「紅玉」という言葉には、異なるいくつかの意味があります。りんごの品種、宝石の名称など、さまざまな文脈で使われていますよ。本記事では、それぞれの特徴について紹介していきましょう。
「紅玉」の読み方と意味を確認
「紅玉」は「こうぎょく」と読みます。辞書で定義を確認しましょう。
こう‐ぎょく【紅玉】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 ルビーのこと。
2 若く、肌がつやつやして血色のよいこと。また、美しい容貌のたとえ。
「―の膚(はだえ)、平門第一の美男とて」〈樗牛・滝口入道〉
3 リンゴの一品種。果皮は真紅色、果肉は薄黄色。酸味がやや強い。《季 秋》
「紅玉」はルビーやリンゴの品種、そして美しい容貌のたとえとして使われることがわかりました。

リンゴ「紅玉」の特徴と魅力
紅玉は、長い歴史を持つリンゴの品種です。甘みと酸味のバランスがよく、料理やお菓子作りに適しています。独特の風味と調理後の変化を楽しめるため、多くの人に愛されてきました。その魅力を詳しく見ていきましょう。
紅玉の特徴
紅玉は、青森県を中心に栽培されるリンゴで、果実は小ぶりながら鮮やかな濃赤色の果皮を持ちます。煮くずれしにくいため、アップルパイやジャムなどの加工に適しています。19世紀にアメリカで発見された品種で、「ジョナサン」とも呼ばれていますよ。
紅玉の旬と収穫時期
紅玉の収穫は、主に秋に行われます。9月下旬から10月頃が旬であり、市場に多く出回るのは12月頃まで。貯蔵されたものは、翌年の春頃まで流通します。
病害に弱く、収益性が低いため生産量は減少傾向にありますが、独特の酸味や調理のしやすさから、今なお根強い人気を誇ります。

紅玉(宝石)の特徴は?
紅玉は、宝石としての名称も持ちます。鉱物の種類や産地によって価値が異なり、装飾品としての評価も変わりますよ。どのような特徴を持ち、どのように活用されてきたのかを知ることで、その魅力をより深く理解できるでしょう。
紅玉(ルビー)の特徴
紅玉は、赤色を呈するコランダム(鋼玉)の一種で、ルビーとも呼ばれます。天然の紅玉は、再結晶炭酸塩岩や接触変成岩、あるいは砂鉱(漂砂鉱床)などから産出されます。赤色の発色は三価クロム(Cr³⁺)によるもので、含有量が多いほど鮮やかな赤色になります。
主要産地はミャンマー、タイ、スリランカ、マダガスカルなどです。日本国内では、大分県宇目町(現在の佐伯市宇目)の木浦鉱山や、岐阜県、四国の一部で微量の産出が確認されています。
紅玉は、宝石の中でもダイヤモンドに次いで硬度が高く、耐久性に優れています。宝飾品としてだけでなく、研磨剤や時計の軸受、レーザー機器にも使用されますよ。
7月の誕生石であり、「赤」を意味するラテン語 rubeus に由来する名前を持っています。天然ルビーは産出量が限られており、安定した供給が難しいため、価格が高騰しやすい宝石の一つです。
紅玉は、その美しさと希少性から長年にわたって愛され続けている宝石です。
参考:『日本大百科全書』(小学館)

紅玉髄(こうぎょくずい)の特徴
紅玉髄は、玉髄(ぎょくずい)の一種で、極めて細かい粒状や繊維状の石英で構成されています。赤みを帯びたものが特に「紅玉髄」または「カーネリアン」と呼ばれ、古くからお守りや装飾品として用いられてきました。
その深みのある色合いと独特の光沢から、宝石としての価値も認められています。歴史的には印章や装飾品に加工され、現在でもパワーストーンとして人気があります。
参考:『世界大百科全書』(平凡社)
最後に
紅玉という言葉は、リンゴの品種、宝石、鉱石など、多様な意味を持っています。それぞれの分野で長い歴史があり、異なる魅力があることがわかります。
リンゴの紅玉は、特有の酸味と風味が特徴で、料理やお菓子作りに欠かせない存在です。一方で、紅玉(ルビー)は、その美しい赤色と希少性から、宝石としての価値が高く、多くの人々を魅了してきました。さらに、紅玉髄は、古くから装飾品やお守りとして使われ、その神秘的な輝きが愛されています。
このように、紅玉という言葉一つをとっても、背景にはさまざまなストーリーが広がっています。用途や文脈に応じて、適切に使い分けることで、より深い理解につなげたいですね。
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