型にはめず、力を抜いて。ダメだったとしてもこの挑戦はいい経験になる
「ゴールデン帯のドラマで主演をつとめる!」。佐野勇斗さんが以前からかかげていた目標が、いよいよ現実のものに。働く私たちにとって週の真ん中の楽しみになりそうな水曜夜10時のドラマで、誘拐犯を演じます。

ちょっと自由にお芝居をしてみようかな
――2025年Oggi3月号取材時、「2025年は結果を残す年にする」と断言していましたね。
佐野勇斗さん(以下、佐野):わ、まさにその通りになってる! 所属するグループのM!LKがいくつもトレンド入りして、そして今回は念願のゴールデン・プライム帯ドラマ主演(桜田ひよりさんとのW主演)。昨年末の段階ではどれもまだ見えていなかったことが、現実になって…。自分でも改めてびっくりしてます。順調と言ってもらえるのはうれしいけど、今年やらなきゃいけないことも、まだまだ残っている。今はまだ、一歩一歩かなえている途中です。
――10~12月の主演ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』は、そんな2025年の終盤を飾ることになりそうですが、自分にどんな期待をかけているのでしょう。
佐野:10年以上俳優をやってきて、金髪でドラマに出るのは今回が初めて。金髪でやってみたいと相談して、実現しました。衣装もいつもの私服に近いものを用意していただいて。自分の意見を出しながら話し合い、役をつくっていくのは、楽しいプロセスです。30代に向けて自分の可能性を広げていきつつ、今回はちょっと自由にお芝居をしてみようかなと思っているところ。
僕はどうしても、周囲に気を遣いすぎるところがあって、相手の役者さんに対しても、予定にないことをやって困らせたらいけないと、踏みとどまってしまうところがありました。でも、今回は適度に肩の力を抜いて、遊びを入れて。それがハマれば、みなさんに面白いと思ってもらえるし、ダメだったとしても挑戦したことはいい経験になるはずですから。

どう事態を切り拓くか、どう対応できるか、主役にかかってくる
――主演という立場になってみて、意識の変化はありますか?
佐野:ずっと目標だったので、決まったときは「わっ!」「いよいよ」と力が入りましたが、いざ撮影となると案外やることは変わらなくて。自分のやるべきことを最後までしっかり貫くだけ。ただ、どんなにうまくいっていても、長い撮影期間中には波があるもの。みんなが沈んでいるとき、どう事態を切り拓くか、どう対応できるか、主役にかかってくる。みんながつらかったら、自分はどういう気持ちと態度で臨むか。これまで背中を見せてくれた先輩方から学んだことを思い出しながら、自分なりの座長スタイルをつくれればと思います。
とはいえ、不思議なことに緊張は少ないのも事実です。いつもドラマや映画のクランクイン前は、期待と不安が入り混じって…いってみれば新学期が始まるときみたいな感じなんです。それが、今回は楽しみが上回っていて、さて「どうやって遊ぼうか」という、初めての感覚があります。
――俳優の経験は、M!LKでのグループ活動にどのような影響を与えると考えていますか。
佐野:俳優活動がグループ活動に…というより、グループ活動があるから主演という立場でもあまり物怖じしないという気がしています。グループ内での意見の出し合いやディベート、最年長としてどう振る舞うか。たくさん考え、鍛えられて、今があるんですよね。

失敗や最悪の可能性まで全部考えた上で突き進む
――では、ここから2問「もしも」で想像してお答えください。ひとつ目は、ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』にちなんで、「もしも、自分が誘拐犯なら?」。頭脳派? それとも武闘派?
佐野:頭脳派と武闘派、実はどっちもやれるタイプです。頭を使ってめちゃめちゃ考えた上で、パワープレイをするのは、グループ活動のときもやってきました。それも、先の先まで想定して――成功した場合だけでなく、失敗した場合、最悪の可能性まで全部――その上で突き進む。(M!LKの)ライブなんかでは、ついやりすぎちゃうこともあるけど、その後の対策まで想定済みなんです。…と言うとかっこいいけど、実際は気を遣って周りを見て、先の先を読んで…だからなのか友達は少ないです(笑)。
――「もしも」の2問めです。誘拐まではいかなくても、もしも女の子とハラハラドキドキ体験をするなら、どんなシチュエーションがいい?
佐野:ハラハラドキドキ…うーん、僕、お化け屋敷も絶叫マシンも怖がらないからなぁ。自分で言うのも変だけど、妙にキモが座っているというか。そうだな、女の子と盛り上がるのだとしたら、ロケで体験したヒルクライム(自転車で上り坂のコースを走るスポーツ)がいい! やっているときはマジでしんどかったんですけど、気合いで登頂して、そのときの気持ちよさは忘れられません。ロケのときは、一緒に登ったメンバーとの絆も深まったので、女の子とやっても仲が深まるんじゃないかな。

――では最後に。ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』の放送は週の真ん中の水曜日の夜。働いて帰って来て、ドラマを見るOggi読者みなさんにエールをお願いします。
佐野:僕も子供のころ、水曜はなんとなく憂鬱で嫌いでした。「今週もまだ2日も学校があるのか」って。仕事をしていて同じように感じているみなさんを、このドラマで癒やすことができたらなと思います。「誘拐」というと、重たい話を連想するかもしれませんが、『ESCAPE』というタイトルどおり、「逃げる」――人生の問題から「逃げる」ことと向き合うことがテーマです。だれでも「逃げたい」ことはあって当たり前、仕事だけじゃなくて人間関係や家族の問題や…。ドラマでは、それらと逃げずに向き合う主人公ふたりに注目してください。みなさんも、週末まであと2日間を「逃げずに」頑張って乗り切って、楽しい週末を迎えてください!

10月8日スタート ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』
大企業、八神製薬社長の一人娘・八神結以(やがみ・ゆい:桜田ひより)が 20歳のバースデーパーティーの日に誘拐された。しかし計画はあえなく失敗に終わり、犯人の一人・林田大介(はやしだ・だいすけ:佐野勇斗)は呆然と立ちすくむ。だが人質のはずの令嬢は「私と一緒に逃げて!」と言い出し、“人質と誘拐犯”…二人の奇妙な逃避行が始まる。実は彼女には、ある隠された”秘密”が…。誘拐事件をキッカケに、二人の数奇な運命が動き出す! 完全オリジナル脚本で10月8日スタート。
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ジャケット¥71,500・オーバーオール¥15,400(リーバイス®) ※すべて税込み価格
問い合わせ先/リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社 0120-099-501
撮影/高木亜麗 スタイリスト/伊藤省吾 (sitor) ヘア&メイク/望月 光
取材・文/南 ゆかり

佐野勇斗
さの・はやと 俳優/1998年生まれ、愛知県出身。2015年に映画『くちびるに歌を』で俳優デビュー。翌年にドラマ『砂の塔〜知りすぎた隣人』で初の連続ドラマ出演。以降の出演作に、映画『ちはらふる -結び-』『青夏 きみに恋した30日』『小さな恋の歌』劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』『六人の嘘つきな大学生』、連続テレビ小説『おむすび』、ドラマ『おとなりに銀河』『マイダイアリー』『ひとりでしにたい』『ちはらふる-めぐり-』など。ボーカルダンスユニット『M!LK』として2014年から活動している。