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LIFESTYLE

2025.07.26

【SUPER EIGHT 安田章大】「ギラギラしてたっていいじゃない」アングラ演劇を経験して気づいたアイドル論

アイドル道の先頭を20年以上走り続けてきた安田さんが、いま楽しさを感じているのが小劇場で行うアングラ演劇。8〜10月は唐十郎作品を関西弁で演じるという初の試みも控えています。アングラ演劇+関西弁+安田さんのエネルギーが生み出す化学反応が待ちきれない!

賛否両論がどれだけ出てくるか、楽しみです

2025年夏、安田章大さん(SUPER EIGHT)が初めての挑戦に乗り出します。自身の活動のひとつである演劇の世界で、ネイティブの関西弁を武器に、新たなアプローチで唐作品に出演。さらに、厳しいスケジュールのなか地方での公演を直談判、秋まで一気に駆け抜けます。

演目は、安田さんが敬愛する劇作家・唐十郎さん(1940〜2024年)の初期作品『アリババ』、『愛の乞食』の2作品。2年前に唐さんの作品『少女都市からの呼び声』に主演し、アングラ演劇の世界に魅了されたことは、自身も認めるところ。そして今年6〜7月には、同じ演目『アリババ』『愛の乞食』をアングラ感たっぷりの“屋外テント公演”(※)で完璧になし遂げました。

※通称“テント公演”。新宿梁山泊が主演に安田章大を迎え、6/14〜7/6に新宿・花園神社境内の特設紫テントで行われた。

大好評だったテント公演を終え、いよいよ関西弁による公演を間近に控えた安田さんの心境は――

安田章大さん(以下、安田):標準語と関西弁、テンポ感が違うし、言葉の強さ・意味合いも大きく変わるし、それが醍醐味になるだろうと思っています。軽くなってしまうんじゃないか、という危険性はあります。けれど、それによって唐さんのリズミカルな戯曲をより表現できるし、危険性があるぶん、可能性も大きい。そして…賛否両論がどれだけ出てくるのか。楽しみなところでもあります。

――安田さんご自身が傾倒する唐十郎さんの戯曲には、どのような魅力があるとお考えでしょうか。特に、今回上演される『アリババ』『愛の乞食』に現れているものがあれば教えてください。

安田:『アリババ』は唐さんの最初期1966年に初演、『愛の乞食』は1970年初演の作品です。1960年代後半から1970年代にかけて、ベトナム戦争や学生運動など、時代がうねるなか、20代の唐さんの情熱や憤りがぶつけられています。その時代を駆け抜けた唐十郎さんの頭の中が、しっかりと息づいているのが、今回上演する2作品。『アリババ』は息を呑むように静かだけど時に笑いが起きて、渦にのみ込まれていっているような印象を受けます。『アリババ』で「笑っていいんだな」と思える空気が、『愛の乞食』へも繋がっているように感じるし、連続したエネルギーが発動しているように感じます。

そんな熱をもった唐さんの作品に参加させてもらうからには、ある程度の知識と落とし込み方のレベルを上げておかないといけないということは、わかっていました。過去の作品を――もちろん当時はビデオだったのでそれを探してDVDに焼き直して――観たり、そうしながら大事なところは紙に書き出したりしました。

そして…やってみれば、このアングラ演劇のギラギラ、ドロドロしたところが好きだとわかった。僕らだってふだん、ドロドロしてますから(笑)。

アイドルだけど、ギラギラしてるしドロドロしてる

大成功を収めたテント公演によって、安田さんはすっかりアングラ演劇に魅せられた様子。では、対局にあるアイドル活動とアングラ演劇を、どのように捉えているのでしょうか。

安田:アイドルをやっていると、キラキラした道のど真ん中にいると思われるけど、それは勘違いなんだなって、今思いました。12歳からこの世界にいて29年、これがメジャーでキラキラだなんて、一度も考えたことはありませんでした。もちろんキラキラしたグループもいますよ。でも僕らはどちらかといえば、泥臭くてドロドロしていて。僕はそんな濁流のなかで、どこかにキラキラしたものが待っているというような生き方をしてきた人間です。求められて、期待されて、キラキラした道に乗っかることはあるけれど、思えばずっとギラギラしてドロドロしている。そうやって、突き抜けた先に、本当にみなさんが望んでいるものがある。そう信じているんです。

――そんな「ドロドロ感」がたっぷり味わえるアングラ演劇ですが、ビギナーに向けて楽しみ方を。

安田:「観劇」しに行くと思いがちだけど、実際はジェットコースターに乗るみたいなもんで、特に唐さんの作品は体験型やと思ってます。言葉だけを理解しようとしないで、体がどんなふうに反応するのか、心がどう震えるのか、そこに感情を置けばいいんじゃないでしょうか。言葉だけで理解しようとしたら、体や心がシャットダウンされてしまいます。

そしてたとえ言葉でわからないとしても、わからないものに触れることが、人生でどれだけ大事なのか、この演劇で体験してもらえたらと思います。観終わって、あれは何を言いたかったんだろうと思ったら検索して調べてもいいし、戯曲を読んでみるのもいいでしょう。

ファンの方のなかには、戯曲を読んでから観に来てくださる人もけっこういて、それでもわからなかったと落胆する人もいるし、ちょっとだけわかったという人もいて。わからないことを理解しようというのは楽しいことだけど、受け取り方が人と違っても落胆する必要はないと思います。

劇場のある街に足を運び、唐十郎さんを連れて行きたい

――ではそんなビギナー観劇者のみなさんに向けて、これから始まる関西弁公演の見どころをお願いします。

安田:実際にやってみなければわからないけれど、唐さんの戯曲が関西弁で面白く転がればいいし、自分なりにアレンジを加えるところもあるかなと思っています。それは、演出の金守珍さんとの話し合いはもちろんですが、対峙する役者さんとの温度感や速度感でも変わります。

テント公演ならではの良さ、そして劇場ならではの良さ、どちらもあるけれど、みなさんが好きか好きじゃないかは、まあ一度観てから決めてください(笑)。

――関西弁のセリフ(しかも膨大な量の!)を引っ提げて、公演は東京を皮切りに福岡、大阪、愛知へと続きます。

安田:地方公演は、自分から事務所に話して、スケジュールをなんとかしてもらいました。ほんまはもっといろんな都市に行きたかったんですけどね。劇場のある街に自分で足を運び、そこに唐十郎さんを連れて行くということをしたかったんです。あれだけ、全国に、世界に、ファンをもっていた人ですから。こうした関西弁での公演をきっかけに、唐さんの作品をまた別の誰かが関西弁でやってくれても面白い。大阪にも素敵な小劇場がたくさんあるから、盛り上がってくれたら、さらにうれしいですね。

とはいえ、共演する役者さんは僕以上に経験豊富な方々ばかり。それぞれで思っているものがどんなふうに具現化されるのか、楽しみです。楽しみにしながら、あとは全部みなさんに任せる。こんな幸せな空間はありません(笑)。

この日は猛暑のなかの撮影。Oggiスタッフが「夏バテは大丈夫ですか?」と尋ねると、「ぜんぜん! 暑いのも寒いのも、めっちゃ強いから」と、汗をほとばしらせながら答えてくれた安田さん。このエネルギーは舞台上でさらに大きくなり、客席の隅々にまで伝わること間違いなし。前代未聞のエネルギーあふれる新しい舞台のかたち、ぜひこのチャンスに体感して!

撮影/新宿・花園神社境内の特設紫テントにて(公演はすでに終了)


Bunkamura Production 2025
『アリババ』『愛の乞食』
作:唐十郎  脚色・演出:金守珍
出演:安田章大 壮一帆 伊東蒼 彦摩呂 福田転球
   金守珍 温水洋一 伊原剛志 風間杜夫 ほか
東京公演/2025 年 8 月31日~9 月21日 世田谷パブリックシアター
福岡公演/2025 年 9 月27日~28日 J:COM 北九州芸術劇場
大阪公演/2025 年 10 月5日~13日 森ノ宮ピロティホール
愛知公演/2025 年 10 月18日~19日 東海市芸術劇場

▶︎HP


撮影/田形千紘 スタイリスト/袴田能生(juice) ヘアメイク/山崎陽子 文/南ゆかり

安田章大(SUPER EIGHT)

やすだ・しょうた  1984年9月11日生まれ、兵庫県出身。2004年にグループとしてCDデビュー。ソロ活動としては『ドラゴン青年団』で連続ドラマ単独初主演。その後も、『夜行観覧車』、『なるようになるさ。』シリーズ、映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』、『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』など。舞台出演は、1997年『MASK』をはじめ、『DREAM BOYS』シリーズ、『カゴツルベ』『ジュリエット通り』『俺節』『マニアック』『リボルバー 〜誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?〜』『少女都市からの呼び声』『あのよこのよ』などがある。今年9月に写真集『DOWN TO EARTH』を発売予定。

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