?
古来より人は、「徳を積む」考え方や振る舞いを大事にしていたようです。「徳を積む」とどうなるのでしょう。何かを期待して「徳を積む」ことは本末転倒なのですが、実のところは結果として、さまざまな効果が生まれているようなので、見てみましょう。
美しくなる
良いことをすると、気持ちがよくなって、自分も良い気分に。特に「自分が誰かの役に立つことができた」と感じるとうれしくて力が湧きます。「徳を積む」と自分の気持ちが前向きに、明るくなるのです。結果的に「徳を積む」行動を通じて自信が湧いて、ひとりの人としての魅力がアップ。表情も穏やかに美しくなる効果があるようです。
何事もいい方向に進む
「徳を積む」ことができる人は、人知れず努力ができる人ということ。上司が見ている所だけで仕事をして、上司が見ていないところでは手を抜く人、部下の成功を横取りする人は「徳を積んでいる」とはいえません。人目がないところでも良い行いを続けている人は、真の実力を蓄えています。次第に人としての安定感が育まれ、困難なことが起きても翻弄されずに対応できるように。必然的に何事もいい方向に進むのでしょう。
人望が得られる
「徳を積む」人の周りには、良い人が集まりやすくなります。なぜなら、他人のためを思い、行動している人の利他の思いが、人に自然と伝わるから。「徳を積む」ことで、結果として人望を得て、人間関係が豊かになる可能性が高まります。困ったときに、人から手を差し伸べられる経験をする人も多いかもしれません。
「徳を積む」生き方とは?
「徳を積む」人は、どんな生き方をしているのでしょう。心がけてみたいことについて解説します。

困っている人を助ける
道に迷っている人、落とし物をした人。日常生活で、困っている人に出会うときがあります。知らない人を助けるのは、今のご時世では、勇気がいることで、つい見てみぬふりをしてしまいがち。ですが、自分の体を動かして人や世の中のお役に立つ行いを「体施(たいせ)」と呼び、「徳を積む」生き方でもあります。自分の命も他人の命も大事にしながら、心がけてみてください。
人の幸せを本気で願う
自分のことではなく、家族、友人、会社の同僚、お客様など、他人の発展や繁栄を心から願える人。世の中の幸せを祈ることを「念施(ねんせ)」といい、「徳を積む」ことにつながります。口では「上手くいくことを願っています」といいながら、心では「失敗すればいいのに」などと思っては本当に願っているとはいえません。相手の幸せを心から願い言葉にしましょう。それが「徳を積む」ことに繋がります。
人を教え導く
学びになることを教えて、人を育てること。人が育つ場所を作る生き方は「徳を積む」ことの一つ。人に何かを教えるのは、難しいです。ですが、他人の人生が豊かになるような教えを説くことを「法施(ほっせ)」といい、これも「徳を積む」生き方です。自分のことだけではなく、他人のことも考えられるように心がけてください。
「徳を積む」ための方法の具体例は?
「徳を積む」には、どんな方法があるのでしょう。具体的な方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。少しずつ実行して、習慣にするといいかもしれません。
掃除
汚れているところを綺麗にすることが、「徳を積む」ことに。自宅はもちろん、外出先でトイレを使うときも美しく。また、オフィスや道端などでゴミを見つけた時は拾うなど、周囲を綺麗に保つことで他の人も心地よく過ごせます。空間が綺麗だと心も清らかになるもの。自分の心がけで他の人が気持ちよく過ごせるのであれば、それは他人のために行動であり、「徳を積む」ことに繋がるのです。

寄付をする
お金を寄付することも「徳を積む」こと。金額の多寡は関係ありません。特に募金活動などは、小さな善意が集まった寄付がほとんど。助けられた人達は誰からの寄付であったかを知ることはほぼありません。見返りを求めない点が寄付の特徴。困っている人や世の中の役に立つお金です。ただし、募金や寄付をする時は、相手先のことを調べて、使い道が明らかで信頼性の高い団体に寄付を。寄付団体を装った詐欺のケースもあるので注意しましょう。

いつも笑顔でいる
いつも笑顔でいる人と一緒だと、明るい気分になりませんか?「笑う門には福来たる」というように、笑顔は周りに良い影響を与えるのです。笑顔でいることは、「顔施(がんせ)」という徳を積む行動でもあります。悲しみや怒りをあらわにして、周りの人を振り回すのではなく、どんな時でも微笑みの心で過ごす生き方を目指してみませんか。

「徳を積む」の類語や言い換え表現は?
「徳を積む」を言い換えるとどうなるでしょう。類語を見てみましょう。
美徳(びとく)
文字通り「美しい徳」、「道にかなった行い」のこと。日本人が大切にしている気質に「謙譲の美徳」という言葉があるように、道理にかなったことを「美」という言葉でもって表しています。
徳行(とくぎょう)
「すぐれた徳とその行ない」、「徳の高い行ない」を指します。
「徳を積む」の英語表現は?
「徳を積む」を英語では、どのように表現するのでしょう。

Virtue is its own reward. (徳はそれ自体が報いである)
「徳」の英語は「virtue」です。「美徳」「美点」と訳されることもあります。
The first thing people who want to develop their talents should do is to accumulate virtues.(才能を開花させたいと願う人々が最初に行なうべきことは、徳を積むことです)
「積むこと」は英語で「accumulate」と表現します。「徳」という意味の「virtue」と組み合わせて、「accumulate virtues」で「徳を積む」と表現できます。
最後に
「徳を積む」ことが一体、どのようことなのかイメージできましたか?今までの自分の行動を振り返って、もう少しこんなふうにできたかも、と思った人もいるかもしれません。「徳を積まなければ!」と身構えるのではなく、自分の気持ちがよくなる小さなことで、誰かの役に立つことを心がけてみましょう。生活習慣の一部として、無理なく「徳を積む」ことをシンプルに継続してみてはいかがでしょうか。



