「野放図(のほうず)」という言葉、聞いたことはありますか? 意味が分かりにくく、日常会話ではあまり使われることのない表現ですが、文学作品などでは時折登場しますよ。また、似たような言葉との違いや、具体的な使い方を知っておくと、より的確に表現できるようになります。
本記事では、「野放図」の意味や使い方、類語、英語表現について解説していきます。
「野放図」の意味と読み方を確認
「野放図」は、「のほうず」と読みます。あまり耳慣れない言葉ですが、辞書をひも解くと、その意味が明確になります。

「野放図」の辞書的な意味
「野放図」は、以下のように説明されています。
の‐ほうず〔‐ハウヅ〕【野放図/野方図】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]《「の」は接頭語。「野」は当て字》
1 人を人とも思わないずうずうしい態度。横柄なこと。また、そのさま。傍若無人。「―な性格」「―にふるまう」
2 際限のないこと。しまりがないこと。また、そのさま。「―な暮らし」「―に金を使う」
[派生]のほうずさ[名]ずうずうしく、制限なく振る舞うこと。
このように、「野放図」は、自由奔放すぎる態度や、規律を守らない様子を表す言葉です。ポジティブな意味ではなく、やや批判的なニュアンスを含むことが多いのが特徴でしょう。
「野放図」の使い方と例文
ここでは、「野放図」の具体的な使い方を例文とともに見ていきましょう。
「彼の振る舞いはあまりに野放図で、周囲の人を困らせていた」
この例では、傍若無人行動が他人に迷惑をかけていることを表しています。「節度のない振る舞い」や「自己中心的な態度」といったニュアンスが含まれます。
「会社のルールが曖昧なせいで、社員が野放図に振る舞っている」
組織の規律が緩すぎるため、各自が好き勝手に行動してしまっている状況を表現しています。「統制が取れていない」状態を指すときに使われます。
「野放図な生活を続けていては、いずれ健康を損ねることになる」
自己管理を怠った生活をしていると、いずれ悪い影響が出るということを警告する表現です。「野放図」は、だらしない生活態度や節度のない行動にも使われます。

「野放図」の類語・言い換え表現
「野放図」には、似た意味を持つ言葉がいくつかありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがありますよ。適切に使い分けることで、より的確な表現ができるようになります。
放漫(ほうまん)
物事に対してだらしなく、締まりのないことを指します。特に、組織運営や管理のずさんさを表す際に使われることが多いでしょう。
例:「放漫な経営が原因で、会社の財務状況が悪化した」
奔放(ほんぽう)
常識やルールにとらわれず、自由に振る舞うことを意味します。「自由奔放」など、ポジティブな印象を持つ場合もありますが、状況によっては「自分勝手」と捉えられることもあります。
例:「彼女は奔放な性格だが、そこが魅力のひとつでもある」
傍若無人(ぼうじゃくぶじん)
他人を気にせず、遠慮のない振る舞いを指します。「野放図」と同様に、周囲への配慮が欠けた行動を意味しますが、特に横柄で無礼な態度を強調する際に使われることが多いです。
例:「彼の傍若無人な振る舞いに、周囲の人々は呆れていた」
「野放図」の対義語
「野放図」とは反対の意味を持つ言葉も見ておきましょう。
規律正しい
ルールや秩序を守っている様子を表します。「規律正しい生活を送る」のように使います。
礼儀正しい
無遠慮で礼儀を欠く「野放図」とは対照的に、きちんとした態度を指します。「礼儀正しい振る舞いを心がける」などの使い方ができます。

厳格
規則や道徳を厳しく守ることを意味します。「厳格な校則がある学校」のように、制度やルールが厳しい場合に使われます。
「野放図」の英語表現
「野放図」に相当する英語表現も見ておきましょう。「野放図な態度」と言いたい場合には、“an arrogant and defiant attitude”と表現します。「野放図な暮らしをする」と言いたい場合には、“live wildly”と表現しますよ。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
まとめ
言葉の正しい使い方を知ることは、コミュニケーションを円滑にするための大切なスキルです。「野放図」という言葉も、適切に使いこなせるようになりたいですね。
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