「滅入る」とは? 言葉の基礎知識をまとめて解説
「滅入る」の読み方は、「めいる」です。滅入るは単独でも「暗い気持ちになること」を指しますが、一般的には「気が滅入る」の形で用いられることが多く、その場合は「陰気で憂鬱 (ゆううつ)な気分になる」「元気がなくなる」を意味します。
滅入るの「滅」の意味は「消える」「滅びる」で、「入(い)る」は「深く入り込むこと」を指します。これらの語をあわせることで、「より深く消える・滅びること」を表現するようになったといわれています。
それでは、滅入るの意味や使い方・例文、「参る」との違いを確認していきましょう。
滅入るの意味は「暗い気持ちになること」
滅入るとは、「元気がなくなること」「暗い気持ちになること」「沈んだ気分になること」を意味する言葉です。気持ちが落ち込んでいることやその様子を表す際に、ネガティブなニュアンスで用いられます。
また、滅入るには「深く入り込む」「めり込む」という意味もあります。
一般的には、2つの意味のうちの「元気がなくなること」を指す表現として用いられることが多いです。話をしているときなどで、相手の話したいことが気持ちの落ち込みではないと感じた場合には、もうひとつの「深く入り込む」という意味も思い出してみるとよいでしょう。
め‐い・る【▽滅入る】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[動ラ五(四)]
1 元気がなくなり、暗い気持ちになる。「雨つづきで気が—・る」
2 深く入り込む。めり込む。
「見しうちに—・りて柱もゆがみ壁もこぼれ」〈浮・武家義理・四〉

滅入るの使い方・例文
それでは、実際に滅入るの使い方を簡単な例文で確認しましょう。
・今日は、気が滅入るような天気だ
・病気がちでいつも体がだるいため、気が滅入ってしまう
・彼女といると、いつも人の悪口ばかり聞かされることになる。彼女と同じシフトになっている日は、朝から気が滅入る
・長かった連休が終わり、とうとう明日からは仕事だと考えると、本当に気分が滅入る
・最近天気の悪い日が続いていて、気が滅入りがちだ
・忙しいとオフィスの空気がピリつくため、仕事中に気が滅入ってしまう
「参る」との違い
「参る」は、滅入ると同じようにとらえられやすい表現です。参るには、複数の意味があります。
そのうち滅入ると意味が似ているのは、「弱る」「困る」「閉口する」などでしょう。たとえば、「最近暑い日が続いて参ってしまった」などと表現できます。似たニュアンスであるものの、「体力・気力が衰えて弱ること」と「暗い気持ちになること」ではやや違いがあるといえるでしょう。
参るには、ほかにも以下のような意味があります。
・【行く】の謙譲語
・【行く】を重々しくいう表現
・負ける、降参する
・【死ぬ】をやや卑しめた表現
・異性などに心を奪われること
・貴人に対して何かをさし上げる、献上する
・貴人のために何かをしてさし上げる、奉仕する
・奉仕を受ける貴人の動作そのものを表す尊敬語
参考:小学館 デジタル大辞泉
滅入るの類語・言い換え表現2つ
滅入るの類語・言い換え表現には、以下のものが挙げられます。
- 意気消沈(いきしょうちん)する
- 憂鬱(ゆううつ)になる
このほかに、「青菜(あおな)に塩(しお)」「蛞蝓(なめくじ)に塩」「蛭(ひる)に塩」「しょげ返る」「ふさぎ込む」といった表現も、類似の意味を持つといえるでしょう。
それでは、滅入るの類語・言い換え表現の意味や使い方などを解説します。

1. 意気消沈(いきしょうちん)する
「意気込みがすっかり衰えること」「心が折れて元気がなくなっている様子」「威勢がくじけること」を意味する表現です。意気消沈の「意気」とは「物事をやりとげようとする積極的な気持ち」を指します。また、「消沈」の意味は「消えうせること」「気力などが衰えること」です。
意気消沈は、これらの反対の意味の言葉を組み合わせてできた四字熟語です。具体的には、「リーダーを任されて仕事に励んでいたが、メンバー間のコミュニケーションがうまくいかずに意気消沈してしまった」などと用いられます。
「意気消沈する」と表現する場合は、気分の落ち込みが慢性的なものではなく、一時的なものであるケースが多いです。
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2. 憂鬱(ゆううつ)になる
「憂鬱(ゆううつ)になる」とは、「気持ちがふさいで晴れないこと」「気分がふさがっている様子」を意味します。また、「草木が暗くなるほどに茂ること」「その様子」を意味する場合も。気分に関する意味は、滅入ると同じように使用できる表現です。
具体的な使い方の例として、「昨日ミスをして上司にこっぴどく怒られてしまったため、今日は仕事に行くのが憂鬱だ」などが挙げられます。
気が滅入ってしまったときの知識
滅入るという言葉の意味がわかったところで、実際に気が滅入ってしまったときに役立つ知識も見ていきましょう。ここでは、気分が沈んでしまうとされるおもな原因の例と、ストレス解消法例を紹介します。

気が滅入る原因
気が滅入る原因の例は、以下のとおりです。
・人間関係によるストレス
・相手に気を使うことによる精神的な疲労
・職場における過重労働
・部下のマネジメント業務によるストレス
・電子機器の使用によるテクノストレス
・環境の変化による精神的な疲労
・親や義理の親の介護によるストレス
・病気による気分の落ち込み
病気が影響する気分の落ち込みには、「うつ病」「自律神経失調症」「不安神経症」「認知症」「甲状腺機能低下症」などが挙げられます。また、女性の場合は「月経前症候群(PMS)」「更年期障害」なども影響します。
気が滅入ったときのストレス解消法
気が滅入ってしまったときには、「脳を休ませること」が大切です。気分が沈むときに効果的なストレス解消法は、以下のようなものがあります。
・少し休養をとる
・信頼のおける人に話を聴いてもらう
・生活習慣を改善する
・質の高い睡眠をとる
・ストレッチなど、簡単な運動をする
・大自然を満喫する
・芸術に触れる
・音楽やアロマを用いるなど、リラックスできる環境をつくる
もしも気が滅入る状態が2週間以上続くような場合は、何か病気が潜んでいないかを医師に相談するといいでしょう。
滅入るを理解しよう
滅入るには「深く入り込むこと」という意味がありますが、実際に用いられるときには「沈んだ気分になること」などの気分を指す場合が多いです。
類語・言い換え表現は、「意気消沈(いきしょうちん)する」「憂鬱(ゆううつ)になる」などがあります。
ぜひこの機会に言葉の意味・使い方・言い換えできる表現などを確認して、正しく使えるようになりましょう。
もし気分が滅入ってしまったときは、少し休養をとるなど、自分に合ったストレス解消法を試してみましょう。
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