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LIFESTYLE

2025.12.09

夜半の読み方は「やはん」「よわ」? 何時を意味する言葉なのかまとめて解説

夜半は、そのまま音読みで読めば「やはん」ですが、「よわ」とも読むことがあります。読み方による意味の使い分けをまとめました。また、夜半は時間を表す言葉です。何時ごろを指す言葉なのか、他にもどのように使われる言葉なのか解説します。

夜半とは? 読み方による意味の違い

夜半は「やはん」とも読みますが、「よわ」とも読みます。いずれも夜中を指す言葉ですが、読み方によって意味やニュアンスが異なることがあります。

「やはん」は0時前後を指す現代語

現代において、夜半は「やはん」と読むことが一般的です。気象庁による「夜半」は「0時の前後1時間(23時30分~0時30分)くらい」を指し、「夜半頃」は「0時の前後2時間(23時0分~1時0分)くらい」を指すと定義されています。近年では「夜半」という言葉を日常的に使用しないことから、あまり用いられなくなっているようです。

・夜半頃に弟が帰宅した
・仕事が夜半過ぎまで終わらない。今日は徹夜だ
・夜半に叫び声が聞こえたが、何かあったのだろうか

星空
(c)Adobe Stock

また、「夜半(やはん)」は、辰刻法における「子の刻(ねのこく)」の別称でもあるようです。辰刻法による時刻と別称は、以下をご覧ください。なお、括弧内に別称とその読み方を記載しています。

・子の刻(夜半・やはん):23時~1時
・丑の刻(鶏鳴・けいめい):1時~3時
・寅の刻(平旦・へいたん):3時~5時
・卯の刻(日出・じつしゅつ):5時~7時
・辰の刻(食時・しょくじ):7時~9時
・巳の刻(禺中・ぐちゅう):9時~11時
・午の刻(日中・じつちゅう):11時~13時
・未の刻(日昳・じつてつ):13時~15時
・申の刻(晡時・ほじ):15時~17時
・酉の刻(日入・じつにゅう):17時~19時
・戌の刻(黄昏・こうこん):19時~21時
・亥の刻(人定・じんてい):21時~23時

夜半は現代でも使われる言葉ですが、時刻に関しては以前より「やはん」とも読まれていたと考えられています。別称はあまり使われませんが、干支の刻が指す時間は覚えておくと便利かもしれません。

や‐はん【夜半】
夜中。「夜半から風雨が強まる」

出典:小学館 デジタル大辞泉

「よわ」は夜間を指す古語や季語

夜半を「よわ」と読むのは、基本的には古語や季語として使われているときのみといえるでしょう。

・夜半の月が青白く輝いていた
・『夜半の寝覚』は『夜の寝覚』とも呼ばれ、平安時代に完成した王朝物語だ
・俳句を詠むなら、「秋の夜」ではなく「夜半の秋」のほうがしっくり来るかもしれない

現代文でも、あえて「よわ」と読ませて、風情を感じさせるニュアンスを演出することもあります。

よ‐わ〔‐は〕【夜▽半】
よる。よなか。やはん。

出典:小学館 デジタル大辞泉

夜半を使った表現

夜半(よわ)は、文学的な表現として使われることが多い言葉です。また、平安時代から現代まで、小説のタイトルとしてもしばしば使われてきました。おもな表現について見ていきましょう。

月
(c) Adobe Stock

夜半の寝覚め(よわのねざめ)

夜半の寝覚めとは、夜中に目が覚めることを意味する言葉です。

また「夜の寝覚」は平安時代後期に著された物語のタイトルでもあります(『夜半の寝覚』や『寝覚』ともいう)。作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)といわれていますが、詳しいところは未だ解明されていません。中の君(寝覚の上)と中納言の悲恋物語で『源氏物語』の影響を強く受け、登場人物の心の移り変わりが克明に表現されていると評価されています。

夜半の月(よわのつき)

夜半の月とは、夜中に出ている月のことです。

・夜半の月が明るく輝いている
・誰かに見られているのかと振り返ってみると、澄み渡った空に夜半の月が高く上っていた

秋の季語としても使われます。

夜半の秋(よわのあき)

夜半の秋は、夜半の月と同じく秋の季語として用いられる言葉です。

・涼しい風がさっと吹き、季節の移り変わりを感じさせる夜半の秋
・夜半の秋は、過ごしやすくも物悲しい

秋の夜が深まった様子も「夜半の秋」と表現します。

夜半の煙(よわのけぶり)

夜半の煙とは、夜に立ち上る煙のことです。火葬の煙を指すこともあります。

・夜半の煙だろうか。雲が下りてきているのだろうか
・旅を愛した兄は、夜半の煙となって新たな旅路に出た

墨染の空に立ち上る煙は、季節を問わず風情があるといえるでしょう。

夜半以外の「夜」を指す言葉を紹介

夜を指す言葉は多数あります。たとえば、次の言葉は現代でも頻繁に使われる「夜」を意味する単語です。

・夜中
・真夜中
・深夜
・夜間

いずれも夜を意味する言葉ですが、指す時間やニュアンスが異なります。それぞれの意味と使い方を見ていきましょう。

夜空
(c)AdobeStock

夜中

夜中は「よなか」と読むときは「夜の半ば」や「夜半」を指します。

・こんな夜中に尋ねてくるなんて、非常識だ
・夜中まで仕事が終わらなかった

「やちゅう」と読むときは「夜間」、「よじゅう」と読むときは「一晩中」の意味を持ちます。ただし、いずれも現代では一般的な読み方ではなく、古典文学や小説の中で使用されていされている傾向にあります。

真夜中

真夜中(まよなか)は、夜のもっとも更けたときを指します。

・もう真夜中だよ。早く寝なきゃ
・彼女との会話が楽しく、気づいたら真夜中になっていた

「真(しん/ま)」を単語の頭につけ、正確にその状態であることを示すことがあります。たとえば「真四角」や「真下」「真北」のように使われます。

深夜

深夜(しんや)とは、真夜中や夜更け(よふけ)のことです。

・深夜0時に見知らぬアドレスからメールが届いた
・ラジオの深夜放送を聞くのが趣味だ

「深夜労働」や「深夜放送」のように他の単語とつなげて使われることもあります。

夜間

夜間(やかん)とは、日没から翌朝の日の出までの間を指すことが一般的です。

・夜間に出歩くときは、管理人に行き先を告げるようにしてください
・ヘリコプターを借りて、夜間飛行を楽しんだ

気象庁では、18時~0時頃を指して「夜間」や「夜」と呼ぶようです。

時間を表す言葉を使い分けよう

夜半は「やはん」と読むと単に時間帯を指しますが、「よわ」と読むと文学的な香りを持つ言葉になります。季語や小説のタイトルも合わせてチェックしておきましょう。

夜を指す言葉を使い分けることで、さらに表現が豊かになるはずです。時間帯が正確に伝われば、誤解も回避しやすくなるでしょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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