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2025.12.07

不朽の名作、ディズニー、人気映画の舞台化、Kミュージカル…新時代の幕を開けた「ミュージカル」の魅力に迫る!

国産作品の成長やハイテクな空間演出など、進化が止まらないミュージカル。その魅力や気になる作品をお届けします。

働く私たちの心に癒やしを♡ ミュージカルの新時代が幕を開けた!

生身の俳優が、目の前で歌って踊って生きる。ミュージカルの魅力を、演劇ライターの上村由紀子さんに伺いました!

ミュージカルについて教えてくれるのは…

演劇ライター・上村由紀子さん

演劇ライター・上村由紀子さん
かみむら・ゆきこ/大学の演劇科を卒業後、俳優、FMラジオDJなどを経て現職。これまでに観た舞台は4000本以上。専門家としてTBS「マツコの知らない世界」、日テレ「行列のできる相談所」などに出演。著書に『ビジネス教養としてのミュージカル』(日本能率協会マネジメントセンター)。

音楽とダンスの力で物語のパワーを増幅

Oggi編集部(以下Oggi):最近、『DEATH NOTE』や『SPY×FAMILY』など、人気漫画が原作のミュージカルが増えてませんか? 興味はあるんですが、ミュージカルを観に行くのって少しハードルが高い気がして…。

上村さん(以下敬称略):それはもったいない! 生身の人間が全身全霊で歌って踊って生きるエネルギーに触れられる喜びは、ミュージカルならでは。セリフだけでは表現しきれない感情を音楽の力で増幅させ、観客を物語の世界へと連れていってくれるのがミュージカルの魅力なんです。

Oggi:歌やダンスがあることで、感情の盛り上がりがよりパワフルに伝わるんですね。ところでミュージカルって、いったいいつ、どこで始まったんですか?

上村:ミュージカルの原型は1600年ごろ、ヨーロッパでのオペラ誕生までさかのぼります。1800年代中盤には、より大衆的・喜劇的な内容のオペレッタが登場し、1910年代になるとアメリカ版オペレッタが上演されるように。そして1927年、ニューヨークのブロードウェイで音楽劇『ショウ・ボート』が開幕。社会的なテーマを扱いながらも美しい楽曲としっかりしたストーリーラインで構成され、それまでの〝楽しいだけ〟のショーとは一線を画していました。この作品がミュージカルの〝礎〟とされています。

Oggi:日本にミュージカルが入ってきたのはいつなんですか?

上村:日本で最初に上演されたブロードウェイミュージカルは、1963年、東京宝塚劇場で幕を開けた『マイ・フェア・レディ』。当時のスター俳優が主演を務め、大評判になりました。これ以降、多くのブロードウェイ作品が日本版キャストで上演されるようになります。’70年代には宝塚歌劇団が『ベルサイユのばら』を舞台化し、少女漫画ファンの若い女性たちがこぞって劇場に足を運びました。’80年代になると、劇団四季の『キャッツ』(’83年)や『オペラ座の怪人』(’88年)、東宝の『レ・ミゼラブル』(’87年)などの上演がスタート。バブル期の華やかさも後押しし、ミュージカルの観劇が一般的になりました。

Oggi:私でも知ってる演目!

上村:’90年代には劇団四季が『美女と野獣』(’95年)をスタートさせ、以後、『ライオンキング』(’98年)『アナと雪の女王』(’21年)など、ディズニー作品を多く手がけるように。ディズニー映画に親しんだ世代なら、初めての観劇にもぴったり。ストーリーを知っているぶん、安心して楽しめるはず。そして続く2000年代に注目したいのは、〝2.5次元ミュージカル〟の台頭。漫画やアニメ、ゲームなど2次元の世界を3次元の舞台として上演するもので、’03年に始まった『テニスの王子様』はその代表格。「テニミュ」の愛称で親しまれ、キャストを替え、現在に至るまで多くのシリーズ作を展開。また、ミュージカル『刀剣乱舞』はパリや中国、『「進撃の巨人」-the Musical-』はニューヨーク、『美少女戦士セーラームーン』はロンドン… と海外公演を成功させた作品も。

Oggi:日本の漫画・アニメは世界中にファンがいますもんね!

上村:2.5次元ミュージカルは原作キャラのビジュアルに寄せるヘア&メイクなども徹底していて、ファンは〝推し活〟感覚でも楽しめるはず。2.5次元ミュージカルの登場でミュージカルのハードルはぐっと下がり、よりカジュアルに楽しむ層が増えたと感じます。若手俳優がここから羽ばたくケースも多く、今や登竜門的な存在にもなりつつある、といえるかもしれません。

海外作品を超えろ! 2.5次元からオリジナルまで。国産ミュージカルが急成長中

テニスの王子様
©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

2003年初演のミュージカル『テニスの王子様』からスタートした〝2.5次元ミュージカル〟は、数々のヒット作を生み出し、一部は海外進出も。

デスノート THE MUSICAL
©️大場つぐみ・小畑健/集英社

「近年は大手主催会社や劇団も独自の演目を制作し、劇団四季『ゴースト&レディ』、東宝『SPY×FAMILY』、ホリプロ『デスノート THE MUSICAL』などが話題です」(上村さん・以下同)

日本発作品が続々誕生。お隣韓国でもブームが!

Oggi:とはいえ、舞台のチケットってやっぱりお高いですよねぇ…。

上村:ここ数年でチケット代はどんどん値上がりし、グランドミュージカルといわれる大型作品では、S席1万5千円以上が当たり前。これまで主流だった海外発の作品を上演するにあたって、円安やコロナ禍の影響でライセンス料や舞台装置の材料費などが高騰し、そのぶんチケット代に反映せざるをえないのが実情なんです。

Oggi:円安とコロナの影響がこんなところにもー⁉

上村:一方で、前向きな変化も。「輸入作品に頼るだけでは立ち行かない」との危機感から、ここ数年で日本発オリジナル作品の制作が一気に活発化したんです。

Oggi:それは期待大ですね。

上村:日本発であれば権利関係もクリアしやすいですし、制作費の面でも現実的。これまで海外作品のライセンス上演をメインにしてきた大手の主催会社や劇団も、続々と独自の作品づくりに挑戦しています。東宝の『梨泰院クラス』『ケイン&アベル』、劇団四季の『バケモノの子』『ゴースト&レディ』、ホリプロの『ミセン』『ある男』など、多くの話題作が上演されました。

Oggi:日本のミュージカルが今、面白くなってきているんですね! ワクワクします。

上村:実はお隣、韓国ではひと足先に同じ流れが来ています。国がミュージカル文化を輸出産業として後押しし、クリエイターを海外に留学させたり、〝Kミュージカル見本市〟を開いて世界に売り込んだり、相当な力の入れようで。昨年は韓国発の『メイビー、ハッピーエンディング』がブロードウェイに進出し、演劇界のアカデミー賞といわれるトニー賞で、作品賞をはじめ計6部門を受賞。アジア作品で初めての快挙でした。

Oggi:韓国、すごい…!

上村:実は、韓国でも日本でも、オリジナル作品の制作に、クリエイターを海外から招くケースも少なくありません。海外でも通用するような舞台をつくっていきたい、という意欲の表れですね。ただ、日本でも作曲家や脚本家などのクリエイターがもっと育ち、独自の作品を海外に輸出できるようになれば、ミュージカル界の未来はもっと明るくなるはずです。

男性客を劇場に呼び込んだ人気映画が原作の舞台とは!?

Oggi:そのほか、注目すべき近年の傾向はありますか?

上村:ここ数年、「大ヒットした映画をミュージカル化すること」が新しい潮流になっています。これまでは『レ・ミゼラブル』にしろ『マンマ・ミーア!』や『ウィキッド』にしろ、「大ヒット舞台作品を映画化する」という流れが主流でしたが、近年は変化も。これまであまり舞台に興味がなかったライト層も劇場に呼び込もうという狙いで、今年上演が始まった劇団四季の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はその成功例ですね。男性客も多く、家族で楽しめる内容。’80年代ファッションで観劇するお客さんもいるようです。

Oggi:長いこと愛されている映画ですもんね。2.5次元ミュージカルもですが、ミュージカル初心者の入り口によさそう!

上村:映画で親しんだキャラクターが目の前で歌ったり踊ったりする姿はやっぱり感動的。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はタイムマシン、デロリアンの疾走感も魔法のようで、アミューズメントパークさながらの空間演出にワクワクしますよ。ほかにも世代に人気の映画『プラダを着た悪魔』も、近年ロンドンなどで舞台化されたので、日本版の上演ももうすぐかも⁉

Oggi:それは待ちどおしい! ほかにも上村さんおすすめのミュージカルを教えてください!

上村:劇団四季の『マンマ・ミーア!』は1970年代にヒットしたスウェーデンのポップグループABBAの音楽で構成され、だれでもハッピーな気持ちになれる作品。同じく四季の『ノートルダムの鐘』はここまで人間の多面性を描いたミュージカルはない、というくらい奥行きを感じられる名作なので、再演されたらぜひ! 劇場に行くのが難しいという人は、まずは『ウィキッド』『ドリームガールズ』など、映画作品でミュージカルを楽しむのもいいかもしれませんね。

Oggi:観劇の際に気をつけるべきマナーはありますか?

上村:上演中に私語を控える、ケータイを見ない、といった基本を守れば大丈夫。ファッションに関していえば、高い位置で髪をお団子にしていたり、和服の帯で前のめりになったりすると、後ろの席の人の視界をさえぎってしまいます。清潔感があって、まわりに配慮できる装いなら十分です。

Oggi:ミュージカルって〝特別な趣味〟みたいに思っていたけれど、結構気軽に楽しめそう!

上村:そうなんです。最近では一部の作品で、チケット料金を変動させるダイナミックプライシングを取り入れていて、観劇日時によっては通常より少し安くチケットが取れる場合もありますし、観る前にストーリーや時代背景などを軽く予習しておけば、作品の世界観をより深く楽しめます。目の前の舞台に没頭して心が動けば、「人生ってすばらしい」と思える体験になるはずですよ!

スクリーンからステージへ。映画のミュージカル化が新潮流

バック・トゥ・ザ・フューチャー(ロングラン上演中 @JR東日本四季劇場「秋」)

バック・トゥ・ザ・フューチャー
撮影:荒井 健

〝大ヒット映画の舞台化〟の流れがここ数年で加速中。「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、観劇習慣の少ない40代以上の男性客も劇場に呼び込む快挙」

PRETTY WOMAN The Musical(2026年1月〜 @東急シアターオーブほか)

PRETTY WOMAN The Musical

『プリティ・ウーマン』は主人公ヴィヴィアン役を星風まどかさん&田村芽実さん、エドワード役を城田 優さんで上演決定。「女性の自立やシスターフッドも描かれ、映画よりバージョンアップの予感」

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ミュージカル界の実力派俳優! 海宝直人さん

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「加藤和樹さんは2021年に菊田一夫演劇賞を受賞。日本のミュージカル界を牽引し、水が滴るような色気も魅力です」

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ダンスも歌もキラキラ! 三浦宏規さん

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「三浦宏規さんは『レ・ミゼラブル』などで注目された26歳。バレエ出身ながら歌も演技も光ってます。ぜひ舞台で味わって!」

覚えておきたい「ミュージカル」のキーワード

1.ブロードウェイ

ブロードウェイ

ニューヨークの中心部マンハッタンの劇場街。本来は大通りの名称のこと。約40の劇場が集まり、日々さまざまな舞台作品を上演。商業演劇の最高峰とされ、ヒット作は世界各国に輸出される。

2.トニー賞

ブロードウェイで上演されたミュージカルや演劇作品を対象に毎年6月に授賞式が行われる、アメリカ演劇界最高の栄誉。1947年にスタート。作品賞や俳優賞、衣装デザイン賞など多彩な部門が設けられている。

3.ダイナミックプライシング

需要に応じてチケット代を変動させるシステム。類似した仕組みとして、劇団四季では2020年に曜日別料金制度を導入。現在はバリュー、レギュラー、ピークの3段階で、主に休日の昼は高く平日の夜は安く設定。集客を分散させている。

4.予習

ビジネス教養としてのミュージカル

上村さん初の著書『ビジネス教養としてのミュージカル』は、ミュージカルの歴史から気分に合わせたおすすめ作品、ビジネスの仕組みまで、ミュージカルの魅力を凝縮した一冊。観劇デビュー前のガイドにぴったり。ベテランファンにも学びが満載。

2025年Oggi12月号「Oggi大学」より
構成/中村茉莉花、酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部

Oggi編集部

「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。
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