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「報連相」しているのに伝わっていない。伝わらない理由と、すれ違いの背景とは?
うまく伝えたつもりでも、「伝わってない」と言われることは少なくありません。その背景には、思い込みや認識のズレが潜んでいることも。まずは、すれ違いが生まれる原因を見ていきましょう。
頑張って報連相してるのに、評価されない理由
(1)「何をどこまで伝えるべきか」が曖昧になりがち
うまく伝わらない原因の一つは、情報の選別が不十分であること。手元にある情報を全て伝えようとするあまりに要点がぼやけたり、逆に情報が少なくて意図が伝わらなかったり。
“伝える”という行動をしているものの、「何を言いたかったのかわからない」「何が優先なのかがわからない」となり、相手もそれに対してどう返せばいいのかがわからなくなってしまいます。
(2)上司との価値観ギャップが生むすれ違い
「自分は十分に報告したつもりなのに、上司からは『状況がわからない』と言われた」と感じる人は多いはず。その裏には、相手が求めている情報の粒度や報告の仕方と、部下側の意識にギャップがあることが多いのです。
例えば、ただ「このようなミスをしました」という事実だけでは、上司は状況をしっかりと理解できません。状況をしっかりと理解できないと、このあのどのような指示を出せばいいのか、どんなフォローをすればいいのかという次の行動が読めなくなるのです。

このギャップについては、次の項目以降でも詳しくご紹介します。
「上司が求めている報連相」の前提とは?
上司が求めているのは、単なる事実の羅列ではなく、事実(状況や背景)+意見(自分の考え)を組み合わせた情報です。
たとえば、「納期が遅れそうです」という報告も、なぜ遅れているのか、今どう対応しているのかという状況を伝え、なおかつ上司にどう助けてほしいのか、解決のためにどのように動いているのか、のこの後の動きや見通しまでを伝えることができれば、上司にとって即時に状況が理解でき、判断材料になる有益な情報となります。
ビジネス現場での「伝わる報連相」のコツ
報連相は、ただ行えばいいというものではありません。相手に伝わるように工夫することで、信頼や評価にもつながります。ここでは、ビジネスの現場で実践できる報連相の工夫をご紹介します。
事実+意見+今後の見通し=ワンセットで伝える
報告は「いま起きていること」を伝えるだけでなく、「それに対して自分はどう考え、どう動こうとしているのか」まで伝えると、情報に深みが出るので相手も対応しやすくなります。
NG例:「さっき、顧客からクレームがありました(事実)」
OK例:「顧客からクレームがありました(事実)。こちらの説明不足が原因だと考えています(意見)。今後は説明資料を事前に送る対応を検討しています(見通し)」
結論ファースト+補足で論理的に
多忙な上司にとって、報連相の結論が見えにくいとストレスに感じることも。
最初に結論を伝え、そのあとに補足情報を加えることで、話が格段に伝わりやすくなります。
NG例:「A案とB案を比べて、検討した結果、やっぱり価格も納期も考慮するとA案が良さそうで……はい、それで最終的にA案に決まりました。」
OK例:「A案に決めたいと思います。(結論)理由は、コストと納期のバランスが取れているからです。(補足)」
報連相の頻度やタイミングも重要
上司への報連相は、「必要なときにだけ」ではなく、適切な頻度とタイミングが重要です。プロジェクトの節目や想定外の出来事が起こったタイミングではなく、短くてもいいので毎日報告を行いましょう。順調に進んでいるという進捗具合が掴めるので、安心感と信頼を得られます。
シーン別「上司が求める報連相」の実例集
実際の業務の中で、どう報連相すれば伝わるのか? 進捗報告・トラブル対応・業務相談など、よくあるシーン別に具体例を交えて見ていきましょう。
進捗報告:今の状況+課題+次のアクション
「順調です」「進めています」だけでは、報告としては不十分。上司が知りたいのは、今どこまで進んでいて、何に時間がかかっており、次に何をするのかという具体的な情報です。
例:「○○は完了し、現在△△に着手中です。今週中に仕上げ、来週から××の準備に入る予定です。」
トラブル時:早めに要点だけ先に伝える
問題が起きたときほど、迅速な報連相が信頼につながります。すべてを整理してからでは遅すぎることも。要点だけでも早めに共有しましょう。
例:「A社との納品日調整で行き違いがあり、先方が混乱しています。現在、事実確認中ですが、先にご報告だけしておきます。」
業務相談:迷っている理由と選択肢を明確に
相談は、ただ「どうすればいいですか?」と丸投げするのではなく、「こう考えているが、判断に迷っている理由」と「いくつかの選択肢」を提示するのが理想です。
例:「B案を進めたいと考えていますが、コスト面でC案も捨てがたく、判断に迷っています。それぞれのメリット・デメリットを整理しましたので、ご意見をいただけますか?」

やってしまいがち…NG報連相パターン
一生懸命伝えているのに、うまくいかない。そんな人は、次のNGな伝え方をしていないか、気をつけてみてください。
情報過多・感情的・目的不明
「あれもこれも全部伝えなきゃ」と思うあまり、必要以上に細かい情報まで詰め込んでしまうと、聞く側は混乱します。また、感情的になってしまったり、報告の目的が不明だと「で、どうすれば?」という印象を与えてしまいます。
「何が言いたいの?」と聞かれる伝え方
要点がはっきりしない報連相は、上司の判断や行動を遅らせてしまいます。
「つまり?」と聞き返されることが多いなら、伝える順序や構成を見直す必要があります。
“相談”のつもりが“丸投げ”になっている例
「どうすればいいか分からないので相談します」と言いながら、自分の意見を持っていない、あるいは調べもせずに頼るのは、相談ではなく丸投げです。これでは上司に「で、君はどうしたいの?」と聞かれて、黙りこくってしまうのは目に見えています。
上司からの信頼を得るには、自分なりに考えた上での相談が必要です。
伝える力で信頼を築こう
報連相は、単なる業務のやりとりではなく、信頼を築くための大切なコミュニケーション手段です。伝え方ひとつで、印象も評価も変わります。
「どう伝えるか」「何を伝えるか」を意識することで、より伝わる・伝えられる人を目指しましょう。
TOP画像/(c) Adobe Stock
コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。