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「差し支えございません」の意味と敬語としての位置づけ
「差し支えございません」は、相手からの確認や依頼、質問に対して、「承諾する」「受け入れる」意志を表す際に使われ、特にフォーマルな文脈においてよく使われます。「〜してもよろしいでしょうか?」という質問に対して「差し支えございません」と返したり、「〜しても差し支えございませんでしょうか?」などと使うのが一般的。
「差し支え」という言葉はあまり日常会話では使用しないため敬語と間違われやすいですが、文法的に見ると、「差し支え(名詞)」に対し、丁寧語「ございます(=ありますの丁寧形)」を付けた形で正しい敬語表現といえます。
敬語としては正しいが、少しかしこまりすぎる?
「差し支えございません」は正しい敬語(丁寧語)ですが、ややかしこまった響きがあるため、相手との関係性や文脈によっては、形式的だったりよそよそしかったりという印象を与えることも。
ビジネスシーンでも、社内のカジュアルな雰囲気の会話や気軽なチャットでは、相手に距離を感じさせてしまうことも。丁寧さが仇になり、距離が縮めにくくなる場合もあります。
「差し支えございません」の使い方|例文とポイント
相手の提案や質問に同意する際に使われる「差し支えございません」ですが、実際のビジネスシーンではどのように使えばよいのでしょうか。メールなどで文章として使う場合と、口頭やチャットなどのやりとりで使う場合、それぞれの場面に応じた使い方のコツをご紹介します。
社外の人へのメール
ビジネスシーンにおいて、社外の人へ送るメールでは、以下のように使うことができます。
「いただいた内容を、社内で共有させていただいても差し支えございませんか?」
「ご提示いただいたスケジュールで差し支えございません。よろしくお願いいたします。」
やや堅めには聞こえますが、フォーマルな表現として一般的に使われます。

口頭やチャットでの使用例と違和感を避けるコツ
口頭でのやり取りやチャットでこの表現を使うと、距離を感じると思われる場合があります。たとえば上司に「この資料、午後から目を通してもいいかな?」と聞かれ、「はい、差し支えございません」と答えるのは少し仰々しい気がしませんか?
そんなときは、より柔らかい表現に変えたり、言葉を添えると好印象です。
例:
「はい、大丈夫です。差し支えございません。」
「もちろんです。よろしくお願いします。」
「はい、問題ありません。」
「ありがとうございます。承知いたしました。」
口頭ではとくに、声のトーンや表情、前後の一言が相手の受け取り方に影響するため、「敬意+親しみ」を意識するとよいでしょう。
より丁寧に伝えたい場合の言い換え
相手が目上の方や取引先の場合は、丁寧さを保ちつつ配慮が伝わる表現を選ぶのがおすすめです。
例:
「ご希望の日時で問題ございません。当日はよろしくお願いいたします」
「ご提案の内容で承知いたしました。どうもありがとうございます。」
「差し支えございません」を英語で伝えるには?
仕事で外国人と話す機会がある場合、「問題ありません」「差し支えございません」にあたる英語表現として「OK」や「No problem」が浮かびますが、カジュアルすぎる表現でもあるので、ボキャブラリーとしてもう少し別の表現も覚えておきたいですよね。
「OK」や「No problem.」のほかに、「That’s fine.」や「sure」などを使うことも。少し畏まった印象で伝えたいときには、「No problem at all.」「It would be no problem at all.」などが適しています。
ただし、日本に比べると、外国ではビジネス上でもカジュアルな言葉を使うことも多く、そこまで畏まる必要がありません。相手との関係性や文脈に応じて、必要なニュアンスを覚えておくと、スムーズなコミュニケーションにつながります。

言い換えや添える言葉にも工夫して使いこなそう
社会人なら誰もが使う、「差し支えございません」という表現。丁寧で誠実な印象を与える一方、少し堅い響きになることもあるので、相手や状況に合わせて言い換えや一言を添える工夫をするなど、バリエーションをたくさん知っておくと良いですね。
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コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。